「キャラが弱い!」と言われたらチェックしたい5つのポイント。俺を誰だと思ってやがる!

soreyuke_logo08こんにちは。こくぼしんじです。
第8回はキャラの作り方に関する総まとめ。あなたが実際に書き上げた作品を出版社に持ち込んで見てもらったり、電子出版する前に友達に読んでもらったりした際の話です。
まあ、そこで「面白い!」とか、「このキャラいいね!」なんて感想をもらえているなら、そのまま突き進んでください
でも、問題はそうじゃない時。つまり「うーん」と眉をひそめられたときに、どうやって作品を直していくかですよね。
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ちなみにこの言葉『キャラが弱い!』っていうのは、マンガやラノベの編集者が作品を批評する際の常套句です。オレも習作時代に一度といわず、何度も言われたコトあります。
で、今回お話するのは、そう言われたときに書き手はどう直していけばいいのか?編集者やプロ作家は、何をもって「キャラの良し悪し」を判断しているのか?そこんトコの具体的な話になります。

確認すべきはこの5点!

編集者から「キャラが弱い」と言われたとき、あるいは自分的にパッとしないものを感じているとき、まず確認すべきは以下の5点です。
1. 主人公のしたいコトや目的はハッキリしているか?
2. 覚えやすい特徴はあるか?
3. そのキャラ「らしさ」が一貫しているか?
4. 「おみこし」は適切に使われているか?
5. 漫画やキャラクター小説が、映画やTVドラマと違うコトを分かっているか?

では、順番にチェックしていきましょう。

1. 主人公のしたいコトや目的はハッキリしているか?

そもそも読者の共感や感動、感情移入というのは、主人公の夢や目的、メッセージに対する「リアクション(反応、感想)」として生まれるモノ。
読者からリアクションをもらおうと思ったら、先に作者側から、主人公を通して強い主張や言葉を叩く必要があるってコト。
主人公は何をしたいのか。引いては、あなたが主人公を使って何を訴えたいのか。良くも悪くも一種の「押し付け」なんですけど、押し付けなくして共感もアリマセン。
例えるなら、会議の場で議案もないままイエス・ノーを問えないのと一緒です。

2. 覚えやすい特徴はあるか(外見、特技など)?

第3回でも少し触れた部分。
キャラを強く印象づけるには、分かりやすくて、かつ覚えやすい特技や能力が必要。また、能力や特技は、アレもコレもできるより、絞られてる方が覚えやすいですよね
何より重要なのは、
『一言で、そのキャラの特殊性とスゴさを説明できるか』
・元暴走族総長の経歴を持つ、ブチ切れサラリーマン(サラリーマン金太郎)
・ひみつ道具を使って何でもできちゃう、未来から来たネコ型ロボット(ドラえもん)
・性格は偏屈だが、直せないケガや病気はない天才外科医(ブラックジャック)
・指先1つで悪党どもを爆死させる、超絶な暗殺拳の使い手(北斗の拳)

あなたの主人公がこの程度のカンタンな言葉で説明できる存在ですか?あるいは、キャラ設定を他人に軽く説明しただけで「面白そう!」「読んでみたい!」と言われますか?
そのレベルに達しているなら、少なくとも設定面に限って、あなたの作ったキャラは商業でも立派に通用します。

3. そのキャラ「らしさ」が一貫しているか?

第5回の「シングルスタンダード」、および第7回の「感情移入」で紹介した部分。
特に主人公の「らしさ」が一貫している----と、読者に思わせるには、何が必要だと思いますか?
答えから言えば、必要なのは主人公の「らしさ」が試されるような「事件」です。あるいは、主人公が主人公でいられなくなるほどの「ピンチ」。
主人公がその信念や決意を、口だけではなく、身体を張った行動で示す。そのための絶好な機会を用意してあげなくてはいけない……そう言い換えてもいいでしょう。
例えば……「女に手は挙げない」という約束事を持つ主人公がいるとしたら、その「らしさ」を試すためにはどうするか?一番分かりやすい方法は、それこそ引っ叩きたくなるような女性を、あえて主人公にぶつけることです。
この場合、主人公はそんな女性を相手にしても決して手を上げずに、問題を解決しなくちゃいけません。もしも途中で約束事に反して手を上げてしまったら、主人公は読者との約束事に例外を適用した(つまりダブルスタンダードになった)ことになります。
その瞬間に、共に読者の感情移入も途切れて、終わり。
「設定上の約束をきちんと果たせない主人公」を、読者は決して支持しないんです。
上記をカンタンに言えば、トラブルが起きてもブレないような一貫性を、主人公が作品の中できちんと見せているか? ってコトになります。

4. 「おみこし」は適切に使われているか?

これは第4回第6回の講義で解説した「おみこし理論」を適切に使っているかどうか。
もう、そのままです。
作者の頭の中で、主人公がいかにスゴい人物として作られていても、それを読者に上手く伝えるには、一定のテクニックが必要なんですね。
例えば主人公が野球の天才だったとして……ただ説明文として名前と一緒に「実は野球の天才」なんて書かれてたって、読者はフツーに見逃しますよ(笑)。
そうじゃなく、脇役がみんなで、
「おまえ、ひょっとして天才じゃないか??」
「正捕手のオレが捕れないほどのフォークを投げやがった……!」
「野球部の監督になって10年……コイツほどの才能に出会ったことはない」
「ぜひ野球部(ウチ)に入って、野球少年になってよ!」

こうやって騒いだり驚いたりして、主人公をおみこしに乗せる。そういう細工によって、主人公は初めて読者から「野球の天才」と認知されるワケです。
自分一人で「オレすげー」って騒いでるヤツより、周りのみんなに「アイツすげー」って言われてるヤツの方が、実際スゴそうに見えますよね。カンタンに言えば、作品の中で、主人公を「アイツ(主人公)すげー」の図式に乗せてあるかどうかです。

5. 漫画やキャラクター小説が、映画やTVドラマと違うコトを分かっているか?

最後は、今回の講義の「核」になる部分。
Aグループ:漫画、キャラクター小説
Bグループ:映画、TVドラマ、戯曲

この両者の間にある、表現としての「本質的な違い」を認識した上で、セリフや表現を書けているかって話です。一度、考えてみてください。その「違い」が何なのか。

答えは「実在の演者(俳優や女優)の有無」です。この違いを分かっていないと、具体的に以下のようなミスが頻出します。
セリフが必要な場面で「……」などを多用してしまう
映画やTVドラマであれば、俳優の表情1つで説明できる場面ってありますよね。いちいち「悔しい」なんて言わなくたって、表情1つで分かるとか。
例えば映画やTV ドラマ、あるいは演劇において、女優さんが泣いているときにいちいち、「ううッ……悔しい!」とか「嬉しくて……涙が止まらないの」……なんて言わないと思うし、台本執筆時にだって、そんなセリフを書かないと思うんです。
実際、映画やTVドラマでそんな台本を書いたら、監督には「こんなベタなセリフいらんわ!」って怒られます。また、ちょっと気の利いた女優さんなら、該当のセリフを自主的にカットして、同じコトを表情だけで伝えちゃうでしょう。
これは当たり前。
わざわざベタなセリフに頼らなくても、映像や生芝居であれば、前後の文脈や絵の動きで感情が伝わるから。あからさまに感情を吐露するセリフがなくたって、ちゃんと言葉以外で気持ちを表現できるワケです。BGMも使えますしね。
でも、漫画や小説には、上で書いたような「言葉以外の表現」に限界があって。役者がいれば不要な心情描写であっても、いちいち言葉にしなくちゃ伝わらない
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つまり「気持ちは皆まで言う!」が、表現上の基本なんです。
そこを意識しないまま、「……」だけで済ませたり、セリフなしで表情を大きく描いたり(漫画の場合)すると、単純にスルーされて終わりなんですよ。
結果、伝わらないから「キャラが弱い」「魅力が伝わらない」の一因になっちゃう。
以上5点を磨くと、あなたのキャラはきっと「強く」なりますよ!

あの山口組三代目、田岡親分も「おみこし理論」の使い手だった!?

何だかこの最後のコーナー、いつの間にか、漫画以外で使われている「おみこし理論」を紹介するコラム集になっちゃってますけど。
まあ、あまり細かいコトを気にせず読んでいただければ……。
さて、田岡一雄親分。泣く子も黙る日本最大のヤクザ・山口組の三代目組長ですね。
戦後まもなく、田岡組長が引き継いだ当時には、総勢30名程度の組織に過ぎなかった神戸の山口組。それを1代で1万人規模にまで大きくした、まさに伝説の親分です。
その田岡親分はどうやって山口組を大きくしたか。
当然、ヤクザの親分ですから、その途上では抗争もいっぱいやってます。田岡親分自身、いち組員だった戦前には人を斬ってますし。
しかし、単なるケンカ自慢や人斬り自慢の親分なら、そこは戦後のドサクサ時代。同レベルの暴れん坊だったら、若き日の田岡親分の他にもいっぱいいたのです。
では、何をもって、田岡親分が頭ひとつ抜きん出たのか?全国の親分衆に先駆けて田岡組長が率先して行い、山口組が大躍進する元になった妙手とは……?
ズバリ言えば、『子分たちに前向きな夢を与えた』ことでした。

田岡親分というのはいろいろ本を読む限り、本当に親分らしい親分。
『子分を食わせるのが親分の役割であり、子分に食わせてもらうなんてとんでもない!』
『他に行くところがなくて自分を頼った若い連中に、美味いメシの1つも食わせられなくて何が親分だ!』

一貫してこういう考えだったと、随所で言われています。

しかし、そうは言っても、そんなお人好し一辺倒な考えじゃ、いつまでもみんなを食わせていけないですよね。普通に考えても。
だいたい、ヤクザになるようなチンピラなんて、普段は働かずに遊んでばかり、なおかつ外に出ればケンカばかりの存在です。そんな非生産的な連中を、ただ自分の子分だからといって、いつまでも優しくタダ飯ばっかり食わせてはいられないはずです(笑)。

ここからは個人的な推測に過ぎませんが、田岡親分もきっと悩んだと思います。
役立たずの若い衆を沢山抱えて、このままじゃオレ自身、どこまでもつか……おそらくは、そのぐらいにまで悩んだんじゃないかと。
そして悩みぬいた挙句、田岡親分が考えたスキームというのが……、
『子分たち1人1人を、いっぱしの親分に育てよう』というモノだったワケです。
結果的には、この考え方が大当たり。
子分たちも、いつか親分になろうと考えれば、目の前の非生産的なバクチやケンカを適当に卒業して、自分のシノギ(食い扶持かせぎ)を真剣に考え始めます。
また、親分になるためには、自分の手駒となる若い衆も増やさなくてはなりません。つまりこの段階から、構成員が全員で経営者の意識を持ち、販路(縄張り)の拡大や新規の人材確保(子分集め)に対して血眼になったワケです。

また既存のバクチやみかじめ料に代わる、新しいビジネスモデルの構築にも血眼になりました。
で、これがフツーの会社なら、やる気のある社員に恵まれた『ちょっと元気のいい会社だね!』で終わるんですけど……。
そこは彼ら、ヤクザです。もともと目的達成のためには手段など一切選ばず、危険さえも顧みない人たちの集まりですから(笑)。走り出したらもう止まらない。
かくして山口組は全国に血と抗争の嵐を吹かせながら、あれよあれよという間に日本一の大組織になってしまったんじゃないかと。
そして、功あって組長になったかつての子分たちが……今度は、田岡親分をさらなる『大親分』として祭り上げたのです。
すると今度は、子分だけでなく子分の子分が、そのまた子分が田岡親分をといった感じで、ピラミッドの頂点にいる田岡親分を、みんなで崇めるような構図も出来上がります。
ちなみに言うと、ヤクザに限らずヤンキーや暴走族、怪しい新興宗教といった「悪の世界」には、かなり高度なキャラ立てノウハウが蓄積されています。自分を大きく見せた者、あるいは怖い存在に見せた者が勝つという営業上(?)の都合があるからなんでしょうけどね……。
機会があったらぜひ、恐れることなくドキュメンタリーなどを読んで研究してみることをオススメします。

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