今すぐ使えるストーリーの雛形。名作をパクって真似てリスペクトする訓練法

soreyuke_logo12こくぼしんじです。いよいよ前回から【構成編】が始まりました。
前回は最初なので起承転結なんぞをチャラっと語りましたが、本シリーズのキモはあくまで「実践で即使えるストーリーの雛形」を提供すること。それも、極めて直接的に。
ある意味タブーの領域に踏み込んででも、ストーリー作りで悩む作家志望者さんへの手助けとなればいいかなと思っています。
では、行ってみましょう!
これまでのそれいけ!ライターズはこちら

Don't think, Copy!/考えるな真似ろ!

面白い「物語」を描けるようになるための最高の方法、それは……
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これ……ものすごく誤解されるであろう発言なんで少し補足しますけど、決して作劇におけるオリジナリティを全否定するワケじゃありません
そもそも、オレが本連載で提唱しているストーリーの作り方は、パクリでも何でもなく「魅力的なキャラを動かし、その行動履歴をストーリーに仕立て上げる」ことですから。
最終的には、あなたのキャラクターが生み出す行動や選択、ゲストとのやり取りなどが、そのままストーリーになっていく……コレ is ベスト。
しかも、このやり方なら、あなたのキャラに最適化されたストーリーが自動的に生まれるので、キャラ自体が既存作品のパクリでない限り、ストーリーにはパクリ要素など入らないワケです。(詳しくは第10回を参照

創作の「型」を叩き込むために真似る

……ただし。
上記の理想的なやり方で作品をきちんと仕上げるためには、先に物語の「型」を何パターンか身につけておく必要があるのも事実です。だいたい、キャラをどう動かしたら周囲がどう動くかなんて、それなりの経験値がないと満足に想像すらできないでしょう。
何より「型」を知っていないと、商業作品なら規定ページ数に過不足なく収まりません。また、電子書籍などでその手の制限が一切ないにしても、上手にオチを付けられないでしょう。
そしてストーリーの「型」を身につけるには、やはりその「型」を使って……もうズバリ言っちゃいますけど、「型」をパクりながら何度か習作を重ねるのが、訓練法として最も有効です
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ストーリーなんて、言ってしまえば読者(視聴者)の心を揺り動かすための「手順」にすぎません。なのでその程度のモノはパクりでちゃっちゃと身につけて、もっと自分だけのキャラやセリフを考えることに注力しようぜ! というコト。

ストーリーの「型」をパクるとは?

カンタンに言うと、自分が気に入った名作からセリフ、キャラクター、世界設定を抜いた「ストーリーライン(物語の流れ)」だけをパクり、あとはすべて自分のオリジナルキャラ、セリフ、世界観で埋めていき、物語を再構築することです。
たとえば、『SLAM DUNK』の第1話をバスケじゃなくサッカーに置き換え、主要キャラも自分流に手直ししてみるとか。『ブラックジャック』の主人公を医者でなく、SEXの専門家に置き換えてみる……とか。(→ちなみにコレ、第4回に掲載したサンプルを作った際の元アイデアです)
単純に置き換え可能な場合もありますし、適宜修正が必要な場合もありますけど、こうした訓練によって、ストーリーの「型」や「尺に対する感覚」が自然と身についていきます
誤解しないでほしいけど、そうやってパクって作った作品で即デビューとか、売れましょうとかってんじゃないです。パクリで売れようってのはさすがに甘い。大事なのは、パクリの反復練習でストーリー作りの感覚を養うことです。
まあ、説明よりも実践! ということで以下、執筆支援用のフォーマットを用意しました。このフォーマットにあなたのオリジナルキャラクターを突っ込むだけで、自動的にストーリーが完成するというスグレモノ。
第1弾は、商業マンガ雑誌への持ち込みに対応したフォーマットです。

物語フォーマット第1弾『旅の風来坊がゲストを助ける』

主にマンガの持ち込み原稿(31P程度)に最適化された、王道的なストーリーのフォーマットです。ストーリーのフォーマットにしたがいつつ、あなたの作り上げたキャラクターやセリフで肉付けすれば、オリジナルのストーリーが完成します。
典型的なストーリーラインと主要登場人物の概略を用意したので、あとは適宜応用していただければ。

ストーリーライン(物語の流れ、概略)

まあ、シンプルな話です。何かの特技を身につけた天才型の主人公が、旅路の途中で出会ったヒロインを助けて悪役をこらしめた後、惜しまれつつも去っていく……というだけ。
ただ、バカにしてはいけません。この「型」を身につけられないがために最初の読み切り作品を描けず、デビュー手前でつまづくマンガ家志望者さんは山ほどいるワケですから。
では、順番に起承転結を見ていきましょう。

【承1】

ヒロインが誰か(敵の一味)に襲われて困っている。
通りがかりの主人公が登場。助けに入る。
が、主人公はカッコいいトコを見せようとして……失敗(※1)。
いよいよマズイというとき、警察のサイレンなどが聞こえて、敵は一時撤退する。
「一瞬『えっ』て思ったけど……とんだ思い違いだったわ」
→以下、太いカギカッコは典型的なセリフ例です。
※1 ここでいいトコ見せるパターンもあるけど、主人公の「愛嬌」を見せるなら、ここではカッコつけないのがベター。

【起】

ヒロインが置かれている状況(目下の困り事、世界設定など)を説明。
特に、悪役についての言及は必須。
だいたい、ヒロインが「何かの道(主人公と同じ種目)の天才の、一人娘」だったりする。
そして悪いヤツはといえば、かつての父の弟子で、その流儀を貶めているとか。
で、ヒロインは独力でその悪いヤツを懲らしめようとしている。
話を聞き終えた主人公は、敵の実力を冷静に分析し、無謀な挑戦をやめるようヒロインに忠告する。
「根性あるねえ。オレがそんなヤツに出会ったら、速攻で逃げるけど」(※2)
その失言で、主人公はヒロインから腰抜け、意気地なし呼ばわりされる。
「アンタみたいな腰抜けに話して損した!」
「いいわよ。わたし1人で何とかするから……」

※2 主人公のセリフは何でもいい。「あの男、危険だ。君が思っているよりできる」みたいな分かりやすい表現でも可。いずれの表現を選んだにせよ、結局は「主人公が臆病風に吹かれた」ものとして、ヒロインに認識されるので。

【承2】

主人公の忠告を思い出しつつも頭から追い出し、独力で悪いヤツに挑むヒロイン。
「許してやってもいいぜ。オレの嫁にでもなるならなあ!」
「誰がアンタの嫁なんかに!」

が、敵も強いのでまるで構わない。
ヒロインのピンチにどこからともなく現れる主人公。
「心配に思って駆けつけてみれば……」
「○○(主人公)! 来ちゃダメ!!」

【転】

悪役、主人公にザコをけしかける。
「たたんじまえ!!」
主人公、襲いかかるザコを一蹴。
「!?」
悪役とヒロイン、主人公の正体と真の強さを知ってびっくり。
「思い出したぞ、貴様……あの○○か!」
「あ、あなたが父の言っていた○○……!?」
「面白い! ○○……貴様を倒して俺は世界一になる!」

とか言って、悪役が主人公に一騎打ちを挑む。
主人公は必殺技で華麗に悪役を倒す。

【結】

主人公、ヒロインと共に、ヒロインの父親の墓前へ墓参り。
主人公は遥かな目標を求めて次の旅へ(※3)。
ヒロインに惜しまれながら去っていく主人公。
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※3 たとえば悪役が魔物だった場合、主人公は同種の魔物を狩るために世界中を旅しているため、もう次の目的地へ行かねばならない……とか。

登場人物

【必須の登場人物】5人+α

・主人公
「○○の天才」として設定。特に上記のフォーマットは第3回で紹介している「天才型主人公」専用なので、主人公が何かの天才じゃないと物語が始まりません。
・ヒロイン
このフォーマットでは主人公の制止を聞かずに無茶をして痛い目を見る役になるため、だいたい「男勝りの勝気な女の子」という設定になります。実力はそこそこ。ただし、当たり前ながら悪役には及ばない。
・悪役
ヒロインを苦しめている悪役。実力はかなりのもの(※)。ヒロインの父親に破門されてひねくれたとか、だいたいそんな経緯で悪役になっているのが王道。
・ヒロインの父親
回想シーンに登場、あるいは会話にだけ登場でも可。生かしておくと読者に先の展開などを想像させてしまう上、むしろ主人公じゃなくお前が助(ry になってしまうので、読み切り作品では「すでに死んでいる過去の人」が基本。また、生前は悪役の師匠だったとかって設定が王道です。
・ザコ
ヒロインがそこそこ強いトコや、主人公が圧倒的に強いトコを見せつけるのに使う「やられ役」。彼らがいないと(読者が)相対的に主要人物の力関係を認識できないので、必須です。
※悪役の実力を中途半端に設定すると、編集者から「(悪役が弱すぎて)カタルシスが足りないので、もっと強いのを用意してください」とツッコまれます。

【オプション(任意で追加可能)の登場人物】

・ヒロインの飼い犬
「ヒロイン以外の誰にも懐かないはずなのに、主人公にはなぜか懐く」といった感じで、主人公の天才性や背後関係を想像させるのに使います。
・小さな子ども(ヒロインの幼い弟、妹など)
効果は上とほぼ同様。特に主人公が小さな子どもたちから懐かれていると、がぜん正義のヒーローっぽく見えてくるので、余裕があるならどうぞ。

バリエーションのつけ方

上は『週刊少年ジャンプ』への持ち込みを想定したフォーマットですが、下記の変更を加えるだけで、簡単に『週刊少年サンデー』にも転用可能です(笑)。

【変更するポイント】

・物語冒頭の「承1」を「朝の通学途中で起こった出来事」とする。
・「起」を行う場所を「(学校での)朝のホームルーム」に設定。
・そして、主人公は転校生だった! ことにする。
・「アッーー!! さっきの!!」「どうしてキミがここに!?」みたいな、お約束のやり取りを入れてから状況説明へ。
・敵役は3年生、あるいは悪徳教師。学園のボス的な存在に設定する。

パクリ……もとい、トレーニングに最適な教材はコレだ!

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本作の第1話は、極めて汎用性の高い「持ち込み原稿用テンプレ」です。
少年マンガにしては世界設定が特殊(幕末)なので、冒頭にナレーションが入ってしまっているトコだけが玉にキズ。(本来、マンガは最初のページで「掴む」モノなので、冒頭からナレーションなどテンションの低いコトをするのは良くないとされている)
だけどストーリーの骨子はしっかりしているので、舞台を幕末以外にしても、ヒーローを剣客以外の超能力者に差し替えても、セリフを現代語にすべて直しても、本当にそのままオリジナルストーリーが作れます。

この記事を書いた人

本名:小久保真司(こくぼしんじ)
1974.10.12.うまれ。
東京都台東区の山谷地区出身。慶応義塾大学総合政策学部を卒業後、専門学校や声優養成所の事務員として働きながら漫画原作者に師事し、シナリオライターに。コンビニ向けのペーパーバック漫画やゲームのシナリオライターとして活動する。現在は通常のライター業も請けつつ、KDPでオリジナル作品を発表中。他に、自分と同じKDP作家を支援する活動も行なっています。
→『きんぷれ!』(http://kin-pre.com
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