「残念な聖戦」代々木犬助さんインタビュー

こんばんは、きんどるどうでしょうです。KindleDirectPublishing、いわゆる個人出版で活躍する著者へのインタビューをお送りする”KDP最前線”。本日お送りする第四回は、すべてのインターネット世界を支える匿名の戦友たちへ贈る「残念な聖戦」を執筆した”代々木犬助”さんのインタビューを掲載します。

残念な聖戦

「残念な聖戦」とは

「私は10年間欠かさず、毎日メガネをかけ続けました。そして付け加えるならば、28年間死なずに生き続けています」
この本は代々木さんのブログ「ノベラブルブロガブルシステムズ」に連載された全72話のケータイ小説を再編集したものだ。通勤途中のスマートフォンから書かれた、8万字の文章はかなりの切れ味でグイグイと読ませてくる。そして、ネット中毒者をひっかけてくる「釣り」「スパム」といった舞台設定が妙にそそられます。IT企業に勤める著者の経験から生まれた物語は高いリアリティーをもって進んでいきます。

代々木犬助さんには、本作のセールスポイントや特にお気に入りのシーンなどを語っていただいた。

インタビュー with 代々木犬助さん

――この作品を書いたキッカケを教えてください

ライブドアブログの投稿アプリがバージョンアップして使いやすくなったのがキッカケです。さわっているうちに、通勤時間をうまく活用して長文もストレスなく書けることもわかったので、ブログに毎日一話ずつ連載する形式で小説を書きはじめました。これまでに小説を書いた経験があったわけではないので、本当にスマホとブログのおかげです。ちなみに、ブログの名前は「ノベラブルブロガブルシステムズ」といいます。このやり方だったら、あと何作でも書き続けられそう。

――話が短く区切られているのでKindleで非常に読みやすかったです。作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

私の本業がIT系なので、掲示板やブログやTwitterといったソーシャルメディアを使った舞台装置のリアリティには特徴があるのかなと思います。ネットサービスの脆弱性を利用したトリック、などというのも出てきますし。でもどちらかというと、そういった技術の話ではなく、インターネットを介したコミュニケーションから逃れられない僕たちの不安な気持ち、といったものをお話にしたつもりです。

――そうですね。ソーシャルメディア含めて妙な束縛姓があります。スマートフォンの登場でそれらが加速しているような不安もありますね。本作を書くうえで悩んだところは?

舞台装置にリアリティがあるので、「この物語を書いているのは誰なのか?」という設定に悩みました。連載開始当初は作者不詳ということにしていましたし、主人公の「僕」は一人称だけを使うことにして作中に名前を登場させないことにしていました。でも、話を書きすすめるうちに、主人公が名乗らないのは不自然だろうという展開になっていきまして、最終的には「代々木犬助」という作中人物がのちに書いた私小説である、という構造になりました。
ちなみに、苦労してひねり出した名前なので愛着がわきまして、「代々木犬助」という名前は小説を書き終えた後に私のペンネームとしても採用しました。ややこしい話なのですが、あえてややこしくしておきたいという事情もありまして、こんなことになっています。

――なるほど。当初主人公は山田ヤマディアンだと思っていました(笑)執筆にかかった期間はどれくらいですか?

ブログに記録が残っているので正確にわかるのですが、ちょうど30日です。

――30日で!スゴイですね…ところで、Kindleで出すにあたって困ったことはありますか?

特にアダルトな内容というわけでもないのですが、アダルトカテゴリに入れられてしまったことです。正しい読者に届けづらいカテゴリなので、非常に残念です。アマゾンは詳しい基準を公開しないので状況から推察するしかありませんが、女性の裸身を描いたイラストが原因なんじゃないかなと。表紙はすごく気に入っていていまさら変えたくないので、困ったものです。

――たしかに。私も最初アダルトか‥って敬遠してました。早く正しいカテゴリーにはいるといいですね。本作で特にお気に入りのシーンはどこですか?

ひとつだけ挙げるとすれば、主人公が作中で「サイレントデー」というブログ記事を更新するところでしょうか。最終章に収録した、12月31日から1月1日にかけてのエピソードなのですが、スマホからいきあたりばったりに執筆を進めるなかでなんとか物語の完結が見えたのがこのときだったので、個人的にとても印象深いシーンです。「サイレントデー」がなにかというのは、ネタバレになるのでぜひ読んでお確かめください。

――なるほどー!読者からの感想はありましたか?

ありがたいことに、いくつも感想をいただくことができました。著者はあまり解説のようなことをしないほうがいいと思っていますので、感想をいただいたあとに「あーでしたこーでした」と深くコメントすることはないのですが、どれもこれも本当にありがたく読んでいます。なかでも、インディーズ作家のヘリベマルヲさんからいただいた一連の感想は、とても嬉しいものだったのでリンクしてご紹介します。
http://novel.weblog.to/tag/残念な聖戦のレビュー

――こうやってTwitterで感想が見えるのは嬉しいですね。執筆中に起きた印象的な出来事はありますか?

正確には執筆後のことなんですが、書き終えて5日後にKindleダイレクト・パブリッシングの日本版が発表されたことが、とりわけ印象的でした。そのために書いていたわけではないのですが、タイミング的にぴったりで、友人・知人に後押しされながらこうしてKindle本を出すことができました。

――それはまさに運命ですね。出版おめでとうございます。それではオススメのKindle本を3冊教えてください

そんなにたくさん読んでいるわけではないので、3冊というよりも、3人ということで選んでみました。
いずれも、Kindleという新しいプラットフォームで、単に小説を書くというだけではない新しい実験に挑戦されているみなさんで、僕もいつも刺激を受けています。
・藤井大洋(『Gene Mapper (ジーン・マッパー))
・忌川タツヤ(『絶対すくみず黙示録』など)
・三鬼谷(『セックス公務員ケンちゃん』など)

――藤井さんの戦略的なプロモーションはスゴイの一言ですね。内容も充実していて…本当にスゴイ人です。忌川さんはKDPでの連載や、ウェブサイトでのノウハウ公開など目が離せません。三鬼谷さんの着眼となにより表紙のセンスがたまりません(笑)それでは、影響を受けた、もしくは好きな作家さんを5人教えてください?

好きな作家TOP5という意味ではなく、『残念な聖戦』を未読の方に興味をもらってもらう手がかりとして、以下の5人のお名前をあげさせていただきます。
・村上春樹
・団鬼六
・阿佐田哲也
・大塚英志
・西村賢太

――今後の予定について簡単に教えてください

現在も、「ノベラブルブロガブルシステムズ」というブログでは小説の連載を続けています。とにかく今は書くのが楽しいし、習慣のようにして書き続けています。最新作の『アニマル・ズ』は、『残念な聖戦』の主人公・代々木犬助が再び登場して、前作で書き損ねたテーマに再挑戦しています。

――それでは最後に、読者の方へメッセージをお願いします

インターネットが大好きで仕方がない、という人に向けてこの本を書きました。どうぞお手にとって(といっても紙の本じゃないんですが)お読みください。

著者プロフィール

代々木 犬助Amazon著者ページ
1980年代生まれ。岩手県出身。
東京でIT系企業のサラリーマンをしながら、通勤途中に執筆をするスマホ小説家。
作品は「ノベラブルブロガブルシステムズ」というブログに連載形式でアップロードされている。
iPhoneから投稿された8万5千文字の処女作『残念な聖戦』は、Kindleストアでカテゴリ1位を獲得。
続く1万文字の短編小説『それが僕らを別つとしても』も、同じくカテゴリ1位を獲得。
ブログ : ノベラブルブロガブルシステムズ http://novel.weblog.to/

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