これぞ冒頭シーンの王道!ストーリーの出だしに使える黄金の3パターン「まずは隕石落とそうぜ」

soreyuke_logo17こんにちは。こくぼしんじです。
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最初に、前回から続く「プロットの書き方」の続きを少し。そして後半では「冒頭の魅せ方」について語ろうかと思います。一見してバラバラな話に見えるかも知れませんけど、実は全てがつながっていて。そこはまあ、おいおい語っていきます。
では、行ってみましょうか!
これまでのそれいけ!ライターズはこちら

ボク(わたし)の書いたプロットは、なぜ面白いと言われない?

前回、プロットの書き方について3つのコツなるものを紹介しました。そして残る1つは、あえて書かずに今回のお題へと回したんですけど……。
なぜ、そうしたかと言うと。
プロットの書き方以前の問題というか、あまりにも身も蓋もない話になるからです(笑)。いったいどういうコトなのかは、下記の参考例をご覧ください。

参考例:下の物語が「何」か当ててみよう!

下の作品(あらすじ)はものすごく有名なマンガの第1話から引っ張ってきたモノですけど、よかったらぜひ、その作品名を当ててみてください。

砂漠の荒野を水を求めて歩く男がいた。男はやがて力尽きて倒れる。そして、怪しい行き倒れとして小さな村の牢獄に収容された。牢獄には、少年もいた。コソドロで捕まったようだ。
男は少年から「看守役の少女を襲って脱獄しよう」と持ちかけられる。だが、男はそれをよしとしない。
「そんなことをしたら、あの子(少女)はどうなる?」
男の言葉に、少女は自分が心配されたと知り、頬を赤らめた。だが、口をきけないようだ。
少年の説明によると、少女は盗賊によって目の前で両親を虐殺され、そのショックで心を閉ざしているのだという。男は、食事を持ってきた少女に手を延ばすと、指先で少女の頭部のツボを刺激した。少女にも少年にも、この時に男が何をしたのかはわからない。
そのとき、外で騒ぎが起こる。武装した盗賊の集団が村を襲ったのだ。
男はやおら立ち上がり、全身からオーラを吹き出させると、恐るべき怪力で牢獄をブチ破った!
飛び出すと、盗賊の首領が少女を持ち上げ、人質にしていた。
「抵抗をやめろ! このガキを殺されたくなければ、水と食料を出せ!」
制止を無視して近づく男。すると少女が男に向かって、逃げるよう叫んだ!
※ホントはもう少し続きがあるけど、この先を書くと、もう誰でも分かってしまうのでカット。

キャラや世界を設定せずにストーリーを書いても、伝わらない。

上のプロットを読んでいただいて、どうだったでしょう?
まあ、途中で何の作品か分かった人は「ああ、なるほど」と思うかも知れませんね。むしろ、作品をご存じない方に聞きたいです。果たして、面白いですかね?
オレだって、何の予備知識もなしに上のプロットを読んだら、きっと「ありきたりな話だな~」ぐらいにしか思わないですよ。
……ただ、プロットの最初の数行にこういう追加の文章が付け加えられたら、話は大きく変わると思うんです。
  ↓  ↓  ↓

199x年、地球は核の炎に包まれた。海は枯れ、地は裂け、あらゆる生命体は絶滅したかに見えた。だが、人類は死に絶えてはいなかった!!
文明は廃れ、むき出しの暴力が支配する無法の荒野と化した核戦争後の大地――。そこに、一子相伝の暗殺拳『北斗神拳』の使い手、ケンシロウが舞い降りた!


……というコトで、上のプロットは『北斗の拳』の第1話からキャラ設定と世界観の説明を抜いたモノだったんですけど。
結局、プロットを読みたくなるかどうかは、冒頭の数行に書くべき「キャラ」と「世界設定」の魅力だけでほとんど決まっちゃいます。その部分を置き去りにしたまま、どんなに後ろのストーリーをこねくり回したところで、読者の興味を引くことはできません。
つまり、面白いプロットを書く上で最大のコツは、ストーリーよりも先に魅力的な主人公キャラと世界観を用意するコト。そして、それらを最初の数行にバッチリ書き、読者に「面白そう!」「先を読みたい!」と思わせるコトなんです。
→「魅力的な主人公キャラの作り方」については、第3回と第5回の記事をどうぞ。

プロットも本編も、すべて「冒頭が勝負」

プロットの極意が結局のところは「冒頭の良し悪し」なんだというコトをご理解いただけると、関連する他の話が説明しやすかったりします。
たとえば、物語の冒頭でいかに読者を引き込むかというテクニック。
……と、ここまで書いたところで、多くの読者さんから白い目を向けられるのが分かっているので、なんだかゾクゾクするんですけどね。
  ↓  ↓  ↓
「出たよ、どんな入門書にも書いてあるワンパターンな話が」
「どうせ、冒頭を盛り上げろって言うんだろ!」
「うぬが如き、無名のライター風情に言われるまでもないわ!」

まあ、確かにそうなんです。
本当にこの「冒頭の重要性」というのは、どの作劇入門書を読んでも必ず書いてあること。冒頭で読者の心を掴めなければ、その先は読んでもらえない。だから冒頭に命をかけろ! っていうお決まりのハナシ。
おそらく、誰もが聞き飽きているでしょう。なので、多くの作家志望者さんが聞き飽きていない話から入ります。

「曲の冒頭からサビを聴かせる」テクニックを、最初に使ったアーティストは誰?

冒頭の重要性――実はこれ、文学作品よりも音楽の世界で徹底されています。
歌謡曲をいくつか聞いてみればすぐ分かるので、まずはあなたのiTunesなどに入っているお気に入りの曲をいくつか再生してみましょう。
オレも試しにお気に入りの曲をかけて、検証してみますね。
結果は以下の通りです。
Lets!フレッシュプリキュア! →サビから始まります。
Alright! ハートキャッチプリキュア! →サビから始(略
ラ♪ラ♪ラ♪ スイートプリキュア♪ →サビから(略
Let's go! スマイルプリキュア! →サビ(略
Happy Go Lucky! ドキドキ!プリキュア →サ(略

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……というツッコミはいったん置きます。
べ、別に冒頭にサビがあるアニメ主題歌なんて、プリキュアだけじゃないんだからね! ガンダムだってエヴァだってまどマギだって、最近人気な進撃の巨人だって、みんな主題歌はサビのフレーズから始まってるんだからね!
……と、今さら逆ギレしても見苦しいので、とりあえずここでは、サビを最初に持ってくるコトの意味や理由を真摯に考えましょう
理由は当然「一瞬で引き込むため」ですよね。
そのためには、曲の一番キャッチーな部分を冒頭に持ってくるのが効果的なワケ。
そして、以下を言いたいがために、社会的に抹殺されるリスクを厭わぬ捨て身のジョークまで披露したんですけど……。この「冒頭でサビを聴かせて引き込む」というテクニックを、世界で最初に始めたアーティストは、あのビートルズだと言われてるんです。
まあ、ビートルズのような「権威」を借りて人様を説得するなんて……ったく、オレもセンスねえなと思うんですけど。一方で、「冒頭で盛り上げる」テクニックを使うことに懐疑心を持っている人たちにこそ、ぜひもう一度立ち止まってほしいと思うんです。
いわば、頭隠して尻隠さず――
文学作品ではいろいろ気にするけど、所変わって音楽では、何も気づかないまま冒頭のテクニックに引き込まれている……みたいな状態になっちゃいませんか? と。
少なくとも、売れ線の歌謡曲やアニメ主題歌を好きな人に、文学作品の冒頭を盛り上げる諸々のテクニックを「陳腐だ」などと言って忌避する資格はありません。
だから、素直にテクニック使っちゃおうぜっ!(キリッ!

冒頭のインパクト>>>>物語の脈絡

適度にお話を聞いてもらえる下地ができたところで(?)、そろそろ具体的なテクニックに入りましょうか。
マンガやラノベ、キャラクター小説において、推奨されるべき冒頭のパターンは極めて限定されます
なぜなら、目的がたった1つだから。
「続きに興味を持たせる」こと。冒頭シーンの目的など、他にはありません。
そして作劇において「続きに興味を持たせる」という命題は、他の全てに優先します。
どのぐらい優先するかというと、とりあえず先のストーリーを全て無視し、ひたすら冒頭で目立つことだけを考えても構わない! というぐらい、圧倒的に優先されるんです。
早い話、先の物語が学園ラブコメだったとして、なんか全体的に地味だなあと思うなら、いっそ冒頭で巨大隕石を落とし、地球を破壊したって構いません。そこから先のストーリーは、「ハッ! 夢か……」でも何でも、頑張ってこじつければいいんです。
何を言っているんだと思われるかも知れませんが、マンガの世界には、本当に上のようないい加減な発想で作られてしまった作品が複数存在します。
そのひとつが、某・熱血マンガ家さんの長編デビュー作となった、学園アクションマンガ。
自分の師匠からかつて聞いたところによると、当初、同マンガの冒頭シーンは、主人公が新しい学校を訪ねるところだったらしいのですが……
「それじゃ地味だから、もっと盛り上げよう」と編集者から注文がついたそうです。
その指摘を受けて、作者はどうしたか。
とりあえず冒頭を盛り上げるという目的で、なんと主人公が学校へ1歩足を踏み入れた瞬間、大爆発して吹っ飛ぶというシーンに変更されたんです
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「ハイ、これで盛り上がりましたが、何か?」って感じですよね。
この原稿を読んだ編集者の顔は、さすがに自分も当事者じゃないんで想像し難いですが……結果としては「面白いからコレで行こう!」というコトになったみたいです。当時の編集者もまた、愛すべきバカだったんでしょうね(笑)。

冒頭に「承」の一部を持ってくるというコト。

先ほど紹介した、音楽における「サビを先に聴かせる」というテクニックを、作劇に応用すると具体的にどうなるか。
それは、冒頭に「承」の一部を持ってくるというコトに他なりません。あるいは、ナレーションや状況説明ではなく、具体的な行動やリアクションから入る。
たとえば、こんな感じになります。
・主人公がいきなり「バカヤロー!」とブン殴られる。【承の一部を冒頭にする】
  ↓
・どうして殴られたのか、今がどういう状況なのかを解説する。【起】
  ↓
・主人公が再び問題解決に向けた具体的な行動を開始。【承】
これは人間の認知的な本能なんですけど……どうしたって人間は「説明」よりも「現象」や「変化」の方に興味を持ちやすいんです。
たとえば街中で友達の話を聞いていたとして、近くで車の急ブレーキ音や衝突音がしたら、意識や首の筋肉は、反射的にそっちへ向かっちゃいますよね? おいおい、どうしたんだと。いったい何があったんだと。
映画など一部の例外を除けば、冒頭シーンの仕事はまさしくそれ”意識をこちらに向けさせるコト”です。

冒頭シーンに使える「王道3パターン」とは?

では最後に、読者の注意を引くという冒頭シーンの目的を果たしやすい、王道の3パターンを紹介しましょう。

(1)アクションシーンや爆発、破壊など

派手なアクションや爆発、大破壊などは、非日常の現象なので、有無を言わさず読者を引き込めます。上で紹介した『炎の転校生(島本和彦)』もそうですし、最近の作品では『ドキドキ!プリキュア』の第1話冒頭がまさにこのパターン。
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冒頭から、何も分からないけどとりあえず戦い、細かい説明はあと回し! みたいな(笑)。

(2)刺激的なセリフ&感情を丸出しにする

以前にも紹介した、『SLAM DUNK(井上雄彦)』の冒頭がこのパターン。
女の子が「ごめんなさい」と、主人公の花道を振るシーンから始まりますよね。そしてショックを受ける花道の顔。しばしばセリフと感情、そしてアクションが組み合わされます。
(何かを持ち上げようと必死の表情で)「ぬぉああああああ!」とか。
(体重計に乗った女の子が)「いや~ッ! 3kg太ったー!!」とか。
(いきなり引っ叩かれて)「2度とそのツラ見せるんじゃねえ!」と言われるとか。

いわゆる「顔芸」などを用いて感情を丸出しにするという姿も、立派な変化であり、非日常。したがって、大いに読者の興味を引く効果が期待できます。

(3)ありそうでない、微妙な変化

これはシーン選びのセンスも必要ですが、上手くハマればオリジナリティの高い冒頭を作れます。ありふれた光景に見えて……よく見ると違う、というパターン。
個人的にすごく印象に残っているのは、TVドラマ「ナースのお仕事」の原作である『おたんこナース(小林光恵、佐々木倫子)』の冒頭シーンでしょうか。
電車の吊革を掴んでいる乗客たちの手元を見ながら、主人公が、あの手は静脈が見えるから注射しやすい、あれは注射しにくい……と考えているシーンなんですけど。
視覚的なインパクトがあるのと同時に、主人公のキャラ説明を兼ねていて、コレはマンガ史上屈指の名オープニングじゃないかと思っています。
とりあえず今回はここまで!

この記事を書いた人

本名:小久保真司(こくぼしんじ)
1974.10.12.うまれ。
東京都台東区の山谷地区出身。慶応義塾大学総合政策学部を卒業後、専門学校や声優養成所の事務員として働きながら漫画原作者に師事し、シナリオライターに。コンビニ向けのペーパーバック漫画やゲームのシナリオライターとして活動する。現在は通常のライター業も請けつつ、KDPでオリジナル作品を発表中。他に、自分と同じKDP作家を支援する活動も行なっています。
→『きんぷれ!』(http://kin-pre.com
Kindle本「DISTANCE (がんばれ!アクターズ戯曲シリーズ)」好評発売中

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