【書評】「星をつかむ人」堤 万里加(著)/天真爛漫な青春小説

この記事はKindle作家”藤沢裕之”さんからゲストポストいただきました
星をつかむ人こんにちは、藤沢裕之と申します。
書評をメインとしたブログをやりながら純文学と詩をテーマにした電子書籍を書いております。今回はわたしが読んだKindle本で、面白い!と感じた堤 万里加さんの「星をつかむ人」について書評をしたためましたので、きんどるどうでしょうさんの場をお借りしてご紹介いたします。
この本は大変爽やかな青春小説で学生たちの日常を上手く切り取った作品だと感じました。そして、私自身も執筆をしているので、本書の見所や感想を紹介しつつ物書きとしての感想というものをお話しします。

「星をつかむ人」あらすじ

生まれつき足が悪く、車椅子で生活をするわたし(美沙)と、ポジティブで元気な幼馴染の健。二人の家は隣同士で、いつも二階のベランダで話をしていた。
健は幼い頃に父親を亡くしているが、父と一緒に見た星空を思い出すたびに父と繋がっているという思いを持っており、いつか星を見に行きたいと美沙に話す。小学生の二人は、ベランダを通じて、こころを通わせる「親友」だった。
中学入学を境に、だんだん疎遠になっていく二人。足のせいもあり、塞がり気味な美沙は、天真爛漫な健と距離を感じてくる。そして、さらに成長し、別々の高校へ行くことになると、美沙は健をわざと無視するようになり、全く会わなくなってしまう。
そんなある日、突然、健が美沙の家を訪ねてきた。そして「星を見に行く」と美沙に伝える——。

感想&素敵ポイント

まず一読しての感想は、「爽やかな青春小説だなぁ」というものでした。文章も読みやすく、一気に読めちゃいました。
天真爛漫な健と、自暴自棄気味の美沙のコントラストを上手く使っていて、美沙の心の動きが丁寧に描かれています。美沙の気持ちの揺らぎや葛藤は、共感できる人多いんじゃないでしょうか? 健に対する憧れと恋心、でも分かっていても卑屈になってしまう自分。でも少しずつ心を開いていき、人間として成長をする。まさしく青春ですね! これは素敵ポイントです!
また、UstreamやTwitterというアイテムが効果的に使われています。まさしく「今」の学生達の日常を切り取っている感じがして、新鮮な気持ちになりました。(私が高校生の頃なんて、携帯電話すらなかったですから!)
作品の後半は、ラストへ向かって徐々に徐々に、着実に向かっている感じがあり、これも非常に良かったです。ビールの喉越しならぬ、「読越し」の良い作品でした!
爽やかな青春小説を読みたい!」という方にはお勧めの作品です。

同じ文章書きとしての感想

ここからは、同じもの書きとしての感想です。
基本的に、美沙の心理描写は良いなと思いました。「感想&素敵ポイント」でも書きましたが、「健」との対比の作り方、そしてポジティブな健に自然に引き付けられ、卑屈だった心がほどけていくという部分は、悪く言えばありがちですが、予定調和的な安心感とカタルシスがありました
逆に、気になった点は三点。
まず、登場人物が少ないなぁと思いました。もう一人くらい話に絡んできたら、もっと面白かったかも。しかし、二人の物語なので、これでいいのかもしれませんが。うーん。
もう一点は、「健」くんがなぜ美沙にここまで固執するのか? という点です。こんな素敵な男の子なら、卑屈な美沙よりも他にいい人が居そうだなぁと。幼馴染という点だけだと厳しい気もしました。何か特別なエピソードがあれば・・・・・・と思いました(それが「星を見に行く」なのかも知れませんが)。
最後は「人称」です。途中、美沙の想像(なのか?)で、学校での健の行動が描写されますが、少し厳しいと思いました。一人称だったのに、急に三人称になってしまったのかと困惑しました。何回か、ページを戻したりして読み直してしまいました。

ともあれ、爽やかで良い作品だと思いました。私の書く作品の登場人物は、ウジウジしてる人ばっかりなので、暗いんです・・・・・・。頑張って、爽やか作品を書こうと思いました!

今回書評したKindle本

星をつかむ人
堤 万里加 (著)
価格:99円
評価:★★★★☆,9件のレビュー

生まれつき歩けない美沙は、亡き父に会うために旅する幼馴染の健を通して、つながることと遍在の意味を知る。とてもとても悲しいことがあって、この世に一人みたいな気持ちになったことがあったら、手に取ってください。 

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この記事を書いた人

藤沢裕之 Twitter @fujisawahi
藤沢と言います。現代詩と純文学を中心に執筆しています。読んだ文学作品を紹介するメルマガ&ブログ『お酒と言葉と音楽と』もやっておりますので、よろしければどうぞ。ちなみに、好きなお酒はワイルドターキーレアブリードです!

藤沢さんのKindle本

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藤沢裕之(@fujisawahi) (著)
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評価:最初のレビューをお待ちしています

すこし冷めた僕と、謎の多いジョナさん、そして大好きなお酒。奇妙に交差する、二人の帰るべき場所“ホーム”探しの日々。これはジョナさんの過去と、これからの僕のやり過ごす日々を綴ったポートレイト。

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