これ読んどけ!という海外SF ハーラン・エリスン「死の鳥」

こんにちは、リアル書店員のケス・ノングです。早川書房のSFセールも終わり、みなさん積読の消化にいそしんでいることと思いますが、ちょっとだけ待ってください。 今回のセールは日本人作家のみでしたが、やはりSFは海外ものが華と言えます。「翻訳される」というハードルを乗り越えた作品は、それだけである意味価値の高い作品の証であると言えるでしょう。

今回は単発で、海外SF、これ読んどけ!という一作を紹介します。珠玉、という言葉以外で表現できない短編集です。

死の鳥 (ハヤカワ文庫SF)

ハーラン エリスン (著), 伊藤 典夫 (翻訳)
価格:1,166円
★★★★* 5件のレビュー

25万年の眠りののち、病み衰えた惑星〈地球〉によみがえった男の数奇な運命を描き、ヒューゴー賞/ローカス賞に輝いた表題作「死の鳥」、コンピュータ内部に閉じこめられた男女の驚異の物語――「おれには口がない、それでも俺は叫ぶ」、初期の代表作「「悔い改めよ、ハーレクィン!」とチクタクマンはいった」など、半世紀にわたり、アメリカSF界に君臨するレジェンドの、代表作10篇を収録した日本オリジナル傑作選。

エリスンといえば、アメリカSF界のレジェンド。1960年代頃から短編やドラマ脚本で頭角を現し、SF界のメジャー文学賞、ヒューゴ―賞、ネビュラ賞、ローカス賞の超常連となります。しかしその著名さのわりには、日本ではほとんど作品が出ていませんでした。

唯一にして有名な作品集が、「世界の中心で愛を叫んだけもの」(ハヤカワ文庫)。

「あ、聞いたことある!」と思った方、そう、TV版「エヴァンゲリオン」の最終話のサブタイトルですよね(「愛」が「アイ」になってましたが)。もっとも庵野監督はこれは未読で、「かっこいいから」という理由で使ったそうですが(笑)。そう、エリスンの短編はどれもタイトルが超かっこいいんですよね。

今回、1973年の「世界の中心で愛を叫んだけもの」以来の邦訳作品、「死の鳥」が出ましたが、その収録作品のタイトルも、どれもこれもかっこいいです。

「『悔い改めよ、ハーレクィン! 』とチクタクマンはいった
「竜討つものにまぼろしを」
「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」
「プリティ・マギー・マネーアイズ」
「世界の縁にたつ都市をさまよう者」
「死の鳥」
「鞭打たれた犬たちのうめき」
「北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中」
「ジェフティは五つ」
「ソフト・モンキー」

どうです? どれもこれもぐっときませんか?

しかもこの収録作10編のほぼすべてが、先ほど挙げたヒューゴ―賞、ネビュラ賞、ローカス賞などの何らかの賞を受賞しています(一編で複数受賞しているものもある)。どれも発表は、最後の「ソフトモンキー」を除いては 1960年代から70年代で、古き良きアナログSFのイマジネーションが炸裂しています。

これは僕の持論ですが、「素晴らしいSFは、未来描写や登場するガジェットが古くなっても、思想は絶対に古くならない」のです。それが文学としてのSFの使命であり、価値であると思っています。

この作品も、この思いがぴたりと当てはまる、背筋がぞくぞくするような静かな興奮に満ちたものでした。一般的には、 25万年の眠りから覚めた男の旅を描く表題作「死の鳥」が人気でしょうが、僕はこの中では、何年経っても五つのままの隣人、ジェフティをめぐって、リリカルな郷愁を誘う「ジェフティは五つ」が特に素晴らしかったと思います。

この「死の鳥」、SF版の「このミステリーがすごい!」にあたる、昨年の「このSFが読みたい!」において、見事海外編第一位となりました。並み居る新作を押さえて、60年代がメインの作品集が一位とは! それも納得の面白さです。ぜひぜひ読んでみてください。

いかがでしたか? ハヤカワ半額セールでバタバタしましたが、じっくりとこの本も読んでほしいです。さて、ケス・ノングは次は何の本を読もうかな…。

この記事を書いた人:ケス・ノング

某チェーン書店で文芸書・文庫を担当。自分は人に薦めるくせに、人に薦められると読みたくなくなる天邪鬼。昔は年間300冊は読んでいたが、年々集中力が衰え今は年間80冊くらい。

Amazonプライムのおかげで映画やドラマも見てしまうので全然時間が足りなくて一週間が四週間くらいあればいいのに、とかバカなことばかり考えているからよけい本が読めないという悪循環に陥りがちな中年真っ盛りです。

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