こんにちは、ケス・ノングです。ハリー・ポッターの新刊が発売されて、売り場は超バタバタしております…というほどの騒ぎではなかったですね。正直。それよりはアメトーーク!の読書芸人の影響のほうが大きかったりします。
まあしかし相も変わらず天邪鬼な僕としては誰がどう騒ごうと読みたい本を読むだけですよ…。さて、小学館の30%オフセールと聞いてやってきましたです。セール対象品の中からおススメをピックアップしてみました。よかったらどうぞ。さらに幻冬舎新書のセールからもお得なものを押しつけてみます(笑)。
匿名書店員がオススメする注目のセール本
砂のクロニクル 上・下
舞台は、イラン、イラク、旧ソビエト、そしてヨーロッパ・・・。壮大なスケールで描く超大作。ペルシアの地を目指した、2人の日本人が、苛烈な運命に翻弄されながらも強く生きる(……)長きに渡り、読み継がれてきた船戸与一最高傑作。小学館文庫にて刊行するにあたり、イランの地図と登場人物紹介を付記したものを電子化した。
かつて、国産冒険小説の黄金時代がありました。本格ミステリなんてガキの戯言よ、男は黙って冒険小説!とばかりに年間ランキングも逢坂剛、佐々木譲、清水辰夫らの熱い情熱ほとばしる冒険もので占められていたのです。
そんな中でもラスボスがこの船戸与一。もうわが青春そのものという感じで、「山猫の夏」「猛き箱舟」「伝説なき地」の三作には心底からノックアウトされた思い出があります。その集大成的なものがこれ。この超大作、超傑作が上下巻合わせても、ポイント還元で実質千円切るとは信じられません。問答無用、すぐにポチれ!
日本沈没 上下巻
伊豆・鳥島の東北東で一夜にして小島が海中に没した(……)田所博士の重大な警告を受け、政府も極秘プロジェクトをスタートさせる。小野寺も姿を隠して、計画に参加するが、関東地方を未曾有の大地震が襲い、東京は壊滅状態となってしまう。全国民必読。二十一世紀にも読み継がれる400万部を記録したベストセラー小説。
タイトルは知っていても、意外とみなさん読んでないのではないでしょうか。日本SFの古典中の古典ですが、読むとびっくりしますよ。まったく古くないのです! ていうか、天災人災続く今の日本でこそ読まれるべき本です。どのような理論で日本列島が沈んでしまうのか、その理屈の積み重ねはまさにハードSF。その細かな描写があるゆえに、人間ドラマのすばらしさが生きてくるのです。
大江戸恐龍伝 全6巻
物語の発端は、明和八年(一七七一)。平賀源内がゑれきてるを世に送り出す五年前のことである。時に源内四十四歳。高松藩を脱藩し自由の身となっていた源内は(……)その後、大坂で円山応挙と共に龍の掌を見に行った源内は、それを祭る寺の法主から、その昔、龍の掌を龍宮から持ち帰ったという男の話を聴くことになる。
僕が読書に開眼したのは中学生の時に読んだ夢枕獏の「キマイラ」シリーズだと思います。
「魔獣狩り」でエロバイオレンスにも開眼させてくれ、「餓狼伝」でプロレス格闘技にも導かれ、「上弦の月を喰べる獅子」では文学そのものの底力を見せられました。足を向けて寝られない存在です。ただ、彼はなかなか話を終わらせることができず、「キマイラ」も「餓狼伝」もいまだに続いています。
この「大江戸恐竜伝」も構想から20年間かけてやああーーーっと完結した作品。「全6巻?なげーよ」とは思わないでください。もう読みだすとあっという間。なんたって、内容は「平賀源内VS.ゴジラ」ですよ! どうです、これだけで読みたくなったでしょう(笑)?
作家の収支
1996年38歳のとき僕は小説家になった。作家になる前は国立大学の工学部助教授で、月々の手取りは45万円だった。以来19年間に280冊の本を出したが、いまだミリオンセラの経験はなく一番売れたデビュー作『すべてがFになる』でさえ累計78万部だ(……)総発行部数1400万部、総収入15億円。人気作家が印税、原稿料から原作料、その他雑収入まで客観的事実のみを作品ごと赤裸々に明示した、掟破りで驚愕かつ究極の、作家自身による経営学。
幻冬舎新書がセール中ですが、どういうわけかこの作品はセール+ポイント還元がえらいことになってます。紙の本が821円のところ、セールで390円。しかもなんとポイントが282ポイント! 実質108円じゃないですか。もうこれだけで内容とか関係なくポチりたくなっちゃいますね。
以前「臨機応答・変問自在」を紹介したときにも言いましたが、この人の真価は小説ではなく、日記・エッセイにあります。国立大学工学部助教授(当時)、締め切りは必ず守る、金もうけのために作家活動をしていると公言している、など作家としてはあまりに特異なキャラクターと思想を直接味わえる日記とエッセイはどれもこれも切れ味抜群で最高です。
そしてこの本は、誰もがはっきり語らない、文字通り「作家の収支」について。どの媒体に何をどう書いたらいくらもらえるのか、インタビューはいくらか、ドラマ化されたらいくらか、みーんな書いてあるのだ。「誰も書かないのならば、知りたい人のために語るのは、職業作家としての『仕事』だと思った」そうだ(笑)。
ポイント還元はこれほどではないですが、同じくセールの中に森博嗣は「 孤独の価値」「 科学的とはどういう意味か」もありますのであわせてどうぞ。
おわりに
プロフィールにあるように、人に勧められると読みたくなくなるくせに人には勧めるというのは困った性癖です。正確に言うと、読むスピードが今の10倍くらいあれば勧められた本も読めるのですが、とにかく自分で読みたいと思った本すら読み切れていないので、勧められてもノング困っちゃう、というのが本音です。なにしろ積読本が現在約500冊。そうは言っても、「この人が勧める本ならばすぐに読もう」という書評家もいます。誰かからそう思われるような存在になりたいな、と願っています。
この企画について:匿名書店員さんによるキュレーションをやろう
キッカケはこちらの記事『電子書籍をリアル書店への拡販と書店員の副業に活用する新メディアプロジェクトの協力者を募集します』で、電子書籍からリアル書店への誘導。もしくは書店員さんの副業として活用できないかなと。
現在、4名の書店員さんからお申し出をいただき、しばらくきんどうで記事掲載後新たなメディアを立ち上げる予定です。
思うにね、本のプロである書店員さんの専門知識はネットでもっと読みたいし、それはお金になる分野なんですよ。むしろ、わたしは参考にしたいからもっと出てきてほしい。
まだ、書店員さん(匿名)だけですがイベント案内やうちの気合のはいった本棚を見てくれ!なんて形でリアル書店さんとも組んで一緒にやっていきたいと考えてます。電子書籍に読者が流れるだけでなく、リアル書店・書店員も盛り上がるようなメディアを作っていきたいので興味のある方はぜひ、お問合わせからご連絡ください。ちゃんと売上に応じてお金もお支払します。
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