こんばんわ、きんどるどうでしょうです。KindleDirectPublishing、いわゆる個人出版で活躍する著者へのインタビューをお送りする”KDP最前線”。第40回は、「まんがの裏の一丁目」を執筆した”くにおう”さんのインタビューを掲載します。
くにおう「まんがの裏の一丁目」
2001年から2002年頃にかけて「まんがseek」というWebサイトで漫画にまつわるものを題材として書かれたコラムが書き下ろしを追加して書籍化しました。謎に満ちた古本マンガマニアの生態がここに!
第1章はまんがseekで連載していたコラム「まんがの裏の一丁目」と「古本×漫画×セドリ」「漫画雑誌がいっぱい」です。
第2章は新規書き下ろしで「まんがの裏の一丁目」の続きです。現在の視点で当時を回想しながら補足的な内容です。
『古本漫画マニア。その生態はあまり知られていない。』
(…これは初版だ)(…背表紙の厚みからいって再販だ)
玄人にはあたりまえの真贋スキルで、今日もまた古本マンガマニアの血が騒ぐ。
古ぼけた本屋に集う玄人たちが、今日もタフなガッツで、大量の紙袋と共に店をさる。安価に値付けされた商品を選びわける、裏打ちされた知識。相場よりも安い値段で本を仕入れ、その本を買値より高い価格で売って銭を稼ぐ行為、これぞ背取りのテクニック。古本、それは職人たちの深奥がのぞける世界。そんな知られざる本格古本マンガマニアの世界に踏み込んだのが本書だ。
くにおうさんには、本作のセールスポイントや特にお気に入りのシーンなどを語っていただいた。
インタビュー with くにおうさん
――この作品を書いたキッカケを教えてください
以前から本を出すことには興味があり、AppleのiBooks authorに期待していたのですが日本でiBooksストアがなかなか始まらなくてがっかりしていた時にKindleストアが始まったのでこれだと思ってやってみました。
「まんがの裏の一丁目」は10年ほど前にまんがseekというサイトのメールマガジンに書いていたコラムをベースに書き下ろしを加えて書き上げたものです。
最初は漫画喫茶の本を書くつもりだったのですが、なるべく早く出したかったのとKindle形式の本を制作するのは初めてという事もあり、ある程度書き上がっている方がいいだろうと考えて「まんがの裏の一丁目」を出版しました。フリーソフトのSigilを使って制作しましたが、EPUBもKindleも初めての経験だったのでどういうものなのかを理解するまでは大変でした。
――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?
この本を読めば漫画マニアの中でも古本に特化した古本漫画マニアのあまり語られていない生態を知ることができると思います。
――かなり深い世界でしたよ。読者からの感想はありましたか?
カスタマーレビューとツイッターで感想を頂いたので読みました。読者の反応があるのは嬉しいですね。
――執筆にかかった期間はどれくらいですか?
だいたい1ヶ月半でできあがりました。11月の下旬に書こうと思い立って12月中に本文を書き終わり、その後Kindleのフォーマットについて勉強したり、用意するのを忘れていた表紙を準備したりしてました。
――電子書籍についてどう思われますか?
新刊書籍が紙と電子書籍とで同時に発売されるように早くなってほしいですね。
一部の作品は同時やそれに近いタイミングで電子書籍版も発売されていますが、ほとんどの作品は最新刊の一つ手前までしかないのが残念です。コミックに関しては講談社が過去作品の電子書籍化を非常に頑張っていますね。角川グループには独自のBookWalkerという電子書籍サイトがありよく利用しています。日本で電子書籍が普及するかどうかの鍵はコミックが握っていると思うので各出版社には頑張って欲しいと思っています。
――Kindleで出すにあたって困ったことはありますか?
知りたい情報がどこにも無いと思っていたらAmazonのKDPヘルプにあるPDFファイルに説明が書いてあったという事もありました。
Kindleフォーマットでopfファイル内に記述するguide要素に表紙(cover)と目次(TOC)と開始位置(Go to Beginning)がありますが、書き方と意味を調べるために英語のサイト読んだりもしました。あとで日本語のサイトにも説明が書いてあるのを発見しましたが、情報が分散しすぎているので詳細なKindle本の作り方の解説サイトがあったら便利だろうなと思います。
また、Kindleプレビューで変換したmobiファイルをiPadのKindleアプリで表示テストをしていたのですが、iPadだとアプリの仕様で横書きのゴシック体でしか表示できないという事実に気が付くまで時間を無駄にしてしまいました。
他にも表紙にフォントを使う場合は商用できるかどうかという問題にぶつかりました。商用利用できるフリーフォントを探せばいいことはわかりましたが、今回は探す時間が惜しかったので手書きの文字を加工して使用してます。
――フォント問題は個人で作る際の大きな課題ですね。では、この本を紙で出したいという出版社が来たらどうしますか?
そのようなことがあればぜひお願いしたいですね。
――本書は無料キャンペーンを利用していましたが、検討中の方へアドバイスをお願いします
知っておくべき事はKDPのヘルプに書いてある太平洋標準時というのがアメリカのロサンゼルス時間だという事ですね。無料キャンペーンは指定した日の0時から始まると書いてありますが、時差があるので日本時間だと夕方の18時以降になります。これを知らなかったので0時過ぎても無料キャンペーンが始まらなかった時は焦りました。
――ところで、ブログを運営されているとのことですが、気をつけていることはありますか?
はてなブログで「まんがの裏の一丁目」をやっています。以前、漫画喫茶についてのブログをやっていた事があり、最初は書きたいことを書いていたのですが途中から更新する事が目的になり精神的に疲れてしまった事がありました。
定期的に更新したほうがアクセス数がよくなるとはわかっているのですが、今はのんびりと不定期に書いています。
――Kindleで個人出版を目指す方にアドバイスをお願いします
本のデザインにこだわらなければ非常に簡単に作って出版することができますが、書き上げてから1週間くらい間をあけて読みなおして誤字脱字を含めておかしな所がないか校正作業をしたほうがいいと思います。
誤字脱字や言い回しの間違いなどがあると内容が良くてもカスタマーレビューで低い評価を付けられてしまう事があります。Kindleストアで個人出版の本を何冊か購入して読んでいますが、良いなと思う本は誤字脱字がないですね。
――それでは最後に、読者の方へメッセージをお願いします
近いうちに「まんがの裏の一丁目」の続きを出す予定です。漫画喫茶について書いた本も同時進行で書いています。
古本漫画マニアや漫画喫茶の事で疑問に思っていることや知りたい事があればメールで質問していただければ答えられる範囲でブログか本に書きますのでよろしくお願いします。
作品詳細
2001年から2002年頃にかけて「まんがseek」というWebサイトで漫画にまつわるものを題材として書かれたコラムが書き下ろしを追加して書籍化しました。謎に満ちた古本マンガマニアの生態がここに!
第1章はまんがseekで連載していたコラム「まんがの裏の一丁目」と「古本×漫画×セドリ」「漫画雑誌がいっぱい」です。
第2章は新規書き下ろしで「まんがの裏の一丁目」の続きです。現在の視点で当時を回想しながら補足的な内容です。
書籍詳細
価格:400円
発売日:2013年1月12日
評価:★★★★☆,1件のレビュー
著者プロフィール
くにおう Twitter(@kuniou)
連絡先メールアドレス ARKTOS工房 atelierarktos★gmail.com
漫画喫茶経営のコンサルタント会社で勤務した後、古本屋、漫画喫茶と漫画に関わる職業を渡り歩く。古本漫画マニアというよりは書痴(ビブリオマニア)であり本に囲まれているだけで幸せになれる。火事になったらよく燃えるから助からないし、地震が起きたら蔵書で圧死すると言われる程度には本を持っている。ここ数年は週1回のペースで映画館に映画を観に行っているくらいには映画好きでもある。
まんがの裏の一丁目
http://kuniou.hatenablog.com