「DISTANCE (がんばれ!アクターズ戯曲シリーズ)」こくぼしんじさんインタビュー

こんばんは、きんどるどうでしょうです。KindleDirectPublishing、いわゆる個人出版で活躍する著者へのインタビューをお送りする”KDP最前線”。第22回は、「DISTANCE (がんばれ!アクターズ戯曲シリーズ)」を執筆した”こくぼしんじ”さんのインタビューを掲載します。

Kindle戯曲
DISTANCE (がんばれ!アクターズ戯曲シリーズ) こくぼしんじ(著)

「DISTANCE」 (がんばれ!アクターズ戯曲シリーズ)

『卒業式の夜、流れ星に願いをかけると、どんな願いでも叶う』
高校生活最後の夜、主人公ひかりと4人の少女たちは、他愛のない学園伝説を信じて、流れ星にそれぞれの夢が叶うことを願った。
この不思議な流れ星が、願った者の夢を叶えたあとで、夢の大きさに見合った「跳ね返り」を必ず求めてくると知らないまま‥‥
「交通事故で死んだ初恋の人、桂一くんともう一度会いたい」
ひかりの願いは流れ星に届き、やがて死んだはずの桂一がひかりの前に再び現れる。
だが、この世の摂理に逆らう彼女の願いには、この上ない「跳ね返り」が待っていた……!2010年春に行われ、大好評だった青春サスペンス群像劇。その公演台本を電子書籍化!

「流れ星の力は絶対なんだ。お前の願いは必ず叶う。叶ってしまう。」
本作はKDPでは珍しいジャンル「戯曲」本である。戯曲とは演劇の脚本・台本のことで、人物の会話や独白、ト書きなどを通じて物語を展開する文学作品のことだ。有名なところでシェイクスピア、最近だとライトノベルの「まおゆう」などが話題かしら。話し戻って本作は女子高生がなんでも願いが叶う”流れ星”によって人生を狂わされていく青春ミステリーだ。

脚本を職業としているこくぼさんによって書かれた本作は、非常にキャラクターが上手に描き分けられているため戯曲を読む時にありがちな「こいつだれだっけ?」という勘違いはほとんどない。また、本作は上演用の脚本として二次利用が認められているので、是非演劇関係者さんに目を通して欲しい一作だ。

こくぼしんじさんには、本作のセールスポイントや特にお気に入りのシーンなどを語っていただいた。

インタビュー with こくぼしんじさん

――この作品を書いたキッカケを教えてください

きっかけは、声優の専門学校で講師をしていた時代に、卒業公演用の台本を書こうと思ったことです。ただ、このときは上演前に学校側と衝突して講師をクビになり、上演計画が流れちゃいました。それでもお蔵入りにはしたくなかったので、自分で新しい教室を立ちあげ、生徒も集めて、その第1期修了公演として初めて上演できた次第です。
本作は誕生までに紆余曲折があった分、結果的に改稿も重ねてあります。なので、これなら商品としての完成度も何とか大丈夫だなと思い、今回、初めてのKindle戯曲としてリリースしました。

――なんと、それは思い出深い作品ですね。では本作の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

専門学校の声優科、それも女の子ばっかりのクラスで生まれた作品なので、女子校とかで上演するのに向いた作品かと思います。あとは、卒業公演のために書いた作品なので、親御さんが観たら、娘の成長に感動して泣くよ!
みたいなところですね。親ウケだけは、かなりあざとく狙ってあります。

――親ウケ(笑)それでは作品を書くうえで悩んだところは?

生徒たちみんなに上演してもらう戯曲なので、セリフが少ししかないチョイ役はほとんど作れなかったことです。セリフ量や見せ場の数は、どの役もある程度均等に(笑)。そういう意味では、どの役を振られても、つまらない思いはしないで済む台本になったと思いますが。

――それは上演する人たちも嬉しいですね。ところで執筆にかかった期間はどれくらいですか?

初稿の執筆までは1ヶ月ぐらいです。ただ、本作は初上演までに紆余曲折があって直しを重ねてあるため、現在のバージョンは3.1とかそんなトコです。直しの期間はちょっと計算不能です。

――話は変わりますが、電子書籍についてどう思われますか?

電子書籍という「場」は、小説家よりもむしろ、劇作家やシナリオライターにとっての「約束の地」ではないでしょうか。これは自著のあとがきでも書いているんですけど、戯曲やシナリオってこれまで、あまりにも紙の出版の世界では、冷遇されてきましたから。で、それは面白いつまらないの問題ではなく、はたまた形式から来るとっつきにくさの問題でもなく、ズバリ「分量」が最大の問題だったんだと思ってます。
戯曲やシナリオは完成形が「視聴作品」なので、どうしても1作品あたりの原稿量が時間にして2時間分ぐらい、400字詰め原稿用紙で120枚ぐらいに収まってしまうんです。すると、紙の本にするには足りません。小説は1冊あたり、原稿用紙300枚分はありますから。よって戯曲やシナリオは、紙の出版だと、たいそう出しにくかったんじゃないかと。
でも、電子書籍はこうした「尺」の相場が一切ないですし、またインターフェイスの面でも、まだまだ紙の本ほど読みやすくはなっていません。既存の小説の分量だと、Kindleアプリで読むには長すぎて疲れます。あくまで現状での、個人的な体感ですが。
となると、戯曲やシナリオの分量こそが、電子書籍での読書には「ちょうどいい分量」になるはずなんです。なので、電子書籍という世界が、劇作家やシナリオライターにとっての新しい作品発表の場になったらいいなと思ってますし、きっと「なる」と信じてます。

――なるほど。「尺」という考え方は面白いですね。ではKindleで出すにあたって困ったことはありますか?

これは困りました!縦書きは当然として、その上に戯曲なので、改行パターンが特殊なんです。パブーでもライブドアブログでも、この形式は再現できないぞと。考えあぐねた末に青空文庫記法を知り、岸田國士などの戯曲を参照しながら、縦書きE-pub形式を何とか作りました。

――こくぼさんは精力的にプロモーションをされていらっしゃいますが、秘訣を教えてください

大道芸人とかみんなそうですけど、お客様から効率的に「おひねり」を貰うコツは、あらかじめ小銭をいくらか、缶の中に入れておくことです。そうしておくことによって、多くのお客様は「内容が良かったら、ここにおひねりを入れればいいんだ」と理解します。
つまり、最初のAmazonレビューの1件2件ぐらいは、友人知人に頼んででも、好意的な内容で書いてもらえ!というコト。特にKDPセレクトに登録した場合は無料キャンペーンが使えるので、キャンペーン中に知人に作品を案内して、レビューを貰うのがいいでしょう。
この程度のステマは、どんな出版社のどんな著作でも普通に行われていますから、恥じることはありません。とにかくレビューが0のままなのと、1つでもあるのとでは、その後の展開が全然違います。1つでもレビューが付くことによって、「これ、レビューしてもいいのかなあ?」というこわばった空気が解除され、次のレビューも付きやすくなりますから。
ただ、こうした仕掛けを行った後に、好評価が連鎖しないのであれば、それはコンテンツそのものの問題。この時は、結果を謙虚に受け止めなくちゃダメ。ステマを重ねて本来の評価を偽装し続けた場合、あとに残るのは猛烈なバッシングだけです。

――では影響を受けた、もしくは好きな作家さんを5人教えてください

いちばん影響を受けているのは、「パタリロ!」の魔夜峰央先生。下らないギャグをかましまくって、限られたページを明らかに浪費しているのに、なぜか骨太なストーリーは崩れずに、しっかり進行している!自分には一生到達できないかも知れないですけど、目指している領域はここです。とりあえず、体型だけは順調にパタリロへと近づいてますが、ストーリーテラーとしてはまだまだ。
次に「キャプテン翼」の高橋陽一先生。ストーリーラインはシンプルだけど、最初に掲げた夢を絶対にあきらめない主人公の姿勢、生き様が次第に周囲を巻き込んでいく……まさに王道。むかし、先生の「ゴールデンキッズ」という企画を、児童小説としてノベライズしたことがありまして。あの仕事が、これまでの生涯でもっとも勉強になりました。
3人目は「サラリーマン金太郎」の本宮ひろ志先生。小池一夫氏や梶原一騎氏が編み出したマンガの作劇技法やキャラクター演出技法を、まさに「完成」させた方だと思っています。
4人目は「特攻の拓」の佐木飛朗斗先生。いちばん多感な高校時代に"拓"を読んだせいで、間違いなく"言葉遣い(ラングイッジ)"が"変(チェンジ)"っちまったと思います。今でも台本の初稿を見せると、まず役者陣から「言葉遣い、汚なすぎません?」と言われて、そこを直すところから改稿作業が始まります。
最後に、間違いなく自分のシナリオの師匠。ケンカ別れに近い離れ方をしてしまっているので、今さら虎の威を借るように名前は出せません。某・漫画原作者とさせて下さい。ただ、上のようにマンガの作劇技法を俯瞰できるようになったのは、やはり手取り足取り教わったからです。

――”良本(グッドブック)と出会(ミート)っちまったぜ…”ということが創作活動に大切ですね。では今後の予定について簡単に教えてください

戯曲はストックがもう1つあるので、それを春頃を目指してブラッシュアップしていきます。紫式部と清少納言、そして光源氏のモデルとなったある人物。3人が活躍する「源氏物語」の誕生秘話(?)です。あとは他にいくつか新書っぽい企画を持っているので、そのうちの1つを、先に出そうかなと考えています。

――それでは最後に、読者の方へメッセージをお願いします

すでに読んでいただいた方には「ありがとう!どうでした?」これから読もうかとご検討中の方には「You、クリックしちゃいなよ!」(……これ、絶対に白い目で見られるな……)

著者プロフィール

こくぼしんじ(Twitter:@gactors

1974年、東京の山谷地区に生まれる。
声優養成所の事務員をしながら漫画原作者に師事し、のちにシナリオライターとして、コンビニで売られる描き下ろし漫画のシナリオを多数執筆。
近頃は主にライター業とスクールの開業支援を行っており、シナリオや戯曲書きは半分趣味状態になっていたが、Kindle日本上陸を機に一念発起して執筆を再開。
尊敬する人物は上に書いた作家陣のほか、吉田松陰と江頭2:50。
史上最弱の声優養成所「がんばれ!アクターズ」
http://gactors.net

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