「月光と猟犬のサーガ」川口世文さんインタビュー

こんばんは、きんどるどうでしょうです。KindleDirectPublishing、いわゆる個人出版で活躍する著者へのインタビューをお送りする”KDP最前線”。第16回は「月光と猟犬のサーガ」を執筆した”川口世文”さんのインタビューを掲載します。

月光と猟犬のサーガ

「月光と猟犬のサーガ」

絶対嗅覚の男−−それが乾彪に与えられた呼び名だった

物語は東シナ海に浮かぶ島国〈月光〉では非合法だったドラッグが全面解禁され、銃器の所持も認められている半面、カフェインを含むあらゆる製品が禁止されている特殊な国だった。主人公・乾彪(いぬいたけし)は類い稀な嗅覚と記憶力でこの月光であるトラブルに巻き込まれていく。月光と猟犬のサーガを語る上で欠かせないのは、非常に作りこまれた世界観と舞台設定だろう。ドラック、アクション、暴力的な物語はかなりハードだ。

川口世文さんには、本作のセールスポイントや特にお気に入りのシーンなどを語っていただいた。

インタビュー with 川口世文さん

――この作品を書いたキッカケを教えてください

本を買ったり読んだりすることは好きなのに、本が部屋に溜まっていくのが大嫌い。手に入りやすい本はみんな手放してしまうので、ヘンな本ばかりが手元に残る。また、自分でも本を出してみたいのに、実際に本になるのは貴重な資源の無駄遣いのような気がする。そんな風にとても「あまのじゃく」の性格だったため、自分のなかでずっと矛盾を抱えてきました。そして「電子書籍」の可能性が俄かに高まってきて「これだ!」とピンときました。今回の作品を書き始めたのは実はもっと前からなのですが、KDPの仕組みができて、ようやくこの作品の「突破口」が見つかって、一気Kindleに向けて仕上げた感じです。

――電子書籍に対する高い可能性を感じてこられたのですね。たいへん、熱い作品でした。では、作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

・主人公:絶対嗅覚の男
・東シナ海の架空の島国:月光
・合法化された麻薬と非合法なカフェイン
などなど、本来ならそれぞれ別個の小説にすべきだったのでしょうが、いろいろ気負いもあって、思いつくかぎりのアイディアをすべてぶち込んでしまいました。おかげでまとめ上げるのには苦労しましたが、何とかすべての設定を使い切ったという自負があります。
また、ちょっとやそっとでは映画化できない内容にしようという目標もあり、個人的には映画を作るかわりに書きあげた小説という意味合いが強いです。ただし、ストーリーの骨格は非常に古典的で、苦労して最後まで書きあげて、自分が何を書こうとしていたのかをようやく冷静に振り返ることができたとき、意外と骨太な(あるいはオーソドックスな)話だったんだなと気がついて思わず苦笑してしまった記憶があります。

――たしかに、とても作りこまれた世界観でした。熱い勢いを感じますよ。作品を書くうえで悩んだところは?

たぶん「書く作業」よりも「削る作業」の方に悩んだと思います。最初に400字詰め原稿用紙換算で650枚ほど書いて、それは丸ごとボツ。次は今回の作品の第1稿として1350枚書いて、そこからさらに550枚削りました。現状では2部構成ですが、もともとは4部構成で、具体的には第1部250枚と第3部300枚をカットしています。もっとも第1部の方は主人公を変えて完全に書きなおし、『月光と聖獣のバカラ』というシリーズ作品にして、それもすでにKDPで発売しているんですが……。

――出来上がった後により読みやすく仕上げる作業は大切ですからね。しかし、思い切ってカットされましたね(笑)では執筆にかかった期間はどれくらいですか?

えらく時間がかかったとしかいいようがありません。古いバージョンを新人賞に応募したこともあるのですが、内容(ジャンル)的にも枚数的にもうまく当てはまらなくて不発に終わり、とにかく「出口」が見えないまま抱え込んでいた作品なので……それに、最終的には残った枚数より、捨てた原稿の方が多いといった作業効率の悪さでしたから。

――そうですね、出版賞は色々都合をあわせる必要がありますからね。いや、でも苦労のかいがあって読み応えのある作品に仕上がっていますよ。ではKindleで出すにあたって困ったことはありますか?

やはり「価格設定」でしょうか? いまだに悩んでいます、というか困っています。仕方なく自分だったらどのぐらいの価格で手が伸びるか考えたときに、250円以下が理想、上限は300円だと思ったのでその範囲に収めています。現実に本を所有するのと、本を読む権利を買うのとでは、それぐらいの差を自分でも感じているのだと思います。ただ、どんぶり勘定でやるわけにもいかないので、一応、40文字×20行を1ページとしたときの「ページ数」×1円というマイルールを設定しています。

――そうですねー。実際ある著者さんも500円から300円に変更することでだいぶん売れゆきに変化があったそうです。でも、ページ数×1円というのはわかりやすい目安ですね。では、本作を読んだ方にオススメしたい本や映画を教えてください

素人の浅はかな考えで、アマゾンのページの「作品紹介」に使える4000字のほとんどを作品の「セルフライナーノート」にしており、そこにこの作品がオマージュを捧げている先行作品(主に映画です)はあらかた挙げてあります。基本的には大好きな「007=ジェームズ・ボンド」映画シリーズの過去の作品をベースにしているのですが、この冬に公開された最新作の『スカイフォール』が見事な出来栄えなので、それも加えてオススメします。この映画を先に見ていたら、あまりにも畏れ多くてこんな小説は書かなかったかもしれない、と思うほどの傑作でした。あと『ダイ・ハード』の新作もよさそうですね。

――なるほど。たしかに本作のタフガイっぷりはジェームズ・ボンドを彷彿としますね。ところで、ブログ等の個人メディアは運営されていますか?

8年前から「パワードブック」というブログを書いています。一時期はブログ小説なども連載していましたが、あえなく挫折。最近はもっぱら「映画3000本ノック」という鑑賞メモの格納庫になっていました。もともと「パワードブック=電源を入れて読む本」というコンセプトではじめたのですが、まさにこれからやろうとしている「電子書籍」にも相応しいタイトルなので、2013年からは新たに「パワードブック・ビギンズ」とでも題して、内容を充実させていこうと思っています。
http://poweredbook.at.webry.info/

――ホームページを今後の電子書籍作家としての活動に向けて充実させるというのは素晴らしいですね。では今後、どういった作品を発表していきたいですか?

自分にはテキストを書くしか能がないので、なかなか「電子書籍」の可能性を広げるような作品は作れそうにないですが、現状でも文章の校正に「読み上げソフト」を使っていたりするので、今後「オーディオブック」への変換が一般的、あるいは非常にやりやすくなるだろうということを念頭においた作品を作っていきたいと思います。登場人物ごとに音声を切り替えるようなことも可能になっていくと思うので、タグを埋め込んだりする手間はかかっても、そういう作品が出せるような環境に進んでいってくれたら面白そうです。

――ありがとうございます。それでは次作の予定について簡単に教えてください。

今回の作品の文章の詰め込み具合はあまりに重たすぎ、既存の「本」をイメージした書き方だったので、現在はもっと軽く読みやすい作品を準備しています。また、単にそれだけではつまらないので、例えば「一気に10冊出す」ぐらい自分のモチベーションの上がる方法を計画しています。おそらくろくに1冊目が売れていない本を、一気に10冊も出そうなんてことは、既存の出版ではできないと思うので。
それと単に「テキスト」を売るだけでなく、シリーズ作品ならでは「コンテクスト(文脈)」を楽しんでもらうことも考えています。1冊の本としてだけでなく、登場人物たちのキャラクターとか、今回の〈月光国〉のように「舞台設定」そのものが認知されるようになることが1つの目標です。
スピンオフ作品の『月光と聖獣のバカラ』を加えたのもその一環ですが、一方で本編の『月光と猟犬のサーガ』がまだ「往きし物語」にしかなっていないので、続編となる「還りし物語」の構想もないことはないです。もし書くとしたら『ダークナイト・ライジング』のように前作から8年ぐらい後の話になると思います。

――伝説が壮絶につづきますね。それでは最後に、読者の方へメッセージをお願いします

ぜひ読んでみてくださいとしかいいようがありません。KDPでの出版は確かに敷居は低いのですが、本を出してからが勝負なので、こういった貴重な場所をお借りして作家自らが地道に宣伝をしていくしかありません。どうかよろしくお願いします。

著者プロフィール

川口世文(Twitter:@tokyocontebros
〝パワードブックライター〟(電子書籍専業作家)。ゲーム業界ではピンからキリまで経験済み。 2013年は新シリーズ『法律事務所×家事手伝い』(全10巻)をkindleにて公開予定。
Amazon著者ページ
http://www.amazon.co.jp/川口-世文/e/B004LVN0B0/ref=ntt_athr_dp_pel_1

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