HJ文庫からライトノベルレビューブログ管理人がオススメ5作品をまとめてみた

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ライトノベルレビューブログ管理人のgurgur717です。HJ文庫で、完結済みのシリーズや単巻で完結した奇書なども含めてオススメ作品をピックアップしてみました。

【9周年】HJ文庫からとっておきの5作品

戦うパン屋と機械じかけの看板娘

人型強襲兵器を駆り「白銀の狼」と呼ばれた英雄ルート・ランガートの夢はパン屋を開くこと。戦争が終わり、無事パン屋を営むルートだったが、その怖い顔のせいか、さっぱり売れない。そこで窮余の策で募集したウェイトレスとしてやってきたのは、ルートの軍人時代の愛機「アーヴェイ」のAIから生まれたという白銀の髪と赤い瞳を持つ美少女だった。

異世界ながらも第一次世界大戦後のヨーロッパを彷彿とさせる時代背景を舞台に、凄腕の退役軍人がパン屋を開くというになってます。

シリーズ物を想定した世界観とキャラクター配置になっていながらも、この1巻で語られるのは『大きな戦争の後に残された人々がいかに傷ついているか』という、やるせないテーマがメインです。

主人公の退役軍人・ランガードはパン屋を開きますが、開店した場所が独立を保てず併合され、ランガードが属していた軍に反発心を覚えている人が多い地域です。当然のようにパン屋は上手くいきません。

そんな彼のもとに、かつて乗りこなした人型兵器の愛機「アーヴェイ」の人工知能から生まれた美少女・スヴェンが訪れ、パン屋のウエイトレスとして働くことになるー。

シリーズ物の序章ともいうべき位置づけの1巻ですが、戦争によって心を傷つけられた人達の再生のストーリーでもある作品です。

多分、これから壮大なストーリーが紡がれるシリーズになると思います。それでも、1巻だけで一つの完結したストーリーの独立した作品としても読める面白い作品でした。

僕はやっぱり気づかない

――世界は退屈でちょうどいい。 ただひたすら平凡を愛する少年、籠島諦は今日も変わらぬ日常を謳歌していた。彼には異世界からやってきた魔法使いも、はるか未来から訪れた電脳戦士も、研究機関の指示で戦う超能力者も必要ないのだ。 鈍感をこじらせ過ぎた少年と、世界を守る3人のヒロインたちが織り成す超鈍感覚ラブコメディ。

アニメ化もした『異能バトルは日常系の中で(GA文庫)』の望公太氏の デビュー作にして、原点ともいうべきシリーズ

平凡な高校生・籠島諦の近くには異世界から来た魔法使い・未来から来た 電脳戦士・悪の組織と戦う超能力者がいて、それぞれの敵と戦っている。 しかし、主人公はまったく気づかない。 目の前で超能力者が派手に戦っていても、魔法使いが魔法を使っても、電 脳戦士がパソコンの中に入り込んでも、主人公はまったく気づかない。 そんな超鈍感主人公を中心に『志村、後ろ後ろ!』的なコメディを1作の ライトノベルにまで昇華、のみならず全6巻の長編にまで仕上げたのがこの シリーズ。

驚くべきことに、すべて読み終わると感動します。 1巻だけでもちょっと感動しますし、 全巻読んでも、その構成の見事さと共に感動します。

後書きによれば1巻を書き終えた時点では先の話は考えてなかったそうですが、それが信じられないくらいにまとまったシリーズになっています。 望公太氏はこのシリーズの後に、矢継ぎ早に作品を刊行し人気ライトノベル作家となっていますが、氏の出発点にして代表作としてオススメしておきます。

はぐれ勇者の鬼畜美学

異世界から帰還した若者を保護する国際教育機関《BABEL》。剣と魔法の世界《アレイザード》より現実世界に戻った鳳沢暁月は、歴史上初の、魔王を倒した《真の勇者》として《BABEL》に衝撃をもって迎えられる。しかも、その傍らに魔王の娘という美少女を従えて……。何から何まで曰くつきの勇者・暁月の、強くてニューゲーム、スタート。

少し前に、ライトノベル原作のTVアニメ『新妹魔王の契約者』が放映されましたが、その原作者である上栖綴人氏がその前に手がけたシリーズがこの『はぐれ勇者の鬼畜美学」になります
そのストーリーを少しだけ掻い摘んで説明しますとー

主人公・凰沢暁月は異世界アレイザードの魔道大国シェルフィードに召喚されてしまった高校生。そこで異世界の勇者レオンに助けられ、元の世界に帰ろうとしますが魔王ガリウスの突然の急襲により失敗、しかも勇者レオンは主人公を助ける為に魔王の凶刃に倒れてしまうのです
周囲の糾弾に晒され、自分の不甲斐なさを嘆いたに負けなかった暁月は、神々のいる神層界で血の滲むような修業をつみ『錬環勁氣功』を会得、数々の冒険の果てに魔王ガリウスを倒します。
しかし、元々の勇者を死なせてしまった過失がある為に民衆の手放しの歓迎を受けることができず、『はぐれ勇者』と呼ばれてしまいます。
そして、異世界での役目を終えた主人公は元の世界へ帰ろうとするのです。

ーここまでがプロローグです。

この長すぎるプロローグの後に、さらに『異世界から帰還した人間専用の学園(※異世界に召喚される高校生はけっこういるという設定)』に放り込まれて世界の陰謀に巻き込まれていく、というどこまでも設定過剰なシリーズでした。 

しかし、そんな設定の上の舞台で行われるのは派手なバトルと、ソフトにしてマニアックなエロ。

1巻で失禁シーン(直接ではないですが…)という特殊すぎるエロが差し込まれ、このシリーズについていくことに決めました。現在、11巻まで刊行されアニメ化(2012年放送)もされていますが、2年ほど新刊が途絶えており、再開が望まれます。

僕の妹は漢字が読める

『きらりん!おばんちゅおそらいろ』それは、現代日本文学を代表する作家オオダイラ・ガイの最新作だ。彼の小説に感動した高校生イモセ・ギンは、ツンデレ気味だけど本当は兄思いのクロハ、クールでちょっと毒舌系の幼女ミルというふたりの可愛い妹と連れ立って、オオダイラのもとを訪れる。しかし、そこでギンや妹たちは謎の現象に巻き込まれてしまい―。第5回ノベルジャパン大賞銀賞受賞作。

でたひと→きよし
きよし「おくれちゃうにょ」
どうがサイトみてたら ねぼすけ←だめっこ
いきなりちこくは やばっ
こうえんぬけたら
おなのことごっつん☆
きよし「うあっ」
おなのこ「みゃあっ」
わわわ でんぐりがえっておぱんちゅ きらり☆
きらっ きらっ
きらり☆
おぱんちゅ→おそらいろ
(僕の妹は漢字が読める 48ページより)

上記の作中作を含む、『僕の妹は漢字が読める』の冒頭第1章の切れ味と面白さは近年のライトノベルでも群を抜いている、そう断言してもいいのかもしれません。

漢字が使われなくなった23世紀の日本を舞台に、小説家志望の青年イモセ・ギンの視点で描かれる萌え文化の蔓延によりおかしなことになってしまった未来の話を描いたコメディにしてSFな作品。

『おにいちゃんのあかちゃんうみたい』通称『おにあか』、二次元総理大 臣、『£』の記号は手を広げたヒロインが楽しそうにダッシュしている図、等々のクラクラしてくる要素が満載です。

メタフィクション的な要素もあり、ケータイ小説(ガラケーが衰退した現 在はあまり聞かなくなりましたが)なんかが巷に溢れる昨今、日本語の行き着く先を面白おかしく描いた作品とも言えます。

これだけ攻めている作品にはなかなか出会えないと思います。全5巻で完結していますが、まずは1巻第1章。 この部分だけでも読む価値はある作品です

インテリぶる推理少女とハメたいせんせい In terrible silly show.Jawed at hermitlike SENSEI

「……せんせいにはわるいうわさがあるのです。もちろんわたしはせんせいを信じています。けれど……」 人間は無作為にテキトウに動くのだ、と主張する文芸部顧問になった「せんせい」と、この世の全てが理屈通りに動いている、と信じて疑わない中学生の文学少女「比良坂れい」の2人が孤島を舞台に繰り広げる壮絶な頭脳戦と恋愛模様。

この作品がオススメかどうかは微妙なところですが、「奇書」として強く記憶に残っているので言及しておきます。

第6回HJ文庫で奨励賞を受賞した作品で、投稿時のタイトルが「せんせいは何故女子中学生にち◯ちんをぶちこみ続けるのか」。タイトルの時点でおかしいですし、選評にも「HJ文庫始まって以来の問題作」とかかれました。

物語の主人公が本当に自分本位の性的欲求のために女子生徒を強姦する救いようのないゲスなんです。

さらに言うなれば主人公視点で進むこの物語は、たしかなことが何一つありません。一応下記のような人物設定もありますが、これを信じこむと後半部分で訳がわからなくなります。

・せんせい…南五坂島の文芸部の顧問。本当に教師なのかどうかはわからない。女子生徒を強姦するのがライフワーク。彼の視点で物語が進むが、非処女をあまり認識できない、あまり忠実に日常生活を描写しない、一人語りが多い等の特徴により作中でナニが起きているのかいまいちわかりづらい。犯罪者としても致命的なミスを何度も犯しているので、完全犯罪が目的というわけでもない。
・比良坂れい…ヒロインで姉が自殺している。ミステリ脳ではあるのだが目的は最後まで読み進めていてもイマイチわからない。ヤンデレとも言える。

前半部分は興味津々で読み進め、中盤で倦み疲れ、後半部分で「これはひょっとしたら名作なんじゃないか?」 と思い初め、読了して「やっぱりさっきのは気の迷いだった」と思い直す作品でした。

著者はこの作品を刊行したのみで次作もなく、もう2年以上も経ってしまいました。この奇書の書き手の第2弾があるとしたならば、どんな作品だったのか?時々、そう考えては残念に思ったり思わなかったりします。

この記事を書いた人

gurgur717 @golgol888
書評ブログ「この世の全てはこともなし」管理人
「この世の全てはこともなし」http://blog.livedoor.jp/gurgur717/

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