テクニカルライターが教える、文章の見た目を良くする技術「アルファベットの半角・全角の使い分け」

この記事はKindle作家の”晴海まどか”さんからゲストポストいただきました
1307261はじめましての方もそうでない方もこんにちは、晴海まどかと申します。
私はKDPで小説を出しているしがない物書きなんですが、実はテクニカルライターという技術文書専門ライターをやっていました。
テクニカルライターには、小難しい説明をユーザー向けにわかりやすい文章で説明する、というスキルが必要でして。今回、そこで得た文章作成ノウハウのうち、小説などで使える、文章力がなくてもできる簡単な小ワザをご紹介。
今回は特に、"縦書き"の文章を書いている個人作家さんをメインターゲットに書かせていただきます。
なお、本コラムはライターの方や、文章を書き慣れている方には今さら感が強い内容かもしれません。その点はあしからず!

はじめに〜見た目が良い文章って何?

目の前に同じくらい"性格が悪い"女性が2人いるとします。その内の1人は10人並みの容姿で、もう1人はアイドルクラスの美女です。あなたはどちらかの女性とお付き合いしなければなりません。さて、どちらの女性を選びますか?
という質問があったら、世の男性の多くが美女の方を選ぶと思いませんか? 同じくらい性格が悪いなら、せめて見た目が良い方を選びたい、というのが多数派じゃないでしょうか。
では、これを文章に置き換えてみましょう。
同じくらい面白くない、残念きわまりない小説が2作あったとします。どちらかを選ばなければならないとしたら、"少しでも読みやすい小説"を選択しませんか?
ということで、見た目が良い文章=読みやすい文章、とここでは定義づけします。"読みやすさ"、つまりはリーダビリティ(Readability)です。
リーダビリティの高い文章には、文字数、句読点の位置、誤字脱字がないなど、様々な要素があります。中にはもちろん長年の訓練が必要なものもあります。が、文章力とは関係のないちょっとした工夫一つで、若干かもしれませんが、リーダビリティが向上することがあるのです。少なくとも私はそう考えています。
今回はそんなちょっとした工夫の一つ、「アルファベットの半角・全角の使い分け」をご紹介!

アルファベットをそのまま読むときは全角、英単語のときは半角

いきなり結論です。縦書きの文章の場合は、
・「WAR」を「ダブリュー・エー・アール」のようにアルファベットそのままの読みで読ませたいときは"全角"
・「WAR」を「ウォー」と英単語として読ませたいときは"半角"
と使い分けるようにしましょう。
理由は簡単です。

全角文字は日本語だ

全角アルファベットというのは、日本語特有の文字種です。全角文字は2バイト文字とも呼びますが、この2バイト文字は英語圏にはありません。ということは、全角文字というのは、アルファベットであろうがなかろうが、日本語、という考え方ができるわけです。
また、日本語はひらがな・漢字に代表されるように、「1文字1音(以上)」の言語です。1文字1音、つまりは「A、B、C」を「エー、ビー、シー」と読ませたいときは、日本語である全角アルファベットを使う方が良さそうに思えませんか?
つまり、英単語ではなく、"日本語の一部としてアルファベットを登場させたい場合"は、全角で書いた方がリーダビリティが上がると考えられるわけです。
【例】Tシャツ、マジンガーZ、DVDプレイヤー

半角アルファベットは"くるっ"と回る

半角アルファベットは縦書き文章だと90度回転します。はっきりいって、リーダビリティはこれだけで落ちます。ガタ落ちです。
先ほどの例にも上げた「Tシャツ」の場合、縦書き文書だと「T」だけがくるっとしちゃうわけです。これまで文章をすらすら読んでいたのに、このたった一文字の"くるっ"とのせいで、ほんの少し、文章が読みにくくなってしまうのです。
ただし、半角文字が必ずしも悪いわけではなく、"英単語"として読ませたい場合は全角にすると逆効果です。先ほど説明した「1文字1音」の逆で英語は「複数文字1音」の場合が多いわけですから、「1文字1音」の全角文字では意味を汲み取るのに時間を要してしまいます。
つまり、文字がくるっとするデメリットを考慮しても、英単語の場合だけは半角文字を使った方がリーダビリティが上がるというわけです。
【例】Amazon、Kindle、Good job!

いざ、例文を見てみよう!

ごちゃごちゃ言われたけどピンとこないよというあなたのために、例文です!ここまで説明してきた内容を無視した文章とそうじゃない文章で、実際にどれくらい読みやすさに差が出てくるのか見てみましょう!
<例1>01_exsample02
<例2>01_exsample01
どうでしょう?どっちが読みやすいですか?

判断が難しい単語もある

単純に全角、半角に分類できない単語もあります。例えば、「SOS」「OK」「NG」。英語のような気もするし、でもアルファベット読みそのままだし……。
ま、これくらいの単語なら、個人的にはどっちでもリーダビリティ変わらない気がします。決めの問題なので、作品全体で統一されていれば問題ないかと。
ちなみに私だったら、「SOS」も「OK」も全角で書きます。読み自体はアルファベットそのままなので。
あと、KDP本でたまに「OK」に縦横文字の設定をされているのを見ます(<span class="tcy">のタグですね!)。2文字くらいならありかなーとは思いますが、「SOS」とか3文字になると文字が縮まりすぎててちょっと狭苦しいかも。3文字だったら全角にした方がいいですね。

ちなみに:横書きの文章の場合

ここまで縦書き文章向けの話をしてきましたが、一応横書きの場合の話もご紹介。
横書き文章の場合は"無条件で半角アルファベットに統一"するのをおすすめします。理由は以下。
横書き文章の場合、半角文字でもくるっとする心配がない。
文章というのは、総じて文字種が統一されている方が美しいものである。
縦書き横書き、または文章に限らずですが、"統一されているものは美しい"は何事においても鉄則ですね!

まとめ

いかがでしたでしょうか? 半角全角を意識して使い分ける、これだけで文章の読みやすさが少しだけ変わると思いませんか?
もしかしたら「俺はアルファベットは半角文字で統一するポリシーなんだ!」という方もいらっしゃるかもしれませんし、それを止めようなどとは思っていませんが、書き手にとってのこだわり=読み手にとっての読みやすさ、になっているかどうかは一考の価値があります。読者あっての我々書き手。それを考える機会につなげていただければこれ幸いです。
さて、じゃあアルファベットはわかったけど、同じく半角全角の区別ある数字は?と疑問に思われた方はいらっしゃいませんか?いない?まぁそんなことはおっしゃらず。数字は全角半角の区別に加え、漢数字もあるのでちょっと難しいですよね。
次回は「数字の書き分け方」についてご紹介します。

この記事を書いた人

晴海まどか Twitter @harumima
1983年生まれの乙女座のA型。千葉県育ち東京都在住の文章クリエイター。
7年強、テクニカルライターとして会社勤めをし、2013年8月からフリーに。三度の飯より書くのが好きな書く方の活字中毒。ミステリーでも青春ものでもホラーでも、書きたいものはなんでも書く雑食系。どちらかといえばYAよりの作風多め。小説を書くのはライフワークである。


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