ブレないストーリーをつくる!作品完成度を120%向上させるプロット(あらすじ)を作る3つのルール

soreyuke_logo16こくぼしんじです。
これまでキャラ設定や演出、構成というテーマで書き続けてきましたが……実は1つだけ、作品執筆に欠かせない要素でありながらも、オレ独自の判断で意図的に避けてきたモノがありました。それはプロット(あらすじ)についての話。
通常、プロットは作品企画を提案するために使う物なので、自分の判断で出せるKDPでは必要ないかなぁと思っていました。しかし、物語を作る上で欠かせない超有用なテクニックでした。
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では行ってみましょう!
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そもそもプロットとは、何のために必要か?

本来であればプロットの書き方というのは、プロのシナリオライターや小説家を目指す人に向けて、必ず説明しなきゃいけないモノでした。それこそ新人賞に出すんでも、編集者に直接作品を持ち込むんでも。
ですが実をいうと、KDPで電書を書く場合に限っては必須じゃなかったりします。
どういうコトかというと……プロットって本来、編集者やプロデューサーに見せるモノなんです。企画を通す前なら、企画書に添付して作品の魅力を語るプレゼン資料として。仕事の受注後であれば、「こういう内容で書くんでヨロシク」と伝えるための設計図、仕様書、執筆計画書として。
となると、「他人にプロットを見せる」という工程が存在しない電子書籍の世界で、わざわざ解説する意味あんのかなと。自分用に使うなら、無理してプロット形式に落とし込まずとも、自分向けの箱書きやフローチャートがあればいいんじゃね? ……なんてコトを思っていたワケです。
……けれど。
結論から言えば、「KDPで書く上でもプロットはあった方がいい」と思えるようになりました。
なので、これから「伝わるプロットの書き方」を話していきます。その中でプロットの有用性を改めて認識していただけたらと。

プロットのルール その1
「面白おかしく書こう」

「それが分からないから聞くんじゃい!」と言われそうですが……(笑)。これは何も、とにかく面白く書け! という概念論、精神論みたいな話じゃないんです。
じゃあ何の話かというと……「文体」の話
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……という意味ね。
過去、受講生さんのプロットを見ていて、常に「謎」だったんです。いったい誰にそう書けと教わっているか分からないけど、どうしてみんな、プロットをわざわざ「固い文体」で書くの? ってのが。
いま思い返すと、「シナリオのト書き文」を意識しちゃったのかなあと思いますけどね。見たままを書く、演出意図を入れない、心理描写をしない……みたいなヤツ。この辺りはシナリオでト書き文を書く際のルールなんですけど、それをプロットやあらすじの文章にまんま当てはめているというか。
プロットの目的はただ1つ。他人に本編を読んでみたいなあと思わせることのみです。そのために必要なら、「!」や「?」を乱発した子供みたいな文章になろうと、作中の名ゼリフを引用しようと構いません。それこそ「泣かせます!」とまで書いて作品のターゲットや狙いを絞ったって、自分の肩書きを書いてハクを付けたっていいんです。

理想的な文体とは

ここで改めて断言しますけど、プロットで求められる理想的な文体は、マンガや小説の1巻に書かれた内容紹介、あるいは作品の背表紙などに書かれたあらすじの文体です。
たとえば……いまオレの手元にあるラノベからちょろっと抜粋しますけど。

はたらく魔王さま!」(和ヶ原 聡司・電撃文庫)1巻
世界征服まであと一歩だった魔王サタンは、勇者に敗れ、異世界『日本』の東京・笹塚にたどり着く。そんな魔王が日本でできること。それはもちろん“世界征服”!! ―ではなく、駅前のファーストフード店でアルバイトをしながら生活費を稼ぐ、いわゆるフリーター生活だった! その頃、魔王を追って時空を越えた勇者エミリアもまた、テレホンアポインターとして日本経済と戦っていた。そんな二人が東京で再会することになり―!? 六畳一間のアパートを仮の魔王城に、今日も額に汗して働くフリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー。第17回電撃小説大賞“銀賞”受賞作登場。

大日本サムライガール」(至道流星・星海社Fictions)1巻
「真正なる右翼は、日本に私ただ一人である!」
拡声器を片手に街頭で叫ぶ謎の演説美少女・神楽日毬。彼女の最終目的は日本政治の頂点に独裁者として君臨し、この国を根底から変えること――! しかしどれだけ努力しても活動の成果がさっぱり挙がらぬ日毬に、日本最大の広告代理店・蒼通の若手社員、織葉颯斗は現実を突きつける。
「メディアに露出していない政治家なんて、存在していないのと同じこと――」
熟考の果て、日毬は颯斗とタッグを組み、独裁者への道を最短コースで実現するため、あらゆるメディアを席巻するアイドルスターになることを決意する。
目的は政治の頂点、手段はアイドル。――至道流星の本気が迸る、“政治・経済・芸能”エンタテインメント、ここに開幕!!

こういう文体で内容の細部やオチまで書いたもの……それが理想的なプロットと思ってもらって結構です。もっと言うなら、逆にダメなのは「映画データベースなどに記載されたあらすじ」。なぜなら、ああいうのはは視聴者や記者が勝手に書いたモノであり、「本気でファンを増やすための作品紹介」にはなってないから。
ことプロットに限っては「売り手が作品の魅力を伝えるため、本気になって書いた文章」が、参考になるんです。

プロットのルール その2
「文章の主語を"主人公で統一"」しよう

これは必ずしも、面白いプロットを書くための方法論ではありません。ただ、プロット作りや物語の構成のもろもろに慣れるまでは、ぜひオススメしたい書き方です。
たとえば、こんな感じ。
「○○(脇役)は主人公を陥れようと、周囲に悪い評判を流した」
  ↓
「主人公は○○(脇役)によって周囲に悪い評判を流され、ピンチに陥る」
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必要に応じて能動態と受動態を使い分けてでも、慣れるまでは主語を主人公に固定しましょうというコトです。

コレをやると何が起こるか?

まず、プロットを元に本編を書いていく際に「視点」が乱れなくなります。で、視点が乱れなくなるとストーリーラインが変に分岐せずスッキリするので、結果的に「分かりやすい話」を作れるようにもなるんですね。

プロットのルール その3「気持ちを入れて書こう」

その1で良いプロットの例を挙げましたけど、結局のところ良いプロットというのは、物語を構成する上で必要な要素が情緒的に書かれているモノなんです。で、情緒的とは何かというと、キチッと動機や理由、企みなどが書かれているってコト。
たとえば、
「主人公は金属バットを片手に、○○高校へ殴り込みに行った」
  ↓
「何があってもマブダチは守る!――主人公は金属バットを握り、周囲の制止も聞かずに、喧嘩一の不良の巣窟と呼ばれる○○高校へ決死の殴り込みをかけた!」
プロットはできるだけ簡潔であることが望ましいんですけど……こと「キャラの気持ちを伝える」ためなら、字数が増えても構いません。いくら簡潔であっても、つまんなく見えたらプロットの意味がないですから。
その点は、既存の本の内容紹介と少し違うところ。
特に電書の執筆前にプロットを書く場合、それは編集者に見せるためのモノではなく、純粋に自分のためのモノですから。自分の執筆時のモチベーションが上がるように書きましょう(笑)。

ブレない物語づくりは視点の統一が大事

で、この「気持ちをいれて書く」ための前提として必要になるのが、実はその2「主人公視点への統一」だったりします。
なぜなら、主語がバラバラだと、気持ちを入れた際にキリがなくなるから(笑)。脇役の1人1人にまですべて気持ちを書いていたら、今度はストーリーがあっちに飛びこっちに飛びで、全体を見失います。
なので主人公視点に統一したのち、主人公の気持ちのみを徹底的に入れていく。
ちなみに、この作業は「感情移入(第7回で解説)」できる作品を書けるようになるためのトレーニングでもあります。言ってしまえばこの作業って、気持ちの流れに乱れや矛盾がないか、理不尽や作者のご都合主義でないかといった要素をプロット段階で確認する作業でもあるんで。

フローチャートでは気付けないミスに、プロット(文章形式)なら気付ける

「本来、プロットは他人に見せるモノなので、他者に途中経過や設計図を見せなくても自己完結できるKindle本の執筆フローには、必要ないかもしれない……」
最初にそういう趣旨のコトを書きましたけど、途中で路線を変更してプロットの書き方を改めて解説しようと思った――そこにはやはり理由があります。
主にゲームシナリオで使うような「フローチャート」、あるいはシナリオスクールでよく教わる「箱書き」……そういった形式で物語の構成案を作っていると、やっぱり気持ちの流れのミスに気づきにくいんですよ。(気付く人は気付くと思いますけどね、そりゃ)
最近、『きんぷれ!』というKindle本の無料プレビューサイトを開設したんですけど……それをきっかけに多くのKindle本を読むようになって、すごく痛感しました。
「ああ、この作品はプロット段階で(感情移入を)よくチェックしてるな」
「ああ、コレはその辺を腰溜めで書いてるな、あるいはフローチャート程度に事象を並べて、その上をベルトコンベア的に転がしてるだけだな」
でも、だからといってフローチャートやメモに気持ちの流れを書きまくると、今度は文章が長くなりすぎて、全体を俯瞰するのが難しいんです。
たとえばの話、行動では殴るという一瞬で済む項目が、背景にある気持ちを補足したとたん、数行の文章になったりしますから。実際、ゲームの仕事でシナリオ書いてた頃、フローチャートにキャラの気持ちをメモとして補足しまくったら、関係ないコトいっぱい書かないでくれって、プログラマーさんに怒られました(笑)。
まあ確かに、プログラマーさんにそこ(人物の背後にある気持ち)は関係ないんですけどね……。

気持ちの流れはプロット。フローチャートや箱書きと役割をわける

よって、フローチャートや箱書きに気持ちを書きまくるのはいただけない。やっぱり別にプロットを用意して、気持ちの流れを確認してから、具体的なフローチャートや箱書きに落としこんでいく……のがいいのかなあ、と思えてしまったのです。
正直、作業的にはけっこう面倒臭いんですけど(笑)、締め切りという概念のないKindle本だからこそ、構成やプロットにはもっとこだわりまくっていいんじゃないかと思う次第です。

プロットで大事なコツは、もう1つあるんですが……

それは次回(笑)。
少しヒントを出すと、本講座が最初から提唱している「ストーリーより先にキャラを考えろ!」という話に帰結してしまう部分なんですが……。勘のいい人や上の作品紹介の例をよく読んだ人であれば、「ああ、プロットを面白くするにはコレが必要って話か!」……と、事前に分かるかもしれません。
ではまた!。

この記事を書いた人

本名:小久保真司(こくぼしんじ)
1974.10.12.うまれ。
東京都台東区の山谷地区出身。慶応義塾大学総合政策学部を卒業後、専門学校や声優養成所の事務員として働きながら漫画原作者に師事し、シナリオライターに。コンビニ向けのペーパーバック漫画やゲームのシナリオライターとして活動する。現在は通常のライター業も請けつつ、KDPでオリジナル作品を発表中。他に、自分と同じKDP作家を支援する活動も行なっています。→『きんぷれ!』(http://kin-pre.com
Kindle本「DISTANCE (がんばれ!アクターズ戯曲シリーズ)」好評発売中

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