こんにちは、きんどるどうでしょうです。いま話題、もしくはこれから話題になるであろうKindle作家にインタビューするKDP最前線。今夜はその第142回。
CSK、アスキー、ライブドアの隆盛を内部から見てきたプロの出版人。「好きなことをして生きていく方法」を執筆した根岸 智幸さんです。
根岸さんには本作執筆のキッカケやオススメのポイントをなどを語っていただきました。さぁ、いったいどんなお話が聞けるのでしょうか。もちろん、本作はAmazonKindleで無料で試読が可能です。
著者プロフィール
根岸 智幸(ねぎしともゆき) Twitter @zubapita
1963年生まれ 東京都出身 東洋大学文学部国文学科卒 物書きで、企画屋で、プログラマ。
月刊インターネットアスキー編集長(1998~2000)2000年にクチコミ・グルメサイトの原型となった「東京グルメ」を企画・開発。2004年にライブドアに東京グルメを営業譲渡しライブドアグルメにリニューアル。2006年に出版社の献本を書評ブロガーに届ける「本が好き!」を企画・開発。
著書に『Twitter 使いこなし術』(アスキー新書・2010年)など。現在は株式会社ブックウォーカーで「ミニッツブック」などの電子書籍関係の仕事をメインにしつつ、週刊アスキーに書評を書いたりしています。
趣味は小6の息子と空手を学ぶこと&小6の娘とももクロやさくら学院のライブに行くこと。
今回お話を伺ったKindle本
好きなことをして生きていく方法
根岸 智幸 (著)
価格:200円
就職、転職、仕事、生きがい。うまくいかずに悩んでいる人のための、「好きなことを仕事にして生きていく」ためのガイド。 CSK、アスキー、ライブドアという各時代に強い影響を与えたITベンチャーでの経験から、楽しく生きるための考え方を説きます。
角川直営の電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」さんでも買えるそうです。 → BOOK☆WALKER「好きなことをして生きていく方法」
作家インタビュー
――この作品を書いたキッカケを教えてください
仕事で個人向けの電子書籍出版サービスの調査をしていて、試しに自分でも出版してみました。
就職や転職で悩んでいる人のことをネットで見る度に気になっていたので、自分の人生をネタに、仕事に悩んでいる人たちの参考になる本を目指しました。
下準備なしに書けるテーマであったというのもありますが。
――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?
CSK、アスキー、ライブドアという80年代、90年代、2000年代を代表するITベンチャーの最盛期を内部から見てきた経験を軸に、「楽しく働く」「好きなことを仕事にする」というのはどういうことか、を綴ってみました。
そのとき現場にいた人間しか語れない貴重なエピソードもありますので、アスキーやライブドアに興味のある人にも面白い読み物になっていると思います。とくに「ライブドアグルメ」と「食べログ」に関するエピソードは、ほかで読めない貴重な話です。
――作品を書くうえで悩んだところは?
記憶に頼って書いているので、間違いや一方的な思い込みを書いてしまう不安がありました。
そこで、いったん書き上がった原稿(約1万7000字)をfacebookのノート機能を使って友達限定で公開しました。それに対して、CSK、アスキー、ライブドア時代の同僚や知り合い、それ以後に知り合った編集者やライターさんから、誤字の校正から事実誤認、構成に関するアイデアなど幅広く意見をもらって加筆修正し、2万3000字以上になったものを出版しました。
――執筆にかかった期間はどれくらいですか?
最初に試しに書いた5000字は半日。それに書き足し修正してfacebookに公開するまでに2週間。facebook公開から1週間ちょっとで出版しました。つまり、3~4週間で出せたと思います。
雑誌や紙の書籍の原稿のように字数や構成のシバリがないので出版経験者としては楽でした。
――プロモーションの秘訣を教えてください
電子書籍屋としては、書誌データがいちばん大事と普段言ってます。表紙に文字をたくさん入れても読めないので書誌データにしっかり入れる。とくにAmazonは長文を入れられるので、目次とあらすじは絶対必須。
なのに、自分の本に目次とあらすじを入れるのを忘れました……(紺屋の白袴状態)。今度、追加します。
――読者からの感想はありましたか?
本が好き!のユーザーの方が、さっそくレビューを書いてくれました。ありがたいですw → http://www.honzuki.jp/book/222105/review/129443/
facebookで繋がっている人たちは、出版前のバージョンで感想をいただいてしまったので…。
――電子書籍についてどう思われますか?
場所をとらず、デバイスも複数使えるので、持ち歩きや積ん読には便利です。いまは電子版があれば必ずそちらを買うことが増えています。ただ、一部を除くと本文をコピペできないし、買った本の串刺し検索もできない。電子メディアとしてはWeb1.0にも昔の「電子ブック」にも及ばない、未熟なメディアだと思います。
――ブログ等の個人メディアを運営していますか? その場合気をつけている点はありますか?
ほとんど開店休業のブログがあって、最近はハフィントン・ポストにもアカウントを貰いました。
ブログを書くとTwitterのフォロワーが増えるので、自分自身をプロモーションする意味では、もっと書かないといけないと思っています。でも、僕のフォロワーやブログの読者はアニメやアイドルの話を書いても喜ばないので、IT系の話題や少しでも役にたつ話題があったときに書くようにしています。
逆に言うと、ほかの人と同じことを書いてもしょうがないと思っているので、オリジナルのアイデアがあるときだけ掲載するようにしています。これはほかの人が真似するべきかどうかはわかりません。ただ、文章を書く限りは差別化は必要だと思います。
――Kindle で出すにあたって困ったことはありますか?
今回は個人向け出版サービスBCCKS(http://bccks.jp)を使用したので、ほとんど苦労はありませんでした。
いくつか同様のサービスを試したのですが、BCCKSは独占出版権を主張しない上品なサービスであること(著者としてこれが一番重要)、表紙エディタが自動生成する表紙の質が高いこと、Markdown形式で見出しを付けたテキスト原稿を貼り込んで一発入稿できること、Amazon Kindle以外の電子書店にも配本できること、紙版もPODで制作できることなど、魅力的な点が多々ありました。
ただ、動作が少し重いのと画面デザインが独特なのがちょっと気になりました。また、配本には1回500円かかります(500円で全書店に配本できますが)。実はBCCKSの中の人が知り合いで、出版直後にいろいろメールで注文をつけてしまいましたが、全体的には良いサービスだと思います。
――月刊インターネットアスキーなど2誌の編集長を務められた、とのことですが、電子書籍の雑誌はこの先盛り上がっていくと思いますか?
ブックウォーカーが今年始めた「dマガジン」という紙の雑誌のまとめ読みサービスが非常に好調です。つまりスマホやタブレットで雑誌を読むという行為にニーズはあるようです。
また、個人的にも雑誌はとっておくと場所をとるので、保存性の観点からも電子版の存在はありがたいです。
ただ、雑誌は単行本に比べると閲覧性においては紙のほうがまだだいぶ有利です。ワイアードや三省堂が始めたように、紙の雑誌を買うと電子版も貰えるサービスが購入者にとってはハッピーなのでもっと普及するといいですね。
――書評コミュニティ『本が好き!』編集長をされているということですが電子 書籍が話題にあがることなどはありますか?
すみません、Amazonのプロフールを更新していませんでした。今は本が好き!の編集長ではありません(1ユーザーとしては使っていますし、仕事上の付き合いは、まだありますが)。
本が好き!を運営しているフライングラインでは、「YONDEMILL」というWebブラウザでEPUBを読めるサービスを展開しているのですが、このYONDEMILLの献本機能を使って何度かブックウォーカーの人間としてカドカワ・ミニッツブックの献本を行いました。その時点では、電子書籍に慣れないという意見が多かったのですが、なかには続き物の残りの巻を全部ご購入いただいた例もあります。
――Kindleで個人出版を目指す方にアドバイスをお願いします
とりあえずやってみることですね。Kindleに自分で原稿をアップロードしたほうが印税の料率の点では有利ですが、最初から売れる本を作るのは難しいので、BCCKSみたいな手軽なサービスを使って、まず一度やってみてはどうでしょう。
僕の場合、ライブドア時代の同僚やネットの知り合いがKindleの日本サービス開始当初にバンバン本を出すのを、自分は面倒で横目でずっと見ていたのですが、もっと早くやればよかったと思っています。
――今熱中しているものはなんですか?
アイドル。1年くらい某アイドルをテーマにしたブログをやって、今年のはじめには15万PV/月までいきましたが、現在は放置中です。
アイドルをテーマに本を書きたいのですが、文章がキモくならないようにするのが難しくてw
――今後の予定について簡単に教えてください
某社から紙の本を出す約束をしているのですが…。なかなか脱稿できません。電子では今後、どんどん出して行きたくて、実用系のネタを整理中です。最終的には小説を書きたいです。
――それでは最後に、読者の方へメッセージをお願いします
今回、実用書の体裁にしましたが、日本のITベンチャー史の一局面としても楽しんでいただけたらと思います。そしてできれば、Amazonのレビューを書いていただけると励みになります。
今回は初めてのセルフ出版で短めに書きましたが、CSK、アスキー、ライブドア、それぞれに書いてない面白いエピドードは山盛りあります。リクエストがあれば、そこらへんも書きたいと思います。
きんどるどうでしょうでは、KindleDirectPublishing、個人出版で頑張るインディーズ作家の方々を応援しています。
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