Twitter小説を知っていればRT「寝付けない時には」工藤伸一インタビュー

こんばんわ、Kindleどうでしょうです。KindleDirectPublishing、いわゆる個人出版で活躍する著者へのインタビューをお送りする”KDP最前線”。とうとう大台に乗りました第十回は、3年半かけて書かれた2,000篇のツイッター小説から厳選された100篇を収録した「寝付けない時には (twnovel@shinichikudoh)」を執筆した”工藤伸一”さんのインタビューを掲載します。

寝付けない時には

「寝付けない時には (twnovel@shinichikudoh) 」

「寝付けない時にはいっそ起きてしまえばいい」と誰かが言っていたのを思い出し起きてみたら葬儀場がパニックなった #twnovel
ツイッター小説。それはわずか131字で語られるストーリーだ。作家・内藤みか先生が考案されたツイッター小説は多くの書き手を生み出し、静かなムーブメントを起こした。著者である工藤伸一さんはそんなツイッター小説を3年半かけて、なんと2,000篇も考案されている。その中から厳選された100篇が収録されたのが「寝付けない時には (twnovel@shinichikudoh)」だ。表紙を見る限り「寝るこは誰だあ!」と言わざるを得ない奇っ怪な印象を受けるが、中身の小説本編はアメリカンジョーク集を読んでいるかのようなユーモラスさがある。シニカルなものからダークなもの、そしてロマンチックなものまで。ツイッター小説に自分も挑戦してみようかな?と思わせてくれる魅力が本作にはある。
工藤伸一さんには、本作のセールスポイントや特にお気に入りのシーンなどを語っていただいた。

インタビュー with 工藤伸一さん

――この作品を書いたキッカケを教えてください

もともと小説家志望で何度か新人賞に応募したりしていたものの上手く行かず、そのうち小説を書かなくなっていきました。ところがツイッターを始めてみると、140字以内で書く「ツイッター小説」に出会い、140字なら書けるかもと思って、過去に書き残していた小説の断片を使ったりして書くようになりました。
今では2,000篇を超えていますが、もちろん出来の良し悪しもあるので、フォロワーさんから「お気入り」された数の多い上位100篇を選びました。出版しようと思ったキッカケは、2012年11月18日(日)に、東京流通センター第二展示場で開催された「第十五回文学フリマ」という活字系の同人誌が販売されるイベントに行ったところ、会場で久々に会った日雇い君という友人に「山田佳江さんの『未来少女ミウ』というKindle本が売れている」という話を聞いたからです。
もともと日雇い君、山田佳江さんのお二人とは「Texpo(テキスポ)」という「2ちゃんねる創作文芸板」関連の創作サイトを通じて交流がありました。そのサイトが閉鎖されてからはツイッター上でつながり続けていたんですが、Kindle本に関するツイートは読み逃していたため、ツイッターのまとめサイト「Togetter(トゥギャッター)」にて山田佳江さんがKindle出版についてツイートしてきた過去ログなどを読むうちに、自分でもやってみようと思い立ちました。

――元々小説を書かかれていたんですね。しかし、140字とはいえ2,000篇はスゴイですね。では、作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

1篇140字以内なので、ちょっとした時間に読むことが出来ます。「お気に入り」された数の多い順なので、ある程度の面白さの基準は超えているはずです。最初の作品が最も「お気に入り」されていて、以降100篇までは「お気に入り」がどんどん減っていきますが、それでも5人以上が「お気に入り」してくれているので、それなりに楽しめると思います。また「文字でしか表現できない作品」も幾つかあるので、そこがセールスポイントだと思っています。

――味わい深い言葉遊びや、ひねりの効いた小話が痛快ですね。ところで、小説を書こうと思ったキッカケはなんですか?

中学生だった頃に国語の教科書に掲載されていた、星新一さんのショートショート『人間的』が面白かったので、それ以来ショートショートを読むようになり、そのうち自分でも書くようになりました。でもその前に、小学生の頃に書いた作文がフィクションだったりすることもあったので、いつの間にか書き始めていたんだと思います。

――ロボットがとっても「人間的なある癖を覚える」というやつですね。星新一らしいウィットな作品です。いいですなー。では、本作で1番読者に伝えたいテーマはなんですか?

たった140字でも小説が書けることと、ツイッターなどのサイトが新しい小説ジャンルを生み出せる可能性を伝えられたらと思っています。

――その想いはとても伝わってきました。ダイレクトに読者へショートストーリーを届けられるというのは本当に面白いですね。では作品を書くうえで悩んだところは?

執筆の段階では、時事問題なども含めてアイディアが浮かぶたび頻繁に書いていたので、特に悩むことはなかったですね。しかしツイッター上で「お気入り」された数の多い順に選ぼうとしたところ、著作権のある歌詞の引用を含む作品や、内容が悪趣味すぎて叩かれまくった記憶のある作品を載せるべきか悩んだ結果、それらは念のため除外しました。

――曲がりなりにも公に販売するものですからね。個人出版だからこそ、この辺りのモラルは厳格にしていく必要がありそうですね。ところで、執筆にかかった期間はどれくらいですか?

ツイッター小説を初めて書いたのが2009年07月25日なので、それから数えて3年半くらいになります。その間に「お気入り」されたものを選ぶ作業はさほどかかっていませんが、何度か修正を加えているため、現状に至るまでには20日ほどかかっています。

――それでも20日でここまで仕上がったのですね。リンクを探す作業もなかなか大変だったと思います。では、Kindleで出すにあたって困ったことはありますか?

Kindleダイレクト出版に関するルールを完全に把握していないまま作ったので、後で気づいて何度も修正することになりました。特に文字のフォントを指定する<SPAN>タグが含まれていると「iOS」アプリが非対応になってしまう問題がありました。WORDベースで作ると自動的に<SPAN>タグが使われてしまうようで、今もその対応を考え中です。

――HTMLに関する知識はハードルが高いですからね。また、お困りになった点解決されたらノウハウをKDP作家同士で共有していただければ助かります。

――それでは、Kindleで個人出版を目指す方にアドバイスをお願いします

Kindleダイレクト・パブリッシングでは、自分で作った電子書籍を簡単に販売および修正することができますが、そのかわり内容に問題が見つかったとしても修正が反映されるのに48時間以上の時間がかかります。
いちおう購入者に修正されたことを通知できる機能もありますが、そちらは1カ月ほど要する可能性があります。なので事前に表示テストなどを十分に行って、出来るだけ問題の起きない状態にしてから出版することをオススメします。

――修正期間は大きな問題ですね。しっかりとした確認のために校正を手伝ってくれる人を確保できるような人脈も必要となりそうです。ところで電子書籍についてどう思われますか?

作り手としてはパソコンさえあれば印刷費などのコストをかけずに出版できますし、読み手としてはタブレットやスマホがあればいつでも読める利便性があります。また絶版でプレミア価格になっているような本でも安価で入手できるところが嬉しいですね。購入済みの電子書籍のデータはネット上に保存されているため失くす心配もありません。また古本との兼ね合いで考えると、著者および出版社の儲けに繋がることも大切な要素だと思います。その辺については思うところありますが、長くなりそうなので割愛します。

――出版業界全体が盛り上がるようになれば良いですね。では工藤さんの今後の予定について簡単に教えてください

気になるKindle本のレビューを出来るだけ書こうと考えています。それを活力にして自作にも反映できたら良いですね。
いずれ最低でも400字詰め原稿用紙100枚以上の作品を発表するつもりです。過去に書いたものは結構あるので、推敲し直して納得の出来るものになれば、それを出したいところですが、新規に書きたい気持ちの方が強いです。

――新作楽しみにしております。良ければ本作を読んだ方にオススメしたい本や映画を教えてください

ツイッター小説を使った本は過去にも何冊か出版されているので、それらも併せて読んでみてほしいですね。
Twitter小説集 140字の物語 内藤 みか、安達 瑶、新城 カズマ、小林 正親、渡辺 やよい、吉井 春樹、泉 忠司、黒崎 薫、枡野 浩一、円城 塔 (共著、収録順) ディスカヴァー・トゥエンティワン
10名のプロ作家によるツイッター小説が読める本です。
『少女と移動図書館』竹雀 綾人 (著), フジシマ (イラスト) 集英社スーパーダッシュ文庫
1年間、毎日ずっと書き続けられたツイッター小説の連作が、ライトノベルとして出版された、著者のデビュー作。
『3.11 心に残る140字の物語』[Kindle版] 内藤 みか(編・著)学研パブリッシング
東日本大震災や原発事故をテーマにして書かれたツイッター小説100篇を収録。僕の作品も2篇掲載されています。 印税のすべては復興支援金として寄付されました。
『新装版 ブラック・ジョーク大全』阿刀田 高(著)講談社文庫
648篇という作品数の多さに圧倒されます。本来の発売日は1983年9月ですが、新装版が出ているので、そちらを紹介しました。僕のツイッター小説に会話だけのものが多いのは、おそらく本書の影響です。
登校途中の出会い頭の偶然キスはありうるか?実験』駕籠 真太郎 (著) 青林工藝舎
何かと考えさせられる小ネタが満載の漫画短篇集。

――それでは最後に、読者の方へメッセージをお願いします

ツイッター小説が好きな方はもちろんのこと「ツイッター小説って何だろう?」と思っている方にも読んでほしいです。そんな読者の方々も自分でツイッター小説を書き始めるキッカケとして本書が機能してくれたなら本望です。

著者プロフィール

工藤伸一
■文学・サブカル・ゴシックを嗜むスキゾギーク
■ブログ:悪魔が昨日、し忘れたこと。 http://goo.gl/yyPBJ
■『新文学』同人 http://goo.gl/m4Efc
■ツイッター小説は約2千篇 http://goo.gl/PMxiX
■うち2篇収録『3.11心に残る140字の物語』 http://goo.gl/QuKPI

価格:100円

僕の書いたツイッター小説の中で、今のところ最も「お気に入り=ふぁぼられ」数が多かった作品のうち、上位100篇を収録。出版に際して問題がありそうな作品は出来るだけ除外しましたが、それらは僕のツイッターアカウントで読めます。https://twitter.com/shinichikudoh
なお副題にある「twnovel」とは、作家・内藤みか先生が考案された「ツイッター小説であることを示す文字列=ハッシュタグ」のこと。「ツイート=つぶやき」内に「#twnovel」と記載する必要があるため、このタグを使った作品群は、ツイッターに投稿できる上限140字ではなく、タグ及び前後につけるスペース分の9字を除いた、131字が上限となります。
またツイッターで小説を書いているユーザの中には「#twnovel」以外のタグを使ったり、そもそもタグを使わない方もいますが「#twnovel」ユーザは数多くいます。
ちなみに表紙は、奇想漫画家・駕籠真太郎先生に描いてもらった僕の似顔絵で、ポンティアナと呼ばれる首抜け妖怪がモチーフになっています。

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