青春は苦くて面白い「ゴースト≠ノイズ(リダクション)」を執筆した”十市 社”さんにインタビュー

こんばんわ、きんどるどうでしょうです。いま話題、もしくはこれから話題になるであろうKindle作家にインタビューする”KDP最前線”。今夜は第67回「ゴースト≠ノイズ(リダクション)」を執筆した”十市 社”さんです。さぁ、一体どんなお話を聞けるんでしょうか!
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十市 社「ゴースト≠ノイズ(リダクション)」

高校入学から七ヶ月。
一人の友達もなく、1-Aの幽霊として誰からも認知されない孤独な日々を送っていたぼくは、放課後、一人の女子生徒から声をかけられる。
明かりが消え静まりかえった教室。五ヶ月ぶりのクラスメイトとの会話。
二学期になって頻繁に欠席するようになっていた彼女は、なんの未練があって毎日学校に来ているのか、とぼくに問いかける。
「幽霊になる前だって、この学校に――この教室に、楽しいことなんかなんにもなかったはずなのに」
彼女は答えにつまるぼくをからかい、自分が休む理由を語ろうとはしなかった。
そして、ほかのクラスメイトにばれないように、来月に迫った文化祭の研究発表の準備を手伝ってくれる気はないか、とぼくに持ちかけるのだった。
そうして、ぼくたちはときどき誰もいない放課後の図書室で落ち合うようになった。
孤立からくる耳鳴りに苦しむぼくと、ぼくを利用し、理由を語らず欠席を繰り返す彼女。
ぼくの孤独な日常は少しずつ変化しはじめる。
そんななか、校内では連続動物虐待死事件の話題が持ちあがって――

『幽霊という直接的なフレーズが聞こえてくると、ぼくは窓の外へ目線を戻した』
クラス内カースト制度って一回作られちゃうともうどうしようも無いよねぇ…。それでも学校には行かないとならんわけで。この作品はちょっとした失敗からクラス内で最底辺になってしまった通称”幽霊”のぼくと一風変わった彼女との出会いだ。上下巻でかなり読み応えのある作品だ。腰をすえて電子書籍を読んで見る!という人には是非読んでみて欲しい。手に取りやすいよう上巻がキャンペーン価格で据え置かれています(笑)
十市 社さんには、本作執筆のキッカケやセールスポイントなどを語っていただいた。もちろん、本作はAmazonKindleで無料で試読が可能だ。

インタビュー with 十市 社さん

――この作品を書いたキッカケを教えてください

まず、新しい話が生まれる初期の段階としては、全体像や方向性といったものが簡単な図形や折れ線グラフなんかで頭に浮かぶことが多いです。
車でいうとデザインや設計図の元になるコンセプトイメージみたいなもので、今回の場合も、まず一つの『図形』が頭のなかにありました。
どんな形かは話の核心部分に関わるので伏せますが、もう一つ、きっかけと言える出来事があって、それは同じ時期に読んだある地方新聞の記事です。
数ヶ月後に高校受験を控えた中学生が犠牲になったある事故について、担任の教師からクラスメイトに報告する場面を取材したものだったのですが、記者の腕がよかったのか描写される教室の様子がとても痛ましく、非常に胸に迫るものがありました。
以来その教室の様子と、犠牲になった中学生が命を落とすことになる現場で立ち尽くしているイメージとが脳裏から離れなくなり、それらが頭のなかにあった『図形』と出会って、癒着し、細胞分裂を繰り返してできたのがこの話、ということになると思います(物語の登場人物は高校生ですが)。

――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

そこそこ文量はあるけど読みやすい、読みやすいけど読み応えもある、というところでしょうか。
原稿用紙で500枚、文庫本換算で350ページほどのボリュームがあります。
ライトノベルのようなお手軽さ・お気楽さとはいきませんが、腰を据えて読んでいただけると「読書っていいよね」と感じてもらえるんじゃないかと思います。

――作品を書くうえで悩んだところは?

時間が足りない、という一点に尽きます。
一日が24時間じゃなく、せめて原稿用紙三枚書き終わるまでは次の日にならないことになればいい、と本気で思っています。

――小説を書くときのこだわりってありますか

肝に銘じているのは、言葉は情報の非可逆圧縮なので、圧縮したものを解凍してもオリジナルには決して戻りえない、ということです。
なので、伝えたい事象を正確に言葉にするのではなく、解凍したものが伝えたい事象になるべく正確であるように心がけています。

――読者からの感想はありましたか?

おかげさまでもったいないぐらいの評価や感想をいただけているので、そのたびにディスプレイの前でワナワナ震えています。
今まで賞などに数度応募し、編集者視点でのコメントやアドバイスをいただいたことはありますが、親兄弟や知人にも言わずに書きつづけてきたので、読者の生の反応というものに触れたことがありませんでした。
そのせいで、若干ツイッターやブログなどでの反応が気味悪がられているんじゃないかとも思いますが、全て本心なので落ち着くまでもうしばらく生温かく見守ってくださいという気持ちです。
だって嬉しいんですもん。

――執筆にかかった期間はどれくらいですか?

毎日書いていたわけではありませんが、期間としては二年強だと思います。いつも時間かかるんです。

――今回は上下巻にわけて出版されていますが、何か戦略などはあったのでしょうか。

戦略というほどのものではありませんが、やはり無名の人間が書いたものをただ「はい、○○○円で」と出版しても、なかなか手を出してもらえないだろう、という問題がありました。
そこで上・下巻にわけ、上巻をお試し価格にしたら手を出してもらえる確率は上がるんじゃないか、と考えました。
偶然ですが、ちょうどいいところに物語上の区切りもあり(『図形』のおかげです)、分冊を一つの演出としても捉えられることもあって、今回はこの方式でいくことに決めました。

またこの本の準備を進めていたとき、ネットの一部でKDPの作品に最適な価格設定と文量についての議論がされていて、あまり分厚いものはKindleには向かないだろう、という論調がありました。
今はあまりその議論に意味はなかったと思っていますが、それも分冊を考える一つのきっかけにはなりました。
今のところしっかり下巻の購入にもつながってくれているので、結果的にこの判断でよかったと思っています。
ただ、上巻はあくまでキャンペーン価格のつもりなんですが、もう変えるタイミングがないかもしれないです(笑)

――最近組版に関する情報をブログで積極的に書かれていますが、もともとDTPなどはされていたのですか?

いえ、全く(笑)
DTPがなんの頭文字なのかも知りません。
組版のことは、たまたま再現したいレイアウトを求めた結果ぶち当たった問題として取りあげました。
DTPのお仕事をされてる方から見たら、何を見当外れなことを言ってるんだ、と言われてしまうところもあると思いますが、素人なので容赦してください。

――アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?

DHCのDHAサプリを欠かさず飲む(笑)
あとは質のいい睡眠をとって(これが一番難しい)、おいしい緑茶を飲むことです。
脳が疲れてきたら氷砂糖をなめると二十分くらい復活します。

――この本を紙で出したいという出版社が来たらどうしますか?

出版社さんとこの本と、読者と自分にとってプラスになるお話であれば前向きに考えたいと思います。

――Kindle で出すにあたって困ったことはありますか?

全てといっても過言ではないくらい困りました。
電子書籍の構造を勉強するところから始まって、初めて触れるhtml、表紙の作成での徹夜、過去の自分と闘いながらの推敲、誤字脱字のチェックと、楽な作業は一つもありませんでした。
全てが未知の経験でしたが、おかげで少しだけ経験値は上がりました。

――それでは最後に、読者の方へメッセージをお願いします

ぜひ上巻だけでも試していただけたら、と思います。
そのうえで、この二人がどんな結末を選ぶのか、見届けてもらえたら光栄です。

著者プロフィール

十市 社 Twitter @TohchinoYashiro
愛知県在住。3月7日生まれ。
ミステリー好きの両親の影響で小学生のころから児童書の傍ら西村京太郎や赤川次郎、山村美紗などを片っ端から読んで育つ。
中学、高校では人並みにマンガやゲーム、ライトノベルのぬるま湯に浴し、大学在籍中にふらっと立ち寄った書店で一冊の英国小説と運命の出会いを果たす。
このときの出会いが遠因となり執筆を決意。以降の活動で長編三作品を書きあげるも、筆の遅さは折り紙つき。
ブログ:Untitled Area
http://t-yashiro.publog.jp/
『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』作品紹介ページ
http://ghost-noise-reduction.publog.jp/


きんどるどうでしょうでは、KindleDirectPublishing、個人出版で頑張るインディーズ作家の方々を応援しています。新刊やキャンペーンの案内を行いたいという方はお気軽に @kindouzon、もしくはメールフォームよりご連絡ください。

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