タレント的才能が無いわたしが考えた、電子書籍をたくさん売るためのメディア構築論

西田宗千佳さんにインタビュー頂いたので、そちらの記事告知を兼ねた電子書籍のお話。反響があれば次を書くといいつつ、大した反響はなかったのですが、恥ずかしげもなく第2回です。

書きはじめた理由は『出版社・編集者が売ってくれない』系の議論がなかなかX上で盛り上がっていて、今のところは『編集者は黒子であるべきか否か』みたいな話になってていっちょ噛みしたいから。(X Grok 編集者は黒子であるべきか

個人的には編集者が企画を立てて依頼して作った本ならまだしも、クリエイターさんが9割の仕事をした作品を「わたしが作りました(ドヤァ」は論外ですし、担当した作品を「あの先生のは売れなくてねー」というのは切腹モノだとは思うんですが……。わたしも自分が作ったわけでもない本を「何十万冊売った!業界トップの紹介者」と喧伝してるので似たような恥さらしですねワッハッハ

本記事の想定読者は編集者・書店営業・リアル書店員さんなどでクリエイター・読者向けではあんまりないですね。クリエイターさん向けも考えてはいるのでご期待ください。以下、インタビュー記事の宣伝です。

インタビュー記事 「きんどう」さんに聞く「電子書籍ってどうでしょう」(01)|note
https://note.com/mnishi41/n/na92080196a4e

本を売るためになんでもやるって言ったな?

わたしの恥っぷりはひとまず棚上げして『出版社は何も宣伝してくれない!』『編集者が売ってくれない』みたいな不毛な議論が起こるのは結局数字がでてないからでしょう。作家さんも十二分に数字がでて、売れ行きよりも執筆に追われてればそこまで不満もでないでしょう。つまり、売るしか解決方法はありません。

でも、表にはでたくない、でれない、才能がないという方向けのメディア構築論が今回のテーマです。わたしはクリエイターでもなければ大して鋭い視点も業界への知見もありません。書く文章も凡庸。唯一の強みは記憶力と自分のフォロワーの期待に合致する作品を探すセンスです。

そして、わたしのメディアは電子書籍を買いたいという読者の強いニーズを満たすよう構築されています。これは編集者・編集部・公式アカウントが持つべき機能と同じです。レーベルを愛し、レーベルの新着情報を求める読者に適切な情報を提供して本を買ってもらう。シンプルでしょう?あとはそのサイクルを加速させるだけです。

本を売るために!なんでもやります!とSNSで咆哮するのは結構ですが、いくつアカウントをお持ちですかね? もちろん30個は運用して、担当作家の新刊が発売される前から盛り上げたりされてますかね?(これは先日トレンドになったマンガのネタです X 30個 アカウント

なんでもやる、といいつつやってることが作家さんのポストをリポストして、最新話の更新をRPする? バズってるんですかそれ。合間合間で食べたモノとか、自分の意気込みとか載せてどれくらい実売伸びるんすかwww

もし、編集者が自身をキャラクター化させてファンの獲得を目指す戦略なら止めはしませんが、よほど才能がないと自分のせいで炎上させることもありえるのでご注意ください。Xは簡単に炎上させられるので、タレント的な才能がないと自覚してる方はシステムに徹したほうがええでしょう。

そのために仕組み化、つまりメディア構築です。ひと昔前に流行りましたオウンドメディアというやつですね。組織的な成功例はあまり聞かないのですが、電子書籍の分野で言えばわたしはかなり上手くやったでしょう。

電子書籍をたくさん売るためのメディア構築論

1.メディア特性を理解しよう
2.メディア設計をしよう
3.読者のためか、作品のためか、作者のためか、会社のためか、もしかして自分のためか

今回のメディア運用のゴールは『本を買ってもらう』ですが、Xを運用するなり公式サイトで誘導するなりも全てはそれを実現するための技術であり媒体でしかありません。作品の魅力を伝えるべく言葉を尽くすのか、素敵なイラストを掲載するのか、プレゼント企画、スペース、試し読み……すべての手法は読者を動かすためのメッセージです。

なので、まずは読者を集めなければなりません。それもとびきり「本を読みたい」と思う、貪欲で素敵な読者たちです。バズったポスト1発で数千部!なんかはタレントの仕事です。そんなのはクリエイターさんに期待すればいい。凡人は丁寧な仕事でそれらをサポートするだけです。

やる気の高い読者をひたすら集めて、優先的にメッセージを配信。作品を読んでもらう、課金してもらう、積極的にシェアしてもらう。そんな読者と関係を作ることがたくさん売るためのメディア構築です。ここにクリエイター的な才能は必要ありません、丁寧に情報を集める、それを整理するだけです。

1.メディア特性を理解しよう

代表的なものはSNSですね。ついでブログなりnoteなり。そして出版社(編集部)公式サイト。電子書店。リアル書店。リアルイベント。動画メディア。音声メディア(Xのスペース含む)等々。それぞれ役割が違います。ぜんぶについて細かく述べるのは無給でやる話でもないので代表的なものだけ

X - 読者ともっとも近い場所にある【コミュニケーションツール】アルゴリズムのアップデートがあったので必ず確認してください。今後会話の発生が重要になっています。編集者個人のXでやること、作品公式アカウントでやること、編集部公式アカウントでやること……それぞれが変わります。ただ、一貫するのはXとは瞬間的なメディアです。バズも炎上も3日続けば立派なもんで、話題は次々に流れます。つまり、メッセージを継続的に伝えることに向いていません。長期的なビジョンの共有は難しい、ただし瞬間的な熱量は最も高いので「ひとをその気にさせて、動かす」ことに優れています。すべての入口であり、注力すべきメディアです。

ブログ&公式サイト&ランディングページ - Xは継続的なメッセージ、関係を構築に向いてないと言いましたね。X上の活動だけで瞬間的で終わらせるのはもったいない。だから、ログを残す。それがブログであり、公式サイト等の役割です。作品のページならキャンペーンの案内はトップにあるべきですし、新刊の発売日やイベント情報等が集約されてるのがベストですね。公式アカウントの自己紹介欄、固定欄はそちらにあるのがベストでしょう。編集者なら定期的にそちらに誘導して、そのログ的メディアが電子書籍なりリアル書店への導線をつくる必要があります。

電子書店&リアル書店 - 最終的に読者が決済をする場所。ここが魅力的でなければ「ま、いつか買えばいいか」で終わります。Xなり、公式サイトなりでどれだけ読者のその気を高めても内容紹介が微妙とか、★3つ以下ならアウトです。書店で本が見つからない!なんて極地でしょう。決済に至るまでが経済的なメディア活動です。本を読んでもらうのが本当のゴールですし、読んだ本で動いてもらうのが理想ですが……そこは編集者としての本業とクリエイターさんの領域ですね。

えー、それらのメディア特性に合わせてメッセージを用意し読者を動かして『本を買ってもらう』は本来マーケティング・プロモーションの領域です。従来であれば編集者に求められる部分ではなかったはずですが、時代が変わっちゃいましたね。本格的に学びたいとお考えなら以下をオススメします。

つまりはXでバズらせて連載マンガサイト飛ばして読者をその気にさせてAmazon等で課金してもらう。この流れをスムーズに組むのがメディア設計です。

Xの運用ならエゴサして感想述べてる方には「イイネ!」を。それがフォロワー多数の有名人な方なら丁寧な御礼コメント返すとか、引用リプライとか。場合によっては「先生!〇〇さんが読んでくれましたよ!」って作家巻き込むとか。会話を発生させていくことが必要になります。編集部で美味しいご飯食べた、明日も頑張ろうはメディア活動ではありません。

2.メディア設計をしよう

これについては改善すべき例でも示せれば楽なんですが、勝手に題材にするわけにもいかないので……簡単な考え方だけ。Xについてだけ述べますね。どうせ細かく書いてもブログなんかやらんでしょう。

1.名前欄は認識されやすいものに
2.アイコンは視認性が高いものを
3.プロフィールはフォローして欲しい方が興味を持つ内容に

Xはフォローを集めることの意義が減ったとはいえ、ある程度のフォロワー数を確保するほうが初速がでます。個人的な目安は3000フォロワー。そこまでフォロワー数が今いないという方は『自分がフォローしている方の総チェックしなおして、必要ないものを切る』『こちらからもフォローする』『積極的な関係を築けるフォロワーを獲得する、育てる』を繰り返していくことになります。

一方的にポストしてファンが増えていくのはタレントのすることです。凡人はコミュニケーションしてください。そのために「わかりやすい名前」「目立つアイコン」「フォローする方が期待をもてるプロフィール」が必要です。

で、どういう人をフォローすればいいかわからない、という方は有名な編集者さん”を”フォローしてる読者の可能性が高い方を探せばいいんちゃいますかね。”が”ではないですよ。トップ層が注目してる方から3000フォロワーもない方をリフォローしてくれないでしょうから……。

最近知った方ですがスニーカー文庫の夏川さん、は面白そうだと思ってます。面識はないですけどもね。

フォロワーを獲得して、次はどういうポストをしていくのか。例えば編集者の個人アカウントであれば、作品への情熱を重視と作品公式アカウントフォローへの誘導。もともとの定義での”インフルエンサー”になってくれそうな、熱心な読者さんへのコミュニケーションとそれを拾っての拡散等々。

超熱心な感想文見かけた時、いいね!で済ませるんじゃなくて引用リプライで感謝を述べて、その引リプを作者にRPしてもらってバズらせてその下に作品公式アカウントポストぶら下げてフォロワーを増やせ、目立たせろ。作品の購買をしたくなるような誘導をしろ。

逆も然り。作家さんが読者の感想に「ありがとうございます!」と言ってるならちゃんとそれを拾って盛り上げろ。会話を生み出して、バズにつなげるんだ。

人を熱狂させるコンテンツも生み出せないなら、せめて盛り上がってる空気を作るのに貢献するんだ。火種が見えたら風を起こすんだ、それがXの特性を活かした凡人ができる最高の支援です。

あんまり強い言葉を使うと傲慢なので、この辺でトーンダウン。わたしの場合では作品紹介 > 作者や編集部公式コンテンツなどで宣伝をしたいと思ってることをシェア > リプライもらって加速させる ような運用をしていますね。

3.読者のためか、作品のためか、作者のためか、会社のためか、もしかして自分のためか

メディア設計するための根本部分になるんですが、誰のために運用するのかってしっかり設定しておくのが大事です。ゴールは「本を売ること」ではありますが、それは読者のため、作者のため、会社のためとどれを向いても実現できます。

ただ、その方向性がブレてると一貫した運用ができなくなるんですわ。わたしの場合で言えば読者8割、作者2割くらいの方向で運用してます。どんなに良くしてくれてる作家さんの新刊を心情では強く紹介してあげたい……と、思っても読者が求めているわけではないと思う時は優先順位を下げています。

できる範囲で、フォローしてくれてる、よくRPしてくれる作家さんの本は売れたら良いなぁとは思うんですけども……わたしは読者の第一の下僕であることを信条としています。

もし、本を売るためになんでもやる!という覚悟でメディア運営をはじめるとき、それは「誰のためか」の優先順位を設定しないと内容がブレるんです。内容がブレたメッセージは相手に届きません。

本を売るために!今日も頑張ったから!わたしはご褒美にお寿司を食べます!いいねください!……は、自分のためでしかありません。政治に対しての不平不満も、家族サービスの報告も……それなら日記でもつけるか、それに適したメディア。たとえばFacebookやmixi2あたりをオススメします。もしくはLINEで友達にでも言えば十分じゃないすかね?

おわりに

この対読者を想定したメディア設計系の話は大手出版各社の編集長さんや電子営業部さんにお話したことはあるんですが「予算が」「それは営業の仕事」ということで芽はでなかったですねー。わたしも今さら下請けやりたい話ではないので、興味を持った個々人が頑張ってください。面白いですよ、メディア設計とメディア運営。

各電子書籍ストアにもずっと思ってるんですが、対読者とのコミュニケーションを想定したメディア運用ができてないんですよ。単純に「新刊・セール・キャンペーン」が届いていない。毎週3千〜5千冊くらい次々に配信される本に対して、課金する側に情報収集を任せすぎです。

FGOで考えてみよう「イベントのたびに新規★5サーヴァントが5体追加」みたいな。課金対象が!多すぎる!

そんなところでしのぎを削るわけですから、熱心な読者のためにもっと丁寧な情報提供をしたほうがいいですよ。担当作品を何作も抱えてる編集者なら自分で新聞を作るくらいの意気込みがあってもいいと思うんですけどねぇ。

さいごにインタビュー記事のご紹介。合計4回あるそうなんで、この記事がウケればクリエイターさん向け、次もウケれば読者さん向けのたぶんアフィリエイト論みたいな話をします。

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