【書評】『そしてボクは外道マンになる』あの平松伸二先生の自伝漫画というだけで興奮できるなら即買いだ

こんにちは、きんどるどうでしょうです。きんどうが気になってる新刊を代わりに紹介してくださいというゲスト書評企画。平松伸二の自伝マンガ『そしてボクは外道マンになる』のレビューをいただきました。

平松伸二先生は代表作に『ドーベルマン刑事』『ブラック・エンジェルズ』『マーダーライセンス牙』……そして『ザ・松田』などの代表作をもつアウトローマンガの大御所ですね。そんな平松先生が初々しい新人からいかに外道になっていったのかを荒々しく描かれています。

いやぁ、ヤがつく編集者といえば秋田書店のイメージですが、集英社も明らかにヤバイですね。これが自伝なら、ですけれど(笑) 9月に第1巻が配信されたばかりですが、もうすぐ10月19日には第2巻が配信されるようです。


あの平松伸二先生の自伝漫画というだけで興奮できるなら即買いだ

どうも、ハンハンス と申すものです。今回も一つ、レビューをやっていきたいと思います。

紹介いたしますのは、平松伸二先生の自伝的漫画『そしてボクは外道マンになる』です。

そもそもまず、皆さまにおかれましては、平松伸二、という名前にどういう気持ちを抱くでしょうか。1970年代の少年ジャンプ時代の『ドーベルマン刑事』や『ブラックエンジェルズ』を思い起こしたり、1980年から2000年代の『マーダーライセンス牙』シリーズを想起したり、2010年代『ザ・松田』のネタっぷりに心を馳せたり、あるいはまったくの誰それ? という感想もあるかもしれません。

そんな色々な相貌を持つ、あの平松伸二先生が、なんと自伝的漫画に手を染める。その文字列だけで興奮出来る方には、そのままの勢いで購入しても全く問題ありません! と申せますが、そんな酔狂な人はそう多くないと思うので、これが如何なることなのかというのを、つと説明させていただきます。

そしてボクは外道マンになる 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

平松伸二 (著)
価格:500円

1970年代、激動の「週刊少年ジャンプ」でデビューを果たした若き漫画家・平松伸二。やがて不動の人気連載作家へと成長するが、それは、想像を絶する厳しく険しい道のりであった…。岡山の片田舎で生まれた少年が漫画家を目指し、外道漫画家・「外道マン」に至る漫画家人生をドキュメンタリータッチで描く、著者入魂の一作!!

漫画家さんが伝記漫画を描く、というのは、それ自体は特に珍しくもありません。それが通常の伝記、例えば『ブラックジャック創作秘話』や、本当に偉人伝記とかもそうですありますし、また自伝な漫画も、『激マン!』や『アオイホノオ』などあります。

この『そして僕は外道マンになる』も、また自伝的な漫画であり、70年代週刊少年ジャンプからの話であり、なので主体である平松先生の漫画家人生とそれに絡んだ人たちの話として立ち上がっています。自伝的漫画、という時点で既に、70年代だったり初期の掲載誌ジャンプだったりとで他とは完全な差異化が為されていますが、その上で更に他の漫画を寄せ付けない妙味として、まず一つ、編集さんがどうみての<や>の付く職業の方にしか見えない、過剰な表現な点があげられます

平松先生は長らく「オブラートに包むと柄の悪い人間」 オブラートに包まないで言うと「腐れ外道」というのを描き続けられてきた漫画家さんなので、そのスキルを余すところなく使ってしまうと編集さんが見るからに柄が悪い恰好になってしまいます。権藤さんはこの柄の悪さに加えて更に木刀を背中に隠し持っているという謎のキャラ立てによって、編集者というのが漫画家にはおそろしく恐ろしいという事実をまざまざと見せつけられます

とはいえ、権藤さんも無茶は言いますが不可能なことを強要はしません。

例えば、平松先生が新連載の話、『ドーベルマン刑事』の話を持ってこられて躊躇しているところで、喝を入れてあげたりもします。まあ、木刀で寸止めしたり、殴った勢いで薄いコンクリート壁を突き破ったりはしますが、それくらい、ジャンプで連載するということの重みをよく分かっているからこその行動です。壁突き破ったのはさすがに創作でしょうけれど。

そう、創作なのです。このようなシーンは基本的には事実がベースはあっても、それが大きくスィングしているのです。そして権藤さんがこのように過剰にされているのは、当時のジャンプ編集部の気迫というのの化身として一面もあるのではないかと思います。そういう空気の一端が、次の画像にも表れています。

一々つっこむと日が暮れてしまうレベルでつっこみ所が満載ですが、このような、刀の切れ味はなかったにせよ、あの本宮先生をして直談判するという状況とその痛快さ、あるいは机を一刀両断というその行状を見ても説得にかかる編集上層部の胆力というのを、一種の過剰演出として繰り出しています。ここまで無茶苦茶ではなくても、それに近い、剣呑な雰囲気があったのは間違いないのかな、と考えられると思うのです。思い違いかもしれませんけれども。

この漫画の妙味はスィング以外にももう一つあり、それは平松先生の画業40年で培った漫画力の冴えです。たとえばこのシーン。

ぱっと見、特に異変のある場面ではないのです。編集長が権藤さんに、平松先生を飛躍させろ! というよくあると言えばよくある場面。しかし、思い出していただきたい。これは自伝漫画。つまり、平松先生はこの場に居てこの話を聞いた訳ではないのであり、この後権藤さんにはっぱをかけられたことはあろうとはいえ、ここの部分は完全に創作の域なんですよ。

講釈師、見てきたようにものを言い、です。でも、非常にしっくりはまる。こういうのがあった、というのが全く不自然さを感じさせない。これこそ、自伝<的>漫画の冴えであります。さすがに40年近く漫画描いている人の作品は違う、と唸らせるものがあります。

さておき、この漫画の題名は『そしてボクは外道マンになる』です。ですが、この巻ではまだまだ平松先生は若く、つたないだけです。まだ外道を描くというのに慣れていないので、新宿歌舞伎町にぶっこんでひどい目にあわされたり、堀の中のド外道と対面していますが、まだこの外道めらが! という気概が見えるだけです。外道マンという言葉の表すであろう立ち位置には至っていません。そもそも外道マンってなによ? なんですが、それについてはこの画像がその思考の一助になるかと思います。

序盤で上京してきたばかりの平松先生とは比べ物にならないくらい凶相になってしまっています。一端の外道漫画家、という謎のくくりというかそんなのあるんですか!? な言葉も飛び出して、このように精神的に外道汚染されるのが外道マンの姿なのか、と理解できるかと思います。このようになって行く過程が大変面白そうなので、早くその話をしていただきたいところです、というのを結びの言葉とさせていただきます。

AmazonKindle電子書籍で『そしてボクは外道マンになる』

そしてボクは外道マンになる 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

平松伸二 (著)
価格:500円

1970年代、激動の「週刊少年ジャンプ」でデビューを果たした若き漫画家・平松伸二。やがて不動の人気連載作家へと成長するが、それは、想像を絶する厳しく険しい道のりであった…。岡山の片田舎で生まれた少年が漫画家を目指し、外道漫画家・「外道マン」に至る漫画家人生をドキュメンタリータッチで描く、著者入魂の一作!!

そしてボクは外道マンになる 2 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)【10月19日配信予定】

平松伸二 (著)
価格:500円

「オレは漫画家としてオメエを認めねえ!」。権藤の一言が、伸二の心に突き刺さる! 見返したい一心で『ドーベルマン刑事』を描き続けるが、そんなある日、届いた初の単行本に号泣する…!! 締め切りに追われながらも脱童貞、遠距離恋愛──、順風満帆に思えた連載3年目、現れた新担当とは!? 漫画家の苦悩、編集者との確執、怒濤の第2巻!!

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