【書評】王様のブランチをそこそこ楽しんでる場合じゃない 吉田貴司『やれたかも委員会』

こんにちは、きんどるどうでしょうです。新企画「きんどうが気になってる新刊を代わりに紹介してください(仮)」。あのとき、もしかしたら、あの子と……というやりきれなさに悶える話題作『やれたかも委員会』のレビュー頂きました。

こちらはCakesやNoteとネットメディアで掲載されている話題作の書籍化ですね。テーマがテーマなので賛否両論もあるのですが、積極的に頑張っていた人だとまぁ、なんらかしかがね? 飲みの席で語るしかなかったネタがこうね?

本作は紙が双葉社から。電子版は佐藤秀峰さん率いる電書バトから発売で最初から半額相当で発売してますね。ただ、保坂和志さんとの対談記事は無いようなんですが。第1巻の続きはそのままnoteで販売されているそうなので、気になった方はそのままぜひ。新しい連載のやり方なので興味深い。


ネット上が騒然 吉田貴司『やれたかも委員会』

どーも、写楽斎ジョニー(@sharaku_johnny)です。はやくも三度目。最近刊行されたその『やれたかも委員会』の書評です。

読者諸賢は吉田貴司という稀代の漫画家をご存知でしょうか。

2006年に商業誌デビュー。『ブラックジャックによろしく』の佐藤秀峰さんの事務所で作画スタッフに加わるなど、紆余曲折を経て、2016年にネット上で話題沸騰の本作『やれたかも委員会』を発表。そのあまりの衝撃的な作品テーマに、いまだにネット上が騒然としています。

人生には「やれたかもしれない」経験がある

私が彼の作品に出会ったのは2009年。忘れもしない、モーニング・ツーの紙面でのことでした。その作品のタイトルは『フィンランド・サガ』、当時すでに熱狂的に支持されていた幸村誠著『ヴィンランド・サガ』のあけすけなまでのオマージュしたタイトル、それでいてテーマがフィンランド名物のサウナという抜けっぷり。

その全盛期の今中慎二を彷彿とさせる緩急に、私は惚れ込みました。そして2016年。私はまた、この筆者の鋭い切り口と呑気な視点に、惚れることになったのです。

個人差は大いにあるでしょうが、異性と積極的に関わろうとし続けていると、大なり小なり、性的な交渉を望める機会があるものです。それが今回のテーマである「やれたかも」というやつです。

一話完結の本作品。毎回どこからか登場する相談者は、自身の異性との交流がどれくらい「やれたか(野暮ですが、平たく言えばワンチャンセックス)」の判断を、「やれたかも委員会」に委ね、その結果を受けて取り戻せない時間と甘かった経験を味わい、その切なさと愛おしさに、再度酔いしれるのです。

そのワンチャンス具合が微妙であれば微妙であるほど、己の後悔は深く記憶に焼き付くことになるのですが、それも含めて楽しもうというのが本作の懐の大きいところでしょう。

やれたかも委員会のメンバー

この「やれたかも委員会」は3人で構成されています。髭のリーダー・能島明、クールなメガネ女子・月満子、ミュージシャン・パラディソです。

この三人が、絶妙な距離感で相談者の経験を彩ます。賞賛したり、皮肉ったり、刺激したり。とくに女子の月満子が、作品を「落とす」絶妙な役割を担っています。

本作では相談者が経験を語り終えた後、「やれたかも委員会」が多数決による「やれた」度を判定。その後に各メンバーがそれぞれコメントを施すのですが、ここで月満子の放つコメントが秀逸です。相談者を、そして読者を、現実に引き戻すかのような切れ味鋭い一刀両断。まさに冷水をかけるよう現実的な意見によって、物語がキレイにオチます

体験の生々しさが異常



この作品のすごいところは「やれたかも」というあけすけで直球で、それでいて「やれなかった」という恥ずかしい側面をはらみ、なかなか現実的に相談しづらいところに踏み込んでいることですが、それに加えて物語の生々しさも見逃せません。

人妻にふいに電話番号を聞かれるくだり、突然指を絡ませられるくだり、酔った相手に急に腕を絡ませられるくだり、パーカーを奪われておんぶを強要されるくだり。どれも実話と思わせるに十分なリアリティをもって語られます。これが読者に、本当に「やれたかも」と思わせ、どれくらい「やれたか」について考えさせます

そして前述の通り、月満子さんのオチ。この無敵のコンビネーション。見事としか言いようがありません。

noteで一話無料公開中

noteで第一話が無料公開されています。一話を読んで、面白ければきっとずっとこの漫画が好きです。一話を読んで、そうでもなければずっとこの漫画がそうでもないです。

他人の「やれたかも」な話を聞くのがこんなに面白いだなんて、思いもしませんでした。基本的に男性視点のものが多いですが、第一巻には女性視点のものもあります。てか、女性も「やれたかも」とか思うんですかね。

月満子さんの秀逸な落とし具合も必見。是非ご一読あれ。

AmazonKindle電子書籍で『やれたかも委員会』

やれたかも委員会 1巻

吉田貴司 (著)
価格:450円

もしもあの時、勇気を出していたら…そんな誰もが心に秘めている忘れられない夜を犠星塾塾長 能島明、ミュージシャン パラディソ、そして財団法人ミックステープ代表 月満子が判定します。「やれたかもしれない夜は人生の宝です。」ネットで話題のあの作品が待望の電子書籍化(……)(保坂和志さんとの対談記事は紙書籍のみの収録となります。ご注意ください。)

きんどうが気になっている新刊レビューしてくれる方募集

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