「18歳、19歳、20歳の安部公房」岩田英哉さんインタビュー

こんばんは、きんどるどうでしょうです。KindleDirectPublishing、いわゆる個人出版で活躍する著者へのインタビューをお送りする”KDP最前線”。第53回は、「18歳、19歳、20歳の安部公房」を執筆した”岩田英哉”さんのインタビューを掲載します。

安部公房

岩田英哉「18歳、19歳、20歳の安部公房」

ほとんど考察されることのない、10代の安部公房のエッセイと論文を論じて、安部公房の20歳以降、晩年に至るまでの基礎が、この10代につちかわれたことを、安部公房自身の言葉を参照して、丁寧に論じ、論証しました。
安部公房という芸術家を真に理解するためには、10代の詩と散文を読むことは必須です。あなたのご感想をお待ち致します。

『何が苦しみであり、悲しみであったのか、何が関心と興味の中心であったのか』
戦後文壇の巨匠”安部公房”の学生の頃の文章を考察し、安部公房とはなんなのかを理解することを目的とした作品だ。この頃の安部公房は高校〜東京帝国大学医学部生。戦争真っ只中の時代ですね。いやはやさすが。高校時代に読んだのは”ニーチェ”と”リルケ”とか。富士見ファンタジアとスニーカーで育った自分にゃ眩しすぎるぜ…
岩田英哉さんには、本作のセールスポイントや特にお気に入りのシーンなどを語っていただいた。

インタビュー with 岩田英哉さん

――この作品を書いたキッカケを教えてください

この作品は、安部公房のファンのための日本で唯一の月刊誌もぐら通信に連載したものです。それを一冊にまとめて、読んでもらいたくて、キンドル本にして、発行した次第です。安部公房の広場というブログを開設しています。
http://abekobosplace.blogspot.jp
もぐら通信は、次のところでダウンロードできます
http://w1allen.seesaa.net

――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

今までだれも研究の対象としていなかった、10代の安部公房の3つの作品に焦点を当て、それが何を言っているのか、安部公房の独自の哲学用語も含めて、その全貌を解読したということが、セールスポイントです。安部公房の読者ならば、一度は理解しようとするべき領域の作品群です。

――作品を書くうえで悩んだところは?

目的ははっきりしていたので、悩むことは何もありませんでした。ただただ、ひたすら、虚心坦懐にテキストを読むという読書の基本を忠実に実行しただけです。

――執筆にかかった期間はどれくらいですか?

3週間です。

――値段はどうやって決めましたか? また今後値段を変える予定はありますか?

目的によって価格を設定しました。
『18歳、19歳、20歳の安部公房』は、広く読んで欲しかったので、100円に設定をしました。これで儲けようとは考えておりません。広く普(あまね)く読まれることを目的にしております。
それに対して、300円の価格設定をした電子書籍がありますが、これはその労力と内容の独創的な価値に対する対価を求めました。価格設定については、只今試行錯誤している最中ですので、将来変更する可能性があります。利益率30%、70%との兼ね合いも含め、今後の研究課題です。

――本作を読んだ方にオススメしたい本や映画を教えてください

次のものは、おすすめです。
電子書籍は、
1.『Kindle自費出版ガイド』(雄山洋著)
2.『簡単なキンドル本の作り方』(石高都桜著)
映画は、
1.Sleuth(探偵):ローレンス•オリヴィエとマイケル•ケインのもの
2.バットマン全作品

――複数のブログやメルマガ、SNSを運営されていますが今回の Kindle 出版でどのように活用されましたか?

今回のキンドル版の書籍を出版するにあたり、次の媒体を活用しました。
1.Yahooの掲示板(近い将来にTexstreamに変わります)
2.Yahoo ML
3.mixiの安部公房のコミュニティ
4.ブログの安部公房の広場
5.フェイスブックの安部公房の広場
6.Twitter
7.UPubからFB、mixi、ツイターへと繋がる媒体
8.Google+
著作者はただ書けばよいというのではなく、電子書籍出版に当たっては、それも含めて、次のような役割を要求されることになります。
1.著者(Author)
2.マーケター(Marketer)
3.出版者(Publisher)
4.Entrepreneur(起業家)
2のマーケターは、3の出版社に入りますが、敢えて、わたしは外側に出して、意識してもらいたいと思います。
自分の著作を売るためには、プラットフォームをどう構築するかということが問題です。それは、ウエッブサイトとSNSをいかに有機的に接続して統合的に活用するかに尽きます。
アメリカ人のJohn Lockeや、その他のアメリカのマーケターの著作を読みますと(これらもキンドルで読みました)、やはりプラットフォームを構築することが肝心です。その場合、その著者によってマーケティング(=見込み客を集める方法)については、色々異なっています。
John Lockeは、Twitterを中心にして、Webサイトに見込み客を誘導し、メールマガジンの登録をさせて、メールで読者に買ってもらうという方法をとっています。もうひとりのマーケターは、ブログを中心して、その他のSNSを統合して、マーケティングをしています。わたしは、この方法を採用しています。
ブログを中心に、Twitter、Facebook、mixiなどに向けて発信をするという方法です。ブログで、もぐら通信の予約購読の登録をしてもらいます。それ以外にも、新聞社に取材要請を行って、毎日新聞社に、安部公房の命日であり、没後20年である、1月21日には、記事が掲載されました。次のURLアドレスです。
http://mainichi.jp/select/news/20130121k0000e040149000c.html
また、今月号(2月号)の岩波書店発行の月刊誌図書においては、大江健三郎さんが、その連載している『親密な手紙』で「もぐらが頭を出す」(もぐらは原題は傍点)と題して、取り上げて下さいました。それから、書くテーマは、specificな方がよりよいということです。
安部公房の読者は言わば、ニッチの読者で、ロングテールの市場ですから、アマゾンの売り上げを見ると、この安部公房論は、その他のわたしの書籍の7倍売れています。もっとも、まだ全体の絶対販売数は、まだまだこれからということではあるのですけれども。

――Kindleで出すにあたって困ったことはありますか?

一番困ったのは、アマゾンの規格に合う表紙画像を製作することでした。そして、そのデザインをすることが重要なわけですが、それが一番困ったことです。

――Kindle で個人出版を目指す方にアドバイスをお願いします

1,まず自分の好きな事に特化して、書籍化してみること。そうして、同好の士に読者になってもらうことをお勧めします。
2.わたしの採用したのは、
(1)Google Documentを使って、電子書籍を製作する方法
(2)BCCKSを使って、縦書きもできますので、電子書籍を製作する方法(BCCKSは、次のアドレスです:http://bccks.jp
このふたつです。

――影響を受けた、もしくは好きな作家さんを5人教えてください

次の作家から影響を受けました。
1.トーマス•マン
2.安部公房
3.芥川龍之介
4,中島敦
5.谷崎潤一郎

――それでは最後に、読者の方へメッセージをお願いします

この本は、安部公房の生涯の基礎となっている10代の作品に焦点を当て、論じ、その意味を読み解いたものです。安部公房は、次の3つの作品を10代に(20歳のときも含めて)書いております。
1.『問題下降に依る肯定の批判』(18歳):論文
2.『僕は今こうやって』(19歳):エッセイ
3.『詩と詩人(意識と無意識)』(20歳):論文
これら3つの作品を読み解く事で、20代以降の安部公房のすべての作品、それが小説であろうと戯曲であろうと、またエッセイであろうと、何を言っているかを理解することが完璧にできるといっても過言ではありません。どうか、あなたが安部公房の読者であるならば、是非これらの3つの作品を自分の頭とこころで、お読み戴き、ご自分の言葉に変換して下さることをお願い致します。わたしの著作が、その一助となれば、幸いです。

著者プロフィール

岩田英哉
北海道は釧路という港町に生まれ育ちました。今は東京の西、柚木の里に侘び住まいしております。
大学でドイツ文学を学びました。トーマス・マンが好きです。この作家は、父の死とともに、わたしの人生とものの見方に深い影響を与えました。学生のときに通訳のアルバイトで、当時の東ドイツ、ドイツ民主共和国という共産党一党独裁の国家に足掛け4年住みました。共産党独裁の専制国家での生活、一寸想像がつかないと思います。
今の中国や北朝鮮を思ってください。貴重な経験でした。わたしは東ドイツの普通の市民と交流しましたので、当局のブラックリストに名前が載っていました。いつも監視され、密告され、また何度か脅しを受けました。
日本の国を、そのような恐ろしい全体主義国家、共産主義国家にしては決してなりません。自由は、水や空気のように、自然によって与えられてあるのではありません。
30歳で社会に出ましたが、17世紀のドイツのバロック小説「阿呆物語」の主人公、Simplicius Simplicissimus(馬鹿野アホ太郎)と同じで驚くことばかり。人間というものはどうしようもない生き物であり、またおもしろい生き物だと思います。無知に徹して、言葉の眼を以て、これまで生きてきたように思います。
それで、わたしのブログのひとつは、言葉の眼:http://word-eyes.blogspot.jp
もうひとつのブログは詩文楽です:http://shibunraku.blogspot.com/
共に、お読みいただければ幸いです。

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