ラノベ担当書店員が2016年を振り返ってみた『このライトノベルがすごいかも!』な8タイトル

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今年も残り約2ヶ月になり、今月末に『このライトノベルがすごい!』が発売されることを思うと年末だなあと思うこの頃です……ええ、多くの人は思わないですよね。はじめまして、私は某マンガ専門店で、ライトノベル・文芸を担当しております大和(@4styles)と申します。こんにちは。

マンガを買いにくるお客様の多い店で、何とか文字だらけの本を売りつけるようと躍起になっている私なのですが、この度きんどうさんでライトノベルの紹介をする機会をいただきました。

冒頭で言っている『このライトノベルがすごい!』とは、読者や書店員などに1年間に発売されたライトノベル・キャラ文芸に関するアンケートを行い、その集計結果をランキング形式で発表する書籍になります。
 
私も自分の店の投票権で既に投票済みとなっており、あとは結果を待つだけなのですが発表前をいいことにこの場を借りて、『このライトノベルがすごい!』さん発売前に『このライトノベルがすごいかも!』な8冊というテーマでこの1年に発売されたものから私のオススメを紹介したいと思います。

もし上位に当たっていたら先取り、なくても掘り出し物を知っている、というどちらにしても少し通なひとになれる記事になっているかと思います。

このライトノベルがすごい”かも”!ラノベ担当書店員が今年を振り返ってみた

大本命!月曜頑張る力をくれる『この素晴らしい世界に祝福を!』

この素晴らしい世界に祝福を! 1〜13巻

暁 なつめ(著)
価格:600〜円

ゲームを愛する佐藤和真は女神を道連れに異世界転生。大冒険が始まる……と思いきや、衣食住を得るための労働が始まる。「安定」を手にしたい和真だが、女神が次々問題を起こし、ついには魔王軍に目をつけられ!?

若くして亡くなった主人公 佐藤和真は、夢にまでみた魔法あり異種族ありのゲームのようなファンタジー異世界への転生を果たす。
しかし彼に与えられた転生ボーナス(楽に異世界を過ごすために神様がくれたもの)は、能力値が高いだけの残念な女神様との同伴で……

今年1月にTVアニメ化、「このすば」の愛称で多くのファンを生んだ作品です。

かつてファンタジー世界を舞台にしたライトノベルというと、主人公は勇者として仲間と共に艱難辛苦を乗り越え、魔王を倒し世界を救うというのが王道とされていました。(20年以上前、ロードス島戦記とかの頃です。知らない人はそうなんだ~と思っていただければ)

一方「このすば」は一貫してコメディ作品です。残念な女神をはじめ、威力ばかり強く放つとしばらく動けなくなる魔法しか使えない使いたくない女魔法使い、攻撃を当てることのできないマゾヒストな女剣士など主人公カズマの周りには残念なひとたちばかりが集まります。

何かしらのトラブルを引き起こしたり巻き込まれたりしながら、それでも笑って毎日を過ごしていくカズマと仲間との日常を描いていきます。人が死んだりとか苦難とかそういうのはいいから明日は月曜日だから、通勤するための元気をくれよというひとにオススメできる作品です

主人公も死にます 『Re:ゼロから始める異世界生活』

Re:ゼロから始める異世界生活 1〜9巻

長月 達平(著)
価格:580〜円

突如、異世界へ召喚された高校生ナツキスバル。普通の一般人である彼に特殊な知識も技術も武力もあるわけもなく、さらに手にした能力は『死んだら時間が巻き戻る』という痛みを伴う『死に戻り』のみだった!

こちらも「このすば」と同様に、今年TVアニメ化した作品。 ファンタジー世界な異世界に転生するというところは一緒ですが、こちら割とバンバンと人が死にます。主人公も死にます

「えっ、主人公も死んじゃうの?」となるかと思われますが、そこからスタートなのです。 主人公の少年スバルは死亡することをトリガーに、ある時点の過去まで戻ることのできる能力の持ち主。作中で、彼の大切なものたちは何度も死の危険にさらされてしまいます。

逆にいうと主人公はこの能力以外は普通の少年でしかないのです。果たして魔法あり、魔物ありの世界で普通の少年スバルは、無事に大切な仲間たちと明日を迎えられるのでしょうか。

ループものという性質上、読めば読むほど加速度的に物語が面白くなっていく作品です。解決というゴールに向けて、先が気になって仕方がなくなること請け合いです。Kindleではまとめ買いセットがあり、どうせ次々買ってしまうのですから、こちらの商品がオススメです。

俺は世界を救わない。ゴブリンを殺すだけだ『ゴブリンスレイヤー』

ゴブリンスレイヤー 1〜3巻

蝸牛 くも(著)
価格:630〜円
★★★★★

圧倒的人気のWeb作品が書籍化!「ゴブリン以外に用はない」これは、小鬼を殺すだけの男が「冒険者」になることを願う物語。

主人公の名前はずばり「ゴブリンスレイヤー」さん(作中名称不明)です。彼は世界を救わず魔王も倒さないですが、ゴブリンだけは必ず殺す男なのです。

ゴブリンに強い恨みを持っている主人公なのですが、その徹底ぶりがすごい。ゴブリンを倒しやすいという理由から中途半端な長さの剣をはじめとする他のモンスターのことを考慮しない装備を選び、ときにはオーバーキルとだろうと思われるものまで用意しています

 しかしゴブリンと侮るなかれ、油断すれば一般の人間は殺られてしまうのです。そう、そこには命のやり取りと冒険が確かにあるのです。大勢のゴブリンを相手取り、ときにはハプニングで別の強力なモンスターと対峙することも……。

新しい観点から読むダンジョン攻略、きっとあなたもゴブリンスレイヤーの格好良さに惚れてしまうでしょう。

世界の半分を、え?竜王違い?『りゅうおうのおしごと』

りゅうおうのおしごと! 1〜4巻

白鳥 士郎(著)
価格:610〜円
★★★★★

『のうりん』の白鳥士郎最新作! 監修に関西若手棋士ユニット『西遊棋』を迎え、最強の布陣で贈るガチ将棋押しかけ内弟子コメディ、今世紀最強の熱さでこれより対局開始!!

「りゅうおう」と聞いて皆さんは何を思い浮かべますか?私は「せかいのはんぶんを(略)」でした。わからない方は検索してみてください、同じ連想をした方は仲間です。

タイトルで言及されている竜王とは将棋界の最高タイトルのうちのひとつ、「竜王戦」という言葉は聞いたことあるのではないでしょうか。賞金4200万円というビッグタイトルです

その竜王戦を制し16歳にして竜王のタイトル保持者である少年 九頭竜八一が主人公になります。八一の家に女小学生の弟子志望者がやってくることからストーリーは始まります。押しかけ女房ならぬ押しかけ弟子。

この作品は主人公と弟子、その周りの人物の成長物語なので、将棋がわからないひとでも楽しむことができます。もちろん将棋の奥深さや面白さの一端を知ることもでき、将棋ペンクラブ大賞(将棋観戦記・将棋評論・随筆・将棋に関する著作物・記事などの中から優れた作品を選出する賞)にて優秀賞を受賞しています。

何かに打ち込むこと、その楽しさや苦難を描いた傑作です。

世直し聖騎士の冒険譚!『最果てのパラディン』

最果てのパラディン 1・2巻

柳野かなた
価格:720〜円
★★★★★

かつて滅びた死者の街――人里離れたこの地に一人の生きた子供、ウィルがいた。少年を育てるのは三人の不死者。豪快な骸骨の剣士のブラッド。淑やかな神官ミイラのマリー。偏屈な魔法使いの幽霊のガス。

主人公の少年は、かつて英雄と呼ばれた三人によって育て訓練された聖騎士です。彼の戦闘力は並外れており、いわゆる主人公が無茶苦茶に強いパターンの作品です。

この作品の魅力は、三人の英雄それぞれから引き継いだ特色ある能力を駆使して困難に立ち向かうというところもあるのですが、どんなに戦闘力が高くても少年は少年でしかないところ、心の強さや成長がテーマになっています

子供の頃、夜な夜な布団の中で、冒険活劇の本を読んでいたひとも少なくないと思います。もう一度あのワクワクを思い出してみませんか?そんな王道なストーリーになっています。

新時代のラブコメ小説 『俺を好きなのはお前だけかよ』

俺を好きなのはお前だけかよ 1〜3巻

駱駝(著)
価格:630〜円
★★★★★

ここで質問。もし、気になる子からデートに誘われたらどうする? しかもお相手は一人じゃない。クール系美人・コスモス先輩と可愛い系幼馴染み・ひまわりという二大美少女!!

周囲にいる女の子たちはみんな美少女で、俺に優しくて、俺のことが大好きである。そんな時代はもう終わりだ!

読者は知っています、現実ではそんなことあり得ない。この考えをそのまま小説に転化した作品になります。

読むのが辛かった、ご都合主義がいかに甘い蜜あるか、読んで体験してみてください。そしてラストにはライトノベルならではの仕掛けもあり、ライトノベルで描くからこその作品だと思います。

甘く切ない温かいラブストーリーではありません『いもーとらいふ』

いもーとらいふ 上・下巻

入間 人間 (著)
価格:550〜円

夏休みの終わり。妹が俺に泣きついてきたのは、あちらが六歳で、こちらが十歳のとき。珍しく側に寄ってきた妹の手には日記帳の表紙があった。目が合うとおずおずそれを差し出してきて、「てつだって」と、か細い声でお願いしてくる。俺と妹の関係が始まったのは、その瞬間だと思った(……)「わたしのじんせーは、にーさんでほとんどだもん」幼少時代からの成長、そして大人になるなかで選択した人生――。離れられない二人の“一生”を描く、ちょっぴり苦い兄妹ラブコメ。

偉い人は言いました。「妹は兄が好きなものである」と、

でも考えてみてください。兄妹はどんな関係になっていこうと、子供の頃から死ぬまでずっと兄妹は兄妹なんです。

この作品はシスコンの兄とブラコンの妹との一生を、親からの視線、兄の恋人、独り立ちしていく妹、毎日働く意味、そんな世知辛い現実の要素を反映して描かれた作品です。

甘く切ない温かいラブストーリーを求めている方は決して買わないでください。凍え死にます。

主人公は元女子高生ですが、蜘蛛です。『蜘蛛ですが、なにか?』

蜘蛛ですが、なにか? 1〜4巻

馬場 翁 (著)
価格:各1,200円
★★★★☆ 21件のレビュー

女子高生だったはずの「私」は目覚めると……なんと「蜘蛛」に転生していた! 周囲は毒ガエルや猿の化け物、果ては龍まで……って、コレもう詰んでない!? 種族底辺・メンタル最強女子の、迷宮サバイバル開幕!

最後は部門違いで新文芸・単行本部門に該当する作品をご紹介。

作品名はずばり『蜘蛛ですが、なにか?』です。蜘蛛ですが……いや蜘蛛だから、面白い!

ジャンルはダークファンタジーになるかと思います。毒ガエル、大蛇、龍など巨大なモンスターたちが存在する世界で、蜘蛛のモンスターとして転生してしまう元女子高生の主人公、彼女は自分の境遇にも負けず必死に生き抜いていきます。正々堂々?そんなものは雑魚モンスターに喰わせてしまえ!食物連鎖の頂点の存在を目指して、貪欲にどこまでも強くなっていきます。

実はこの異世界には人間も存在しています。しかし人間にとってモンスターは味方ではない、つまり……ダークなファンタジー作品です。モンスター同士の殺伐とした生存競争の世界ですが、元女子高生視点での描写がコミカルで、レベルやスキルといったもので能力がわかりやすく表現されており、全体通してとても読み進めやすい作品になっています。

おわりに

以上で8タイトルになります。いかがでしょうか?気になるフレーズ、気になる作品があったならばぜひ読んでみてください。きっとひと時の息抜きとして楽しんでもらえるかと思います。

自己紹介代わりに、とのことでしたので、今回のテーマにも合う王道なところを紹介させていただきました。ライトノベル好きの方には物足りなかったかもしれません。店の棚では上記のような王道タイトルに加え、尖った作品や新旧問わずテーマでの展開などもしていますので、次の機会では別の切り口での紹介もしていこうと思っています。

読書の秋とはいいますが寒くなってきて、客足にも影響があるこの頃です。Kindle購入し、続きの配信まで待てない作品が見つかった際には、是非書店にも脚をお運びください。

この記事を書いた人:大和( @4styles

某マンガ専門店の店員、ライトノベル・文芸は全般担当。読書の傾向はもっぱらエンターテイメント作品専門で男性女性向け・国内国外問わず、年間200冊弱くらいは読んでいる計算になるような気がします。

懐かしいライトノベル作品の合本セールに釣られて買いまくった挙句、Kindleの積み本容量が急に増えてしました。天地無用では魎呼派。


この企画について:匿名書店員さんによるキュレーションをやろう

キッカケはこちらの記事『電子書籍をリアル書店への拡販と書店員の副業に活用する新メディアプロジェクトの協力者を募集します』で、電子書籍からリアル書店への誘導。もしくは書店員さんの副業として活用できないかなと。
現在、4名の書店員さんからお申し出をいただき、しばらくきんどうで記事掲載後新たなメディアを立ち上げる予定です。
思うにね、本のプロである書店員さんの専門知識はネットでもっと読みたいし、それはお金になる分野なんですよ。むしろ、わたしは参考にしたいからもっと出てきてほしい。
まだ、書店員さん(匿名)だけですがイベント案内やうちの気合のはいった本棚を見てくれ!なんて形でリアル書店さんとも組んで一緒にやっていきたいと考えてます。電子書籍に読者が流れるだけでなく、リアル書店・書店員も盛り上がるようなメディアを作っていきたいので興味のある方はぜひ、お問合わせからご連絡ください。ちゃんと売上に応じてお金もお支払します。

注意事項:Kindle本の価格は随時変更されています。また、本サイトでは購入された書籍や内容についての責任は持てません。ご購入の前にAmazon上の価格・内容をよく確認してください。良い価格で良い本を。きんどるどうでしょうでした。

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