『フレンチの王道』一発の蹴りが日本の仏料理を変えたシェ・イノ 井上旭の仕事論

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文藝春秋 電子書籍編集部のIです。7月1日、電子書籍配信の新書『フレンチの王道』をご紹介します。一発の蹴りが日本のフランス料理を変えた! なんともパンチが効いてますが本書を読みおわったときには納得してもらえるはずです。

「なんだ、料理の本か?」と思うかもしれませんが、この本はフランス料理を素材に、プロとは何かを語った仕事論です。そして、家庭の事情で中学卒業後に単身、故郷の山陰を離れ、大阪、京都で働いていた少年が、世界に飛び出していった冒険物語でもあります。

二十代の後半、フランスの小さな町で井上は人生の目標を見つけ、そこから働く意識が変わりました。もし、目の前の仕事が楽しくないと思っているのであれば、ぜひこの本を手にとってみてください。著者の熱に触れれば、働き方が変わるかもしれません。

7月1日電子版配信『フレンチの王道』文藝春秋 電子書籍編集部

著者 井上 旭(いのうえ のぼる)

1945年、鳥取県に生まれる。21歳で渡欧。スイス、ドイツ、ベルギーを経て、フランスの三ツ星レストラン『トロワグロ』や、パリの『マキシム』などで修業する。現在のフランスを代表するシェフ、ベルナール・ロワゾーやギー・サヴォワの兄弟子にあたり、いまも慕われている。

1972年に帰国。31歳で銀座『レカン』の料理長として腕をふるう。1979年に京橋『ドゥ・ロアンヌ』を開店。1984年に京橋にオーナーシェフとして『シェ・イノ』を開店。

2007年に、ボルドーのコマンドリー、フランス農相の農事功労賞、日本の「現代の名工」を受賞。東京サミット、京都・銀閣寺、奈良・薬師寺など、歴史的なイベントでも料理・サービスを担当し、いずれも大成功を納めている。

まだ日本に本物のフランス料理が知られていなかった1960年代、単身、本場で修業した日本人がいた! それが東京・京橋にある自分の店『シェ・イノ』で、30年以上にわたり本物を供してきた井上旭である。

名店『トロワグロ』の調理場でトロワグロ兄弟から薫陶をうけ、フランス料理の新しい潮流「ヌーベル・キュイジーヌ」の正統な系譜に連なる。全盛期のパリ『マキシム』でレストラン文化の頂点を体験・・・こうした日本人ばなれした体験から生み出された井上の料理哲学とは。伝説のシェフ、初の著書。
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1966年、21歳でヨーロッパ修業へ

いまでこそ「本場フランスで修行」という経験を持つ日本人シェフは少なくありません。しかし『フレンチの王道』の語り手、井上旭(いのうえ・のぼる)がヨーロッパへ渡った1960年代、そんな日本人はごくわずかでした。

そもそもフランスで働くことさえ難しく、まずスイスに渡り、そこで労働証明書を得なければいけません。しかも言葉の分からない東洋人が働きやすい環境ではなかったようです。

ある日、井上は調理場の先輩の差別的な振るまいに怒り、ケンカになってしまいます。ビール瓶を持って殴りかかった相手に、日本拳法じこみの足技が一閃。それ以降、同僚たちの見る目が大きく変わったとか。まさに腕ずく(足ずく?)で自分の居場所を作り、修業を続けることができたのです

その後、井上はフランスで三ツ星レストラン『トロワグロ』、全盛期の『マキシム』などで修業して、渡航から6年後に帰国。そのころ日本ではフランスと同じ食材、調味料、ワインが入手できませんでした。

そんな時代から本物の味にこだわり、仔羊やジビエ(野鳥など)の料理を提供。日本のフランス料理に大きな変化をもたらしました。井上が東京・京橋(銀座と日本橋の間)で営む高級レストラン『シェ・イノ』は30年以上も続いています。ちなみに「食べログ」では星4.13で、夜はお一人様2〜3万円だそうです。

仕事にもっと本気になりたい、そう思う方に読んで欲しいスペシャリストの仕事論

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冒頭で申し上げたように、この本は井上の仕事論が語られたもので、その言葉は料理人だけではなく、他の分野で働く人たちにも大きな刺激になるでしょう。こんなエピソードが紹介されています。

井上にもっとも影響を与えたのは『トロワグロ』のシェフ、ジャン・トロワグロ。彼はソースに関してはフランス一の評価を得ていました。そのジャンと一緒にソースを作っていた井上は、日本へ帰国後、驚くような行動にでます。師匠を超えるためにとった井上の行動とは?

ひとつの技を自分のものにするとはどういうことなのか、他人のマネで終わらないためにやるべきことは何か……。料理がテーマだからという訳ではありませんが、じつに味わい深い職業哲学が語られており、読んだあとには、なぜか猛然と手をうごかしたくなる一冊です。

また、電子版では紙の書籍には収録していない写真がカラーで8点、掲載されています。豪華なスペシャリテ(看板料理)、『吉兆』の創業者を驚かせたデザート、そして今をときめくフランスのスターシェフで井上の弟分にあたる、ギー・サヴォワとのツーショットなど。写真で紹介された料理は、いわば井上の仕事論が形になったもの。ご覧いただければ、読後感もより良くなります

ぜひ文春新書『フレンチの王道』をご賞味ください。

フレンチの王道 シェ・イノの流儀 電子特別版

井上旭 (著), 神山典士 (その他)
価格:880円
★★★★★ 1件のレビュー

東京・京橋にある自分の店『シェ・イノ』で、30年以上にわたり本物を供してきた井上旭である。 名店『トロワグロ』の調理場でトロワグロ兄弟から薫陶をうけ、フランス料理の新しい潮流「ヌーベル・キュイジーヌ」の正統な系譜に連なる。全盛期のパリ『マキシム』でレストラン文化の頂点を体験・・・こうした日本人ばなれした体験から生み出された井上の料理哲学とは。伝説のシェフ、初の著書。

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