「魔法使いノブコ」onbu dackoさんインタビュー

こんばんは、きんどるどうでしょうです。KindleDirectPublishing、いわゆる個人出版で活躍する著者へのインタビューをお送りする”KDP最前線”。第36回は、「魔法使いノブコ」を執筆した”onbu dacko”さんのインタビューを掲載します。

魔法使いノブコ

onbu dacko「魔法使いノブコ」

コウサカ・タダオは13歳。中学に入って初めての夏休みを過ごすタダオの家に、どこからか世界一周のチケットが届き、両親は旅に出てしまった。「これで一人暮らしが出来る!」・・・喜ぶタダオだったが・・・?
(日本語版, マンガ, 178ページ)

いつ頃からは覚えてないけれど その声は暗い闇の向こうからボクに呼びかけてくるようになったんだ

小学校時代にいじめた/いじめられた者同士が甘酸っぱいことをするかと思ったら、彼女と同名の魔法使い・ノブコに無理やりおっさん化させられ、婚姻生活を強要される不憫な少年タダオのお話でございます。onbu dackoさんには、本作のセールスポイントや特にお気に入りのシーンなどを語っていただいた。

インタビュー with onbu dackoさん

――この作品を書いたキッカケを教えてください

会社勤めなど出来ず、相場の世界でひと財産築いて余生は海外で……という事を考えてました。海外生活を考えていたくらいですから、児童書の多読で英語も勉強していました。しかし逆に相場にやられ穴をあけてしまいました。

結局、中途半端な英語力と読書体験が残ったんですけど、そういう流れで手に取ったアメリカの児童向けの本,グースバンプスやナンシー・ドリューなどは、なかなかに印象深いものでした。複数の人種の読者を前提に節度を守り書かれている。安易に快楽暴力表現に走らない。それでいて、いい大人の自分が読んでも、とても面白かった。

株いじりは必要に迫られてやっていたのでやはり自分の本分ではなかったかと省りみる一方、海外にそうした児童向けの市場が存在するのであれば、そこを狙って創作をやってみたいという思いが湧いてきて描き始めました。絵を綺麗に仕上げる方法が、まだよくわからないんですけど。

――英語圏の児童文学の市場は大きいですからね。では作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

キッカケと重なる部分もありますが。自分は読者としては、ヘンリー・スレッサーやハドリー・チェイスなどのドギツい話も好きで読みます。しかし、書く(描く)側に回るとなると躊躇してしまいます。こんなの子供に読ませていいか?と考えてしまいます。ですので逆に、巷にあふれるその種の刺激性を売りにした作品を敬遠される向きには、安心して手に取って頂けるかな、と。
もう一点。自分のマンガは、アメコミのフォーマットに近い部分があり、一見してセリフは多いですが、だからといって何でもかんでも言葉で説明する親切設計ではありません。この点は、マンガに限らず、小説にしろTVドラマにしろ映画にしろ、普段観たり読んだりする際に常々不満に感じてましたので、自分で手がけるにあたってもそういう演出は避けました。
その為、読み手に注意力や嗅覚を要求しますし、場合によっては置いてけぼりをくわせてしまうかもしれません。が、わからない方でも注意して繰り返し読んで頂くと、最初は見えなかったものが色々みえてくる筈です。ただ、建前として子供向けですし、そう難しい仕掛けばかりでもないです。同じような憤りを感じている方々には、面白がってもらえるかもしれません。

――Kindleはアメリカが主流ですからね。逆に米国流に仕上げるのも手かもしれないですね。それでは作品を書くうえで悩んだところは?

人様に読んで頂こうと思ってマンガを描いた経験がほぼなかったので、何をどう描いていいかさっぱりわかりませんでした。マンガ家になるには4コマから始めて8ページ、16ページ、32ページと徐々に長いものに挑むそうですが、短いものを描いても誰も見向きはしないだろうと考え、第一作目からいきなり300ページを超える長編「Dulltraman だるとらまん」を、「魔法使いノブコ」は二作目ですが、これもカバー扉を除き150ページ強描いてしまいました。
こういう過程を経てきた為、この話なら何ページに収まるという辺りが、もうひとつ分からないです。
前作が膨らんだので、「ノブコ」はコンパクトにまとめる事を優先する課題のひとつとしました。途中で伸ばすべきかなと思ったんですけど、結局初めの方針を通した為、後半に皺寄せが来て消化不良気味に終わってしまったところが残念です。方針撤回でページ数を増やすのは……あの時点ではキツすぎて無理でした。マンガを描くという作業は全行程キツくて悩ましいですが、ボリュームと情報量の勘所が未だ掴めない。これは本当に悩みです。

――読者からの感想はありましたか?

少し頂きました。でも言葉少なというか、感想が抽象的というか、当たり障りの無い挨拶程度です。多分殆どの方が読みこんでなくて、何も言いようがないのかな、と思います。
表面的に軽いノリで偽装してますから、まずはこんなモンかな?と受け止められてしまっても仕方ないですが。
アマゾンでのレビューでは、かなり厳しい意見や不満なども書かれてしまいました。その中には、真摯に受け止めるべき部分があるとは思いましたが、作者の意図や方法論に照らして外れた提案を並べられている処も多々あって、当惑しています。
しかし、自ら反論/解説するのも無粋な話で……どうしようもないですね。現時点では、ご自身で判断して下さい、としか。騙されるにしても300円ですし。(笑)

――読者からの意見をどう受け取るかは難しい部分ですね。ではマンガを描くときのこだわりってありますか

マンガ創りは全行程あれやこれや考えます。だから全行程こだわってるといえるかもしれません。普段の物事にはあまりこだわらないですが。

――執筆にかかった期間はどれくらいですか?

「ノブコ」の場合、ネームを仕上げるまでに3ヶ月。ペン入れとバグ・フィクスに更に6ヶ月。計9ヶ月。マンガはとにかく手間暇かかります。
R・L・スタインさんは、グースバンプス一冊仕上げるのに三週間だそうです。この差には泣けてきます。

――修練あるのみですよ。では、アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることはありますか?

アイデアについては、オーソドックスにネタ出しをやったり、メモをとったり、夜に床についてからあれこれ考えます。あとは、他人の作品を観たり読んだりで、異論を感じる部分からテーマやアイディアを浮き上がらせていくとか。
これは思いつきを待つのではなく、こちらから取りに行く形になる為、一定のペースが期待できるけど、人の作品に飲まれたり最悪パクリにならないよう注意が必要ですけど。これは!という夢を見ることが、稀にあります。特に「だるとらまん」を描いて以降、不思議な夢をみるようになって……この話はいいか。
集中力の維持には、前の晩にちゃんと寝ることでしょうか。睡眠不足だと次の日一日キツいですし。

――Kindleで出すにあたって困ったことはありますか?

テキストベースの出版に挑む方も成型には苦労されているようですが、マンガの場合はおそらくそれ以上です。Amazon向けにファイルを用意するまでがとても大変です。
当初そのノウハウがわかりませんでした。今だによくわかってません。何をどう苦労したのか、説明もしたくないし、思い出したくもない程です。

――なるほど。本作は無料キャンペーンを行っていましたが、無料キャンペーンでこういう点は気をつけたほうがいいなどアドバイスをお願いします

自分はアメリカ本国のKDPを利用しているので、日本のKDPから試みる場合と事情が異なるかもしれませんが。米Amazonのフリー・プロモーション(無料キャンペーン)の時間は大西洋時間で、開始時間と終了時間に独特のクセもあります。
日本時間で、予定日の早朝からその次の日の夕方まで、と予想していたのですが、開始予定日の前日の夕方から始まって、驚きました

前にズレこむのかなと考えて、急遽もう一日分お尻に追加しましたが、終わってみればその必要はありませんでした。前もって日程を告知する場合には、そこは頭に入れておいたほうがいいかと。

――無料キャンペーンの利用前と後で販売部数に変化は生まれましたか?

実感できるような変化はありません。しかし、ネガティブなレビューも頂いたのに、その上で買って下さる方がおられるのが凄いです。有難うございます。ある程度の数をバラ撒いたからかもしれません。やった意味はあったと思いました。

――無料キャンペーンを通じて得た気づきなどはありますか?

何があっても等身大の自分を見失わないようにしようと思いました。

――ありがとうございます。では今後、どういった作品を発表していきたいですか?

現在は最初に描いた「だるとらまん」のやりなおし中です。
「ノブコ」を終えた後ネタ出しをやったのですが、「だるとらまん」を超えるプロットが思いつきませんでした。だったら作画を中途半端に終えたアレをやり直そうという事にしました。
同じ作品を三年の間に二度ですので、少々後ろ向きな感じはしないでもないですが、仕上がれば自分にとって重要な作品となる事はわかっているので、毎日楽しくやっています。その後何をやるか。そもそもやる機会があるのか。それはわかりません。

――今後の予定について簡単に教えてください

ストーリー漫画はとにかくキツイです。また、タブレットやPCで読んで頂くのに、分が悪いとも思います。それで、もしまだ続けられるなら、四コマはどうかな?と考えてます。
背景もあまり描かなくて済みそうですし、間にエピソードを追加するにも省くにも有利なフォーマットですから。

――それでは最後に、読者の方へメッセージをお願いします

世の中色々と大変なコトになってきています。来年再来年そのまた先に、自分はどうなってるかわからないと考える方が殆どではないでしょうか。
こういう状況下で、口当たりの良い掛け声なんて……思いつきません。お互いに何とか頑張って持ちこたえましょう、としか…。
それと、これは読者の方々にではないのですが。今回の自分のキャンペーンに何人もの方が作業の手をとめて協力して下さいました。
そのお陰だと思いますが、昨年秋にもキャンペーンをやったのですが、前回と比べて短期間であったにも関わらず、ダウンロードして頂けた方の実数は多かったです。リツイートして下さった皆さん、そしてきんどるどうでしょうさんに、この場を借りて心から御礼を申し上げます。
きんどるどうでしょうさんのやってるようなサイトは、海外には沢山あるんですが、日本には多分まだあまりなくて、やっとこういうのが始まったんだ、と思いました。応援します、頑張って下さい♪少々長い話になりましたが、お付き合いいただいて有難うございました。

著者プロフィール

onbu dacko Twitter(@onbu_dacko
マンガを描いてます。
小学校高学年以上向けですが、大人にも読み応えのあるものを目指しています。
「Dulltraman だるとらまん (2011,2013)」
「Nobuko the witch 魔法使いノブコ (2012)」

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