「あまのじゃくの飼い方」針とらさんインタビュー

こんばんは、きんどるどうでしょうです。KindleDirectPublishing、いわゆる個人出版で活躍する著者へのインタビューをお送りする”KDP最前線”。第32回は、「あまのじゃくの飼い方」を執筆した”針とら”さんのインタビューを掲載します。

あまのじゃくの飼い方

針とら「あまのじゃくの飼い方」

エサのやり方は、やろうとしないこと!
夏休みの自由研究課題として、タカキが選んだのは〝あまのじゃく〟。庭に迷い込んだのを観察し、エサのやり方から散歩の仕方、しいては仲良くなり方までまとめた、立派な自由研究ができあがった。
そんなタカキにあまのじゃくブリーダーのヒロが興味を示す。ヒロと仲良くなっていくタカキに、焦ったあまのじゃくたちは反乱を画策。
――では反乱を止めるためには?
ちょっぴりおかしなあまのじゃくコメディ(?)仲良くなり方はとてもかんたん。 「仲良くなろうとしないこと!」

『反乱だ!』みんなが一斉に張り上げた声が、庭を震わせた。

べ、べつにこの本紹介しなくてもいいんだからねっ!(コホン)本作はとってもわかりやすい天邪鬼(あまのじゃく)が自分に振り向いて貰おうと反乱を繰り広げる児童書風味の短編だ。この天邪鬼のなんともシンプルさが可愛らしい。度が過ぎた反乱のせいで、本当は仲良くしたい天邪鬼がしょげる部分が面白可愛い。なんとなくグレムリン(悪)を思い出して読んでました。つまるところツンデレって可愛いくないよねって話だ。針とらさんには、本作のセールスポイントや特にお気に入りのシーンなどを語っていただいた。

インタビュー with 針とらさん

——この作品を書いたキッカケを教えてください

アンデルセンのメルヘン大賞という児童文学の公募をみつけて、よし、軽く受賞して有名作家になってここから世界を獲ってやるぜ!村上春樹を越えるのは俺だ!と思って書きあげたものです。
結果、一番のメルヘン大賞は僕の脳みそだったとわかりました。

——それはいいことですね。作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

原稿用紙30枚という小品ですが、入れ込んだシーンの数は10近いです。とんとんと話が転がっていくテンポの良さと、それが最後にすとんと落ちるところが読みどころかなと思ってます。KDPでの出版については、何処の馬の骨とも牛の骨とも知れない著者の本ということになるので、値段、分量、内容ともに読むハードルを極力下げて気軽に手に取ってもらえることを優先しました。ちなみに僕は鳥の骨が好きです。zonさんはケンタッキーは好きですか?

——私は断然マクドナルド派です。作品を書くうえで悩んだところは?

作品ではあまり悩みませんでした。どちらかというと近頃部屋がAmazonのダンボール箱で埋まってしまうのが悩みです。ところで前から一度訊いてみたかったのですが、zonさんの頭の中って何が梱包されているんですか?

——「低予算、低姿勢、低カロリー」執筆にかかった期間はどれくらいですか?

あまりかかりませんでした。

——無料キャンペーンを検討している方へ、こういう点は気をつけたほうがいいなどアドバイスをお願いします

まずは開始時間と終了時間です。日本時間ではなくアメリカ時間で扱われ、18時間近く差があります。世界の中心はアメリカなので気をつけてください。あとはきちんと告知をしてキャンペーンを広めること。特に出版と同時に無料にした場合や、無名の作者の場合は、宣伝しないと無駄になります。
あとは宣伝の際には強い心を持つこと。無視されたり冷たくされてもめげないことです。自分はマッチ売りの少女になったつもりでやりましたが、売れなくてもとても楽しかったです。むしろ売れないほうが楽しかったかもしれないです。自分はきんどるどうでしょうさんに告知を依頼して宣伝頂きました。

——なるほどM気質ですね。無料キャンペーンの利用前と後で販売部数に変化は生まれましたか?

せっかく無料キャンペーンにしたのにあまのじゃくの飼い方が売れないの……。誰か、誰か、あまのじゃくの飼い方買ってください! きゃっ! 突き飛ばされて針とらは哀れに地面に転がりました。人々は手持ちのKindleに目を落としたまま忙しなくセール本をポチるばかりで、誰も針とらには目もくれません。寒さと空腹で震えながら、針とらはあまのじゃくの飼い方を売るために歩き回りました。ああ、なんてかわいそうな針とら!
こんな感じで楽しみました。販売部数の変化は出すのと同時に無料にしたのでわかりませんが。

——無料キャンペーンを通じて得た気づきなどはありますか?

戦略的に使うには良いですが、散発的に使っても大きな効果は得られにくいかもですね。キャンペーンを使う人がメインで期待するのは読者による口コミ効果かと思いますが、口コミって作品の出来はもちろん、みんなが共有する「場の空気」みたいなものが温まっていないと、単純に読んだ人が増えてもそれは各個に存在するだけで、盛り上がって戦力になるところまではなかなかいかないんじゃないのかな、と。
ナポレオンはワーテルローの戦いにおいて各個撃破を試みましたが、なんかまあ、それと似たような感じで各個で存在しているものをまとめあげて高めるPublic Relation的な手腕が必要なのかなと思いました。
そうしたPR的な手腕に加えて、無料DLした読者は、面白そうなら読むけれどでなければ即削除、くらいではないかなと思うので、ちら見の序盤だけで惹き込む創作の手腕も必要かなと思いました。そして今調べたらナポレオンはワーテルローの戦いで敗北してました。

——初対面でデートを申込むようなものですからなあ。Kindleで出すにあたって困ったことはありますか?

Amazonの仕組みが痒いところに手が届かない部分があるので、やきもきするところがありました。表紙や中身の修正をしても、既に購入してもらった人の分に自動で反映されないというのはちょっと気になります。あとは無料キャンペーンが何度やっても全然適用されないのが困りました。

——その辺で悩む方は多いですね。どうやら18時開始のようです。電子書籍についてどう思われますか?

すごく面白いですね。実際にKindleストアを使ってみるまでは、普及はまだまだかなぁと思っていたのですが、今ではすっかりAmazonの手のひらの上で楽しく踊りを踊っています。
自分は、紙の本なら絶対に手を出さないようなものを買って読む機会が増えました。これはAmazonの売り方のためで、セールがあるので「安いのは今だけだし買っておこうかな」とか「この値段だったらまぁ失敗してもいいかな」というノリで買ってしまっています。それに加えて「場所をとらない」「1クリックですぐに」といった要素が加わることによって、購入に伴う心理的ハードルがすごく低くなっているような気がしますね。
売り方がそうなっていくと、読者の読み方も、何百ページもあるような本を何週間もかけて読むというより、1〜2時間で読み終わるものを気軽にたくさん買って読むというスタイルが主流になっていくのかな、と思いました。
作り手側としては、今までの「一冊の本にして書店に並べる」という前提が崩れることによって、本にしにくい分量のものや本屋にコーナーとして並べにくいジャンルのものがもっと顧みられるようになっていくのを期待しています。
冒険しにくかったものが世に出てくると嬉しいですね。紙の本だとどうしてもコストや在庫リスクのために難易度が高いので。

——在庫リスクの低減は、書き手も読み手もありがたい話ですね。では、Kindleで個人出版を目指す方にアドバイスをお願いします

黎明期だからこその、どうなるかわからない面白さがあると思います。これから土壌が肥えていくのか、枯れて荒れ野になってしまうか。Kindle畑に肥料を撒くのはあなたたちですよ、とzonさんにも言われました。皆さんも固く考えずに遊んでみましょう!
きんどるどうでしょうに来てみると、面白いものも見れますしね……。

——今後の予定について簡単に教えてください

書き溜めた短編や中編がたくさんあるので、順次Kindleストアに出していこうかなと思っています。ハートウォームからナンセンス、虐殺ものまでいろいろあるので、気が向いたら読んでもらえると嬉しいです。

著者プロフィール

針とら Twitter(@varitra
1982年生まれ。慢性的Amazon中毒で、近頃は捨てても捨てても湧いてくるAmazonのダンボール箱に家を乗っ取られていたという。
昨夜遅く近所の住民が「わかったよ! zonの頭の中の梱包物を探ってくればいいんだろ! わかったからこれ以上うちをAmazonの領地にしないでくれよ!」という氏の叫びと、きんどるどうでしょうのインタビューチケットを握りしめて駅に向かう氏の後ろ姿を目撃している。
畑に肥料を撒いていたzon氏に伺ったところ、「針とら? 来ていない。知らない」とのこと。以後の消息は不明。
氏の住居: http://www.varitra.info/
氏制作のゲーム: http://www3.to/kamaitachi-rengoku/

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