「セルフパブリッシング狂の時代」佐々木大輔さんインタビュー

こんばんは、きんどるどうでしょうです。KindleDirectPublishing、いわゆる個人出版で活躍する著者へのインタビューをお送りする”KDP最前線”。第31回は、「セルフパブリッシング狂の時代」を執筆した”佐々木大輔”さんのインタビューを掲載します。

セルフパブリッシング狂の時代

「セルフパブリッシング狂の時代」佐々木大輔 (著)<

著者は本書のなかで次のように予言する。
「紙とは違った、電子書籍ならでは(スマートフォンやタブレットPCならでは)の作品に対するニーズが顕在化してくる」
「そのニーズにあわせて素早く、かつ大量に作品をリリースし続ける個人出版作家が登場し、彼ら彼女らが、電子書籍の市場を大きく育てていく」
個人出版元年の2012年と、ブログ元年の2003年を比較することで見えてくる「出版(Publishing)」の未来とは?

ブログというサービスが「出版(Publishing)」という言葉の可能性を紙だけでなく(…)今後さらに電子書籍にまで拡がっていく

本書はライブドアブログの事業責任者である佐々木さんによる「個人出版」ガイドだ。ブログサービスにより広義となった出版という概念をブログと絡めて「電子書籍」の位置づけを探る試みは面白い。そして常々話題になる「素人の書いた文章を読みたいと思うのか?」という課題に関してはブログの例を用いて明快に答えてくれる。実際、私もランキングをじぃーっと見ている限り個人の書いた本は思ったより売れてるよなーと思うんですよね。大事なのは書き抜く力と読者を魅了する力ですな。そして、ブログシーンの最前線を切り開く佐々木さんが予言する電子書籍の未来は必・見・ですっ!

佐々木大輔さんには、本作のセールスポイントや特にお気に入りのシーンなどを語っていただいた。

インタビュー with 佐々木大輔さん

――この作品を書いたキッカケを教えてください

Kindleが日本でもリリースされるまで、私自身は電子書籍というものにまったく関心がなかったんですね。紙の本じゃなきゃ読んだ気がしない保守派というのでもなく、単によく知らなかったんです。でも、KDPという仕組みは、やってみてすぐハマりました。電子書籍かどうかは関係なくて、個人出版というコンセプトにハマったんです。個人で本を出版してAmazonで販売できるなんて、すごいことじゃないですか。で、夢中になっていろいろやっていくうちに、「これって2003年頃にブログのカスタマイズに夢中になったのと似てるな」と思ったんです。
当時、多くの人がHTMLタグを書いてFTPでアップロードして検索にも引っかからないサイトを更新している間に、僕はモブログ(メールアドレス宛てに送った文章がブログに更新される機能のこと)で外出中にも投稿をしていました。大したことは書けていなかったんですが、更新数も多いし、更新される内容もスピーディで時流を反映したものが多く、いろんなキーワードでGoogle1位を獲得して、アクセス数がどんどん増えていきました。そういう状況が、いまのKDPにも起こるんじゃないかと思ったんです。そのとき、誰が最終的な勝者になるかというと、あたらしい出版のルールにあわせて、書いて書いて書きまくる人ではないかと思ったんです。
現に、この本を書いている間にもそう著者が何人か出てきました。(忌川タツヤ氏はその代表です)。しかもそれが、どんどん読者を増やして支持を受けているんですよね。アマチュアリズムがプロフェッショナルを駆逐するということが、ブログの世界では起こりました。もしかして、本の世界にもそういう人たちの時代が来るかもしれない。そう思って、「セルフパブリッシング狂時代」というタイトルをつけて、そのとき思ったことを書きとめておきました。それがこの本なんです。

――まさにこれからの時代を生きる人を祝福する本ですね。作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

副題にもありますが、「紙の代替ではなくウェブの延長としての電子書籍」について書いているところだと思います。私自身は、PDFの電子書籍にはまったく関心がなかったので、そもそもウェブの延長としてEPUBという仕様をとらているのですが、技術的な仕様だけでなく、ビジネスモデルやカルチャー的なところも、ウェブの延長として捉えた方がわかりやすいのではないか、と思っています。
実際には、もっといろんな流れが合流していっておもしろいことになるんだろうという予感があるのですが、全体像については書けなかったので、自分の知っていることだけ書きました。その主張が正しいのかどうか、自分には評価できませんが、ユニークなポイントではあると思います。

――ビジネスモデル的には確かにそうですね。実際の購入がAmazonなわけですから。では、作品を書くうえで悩んだところは?

短い内容なので、書くときにはあまり悩まなかったのですが、書き終えてから悩みました。なにしろ、おもしろい事例が次から次に出てくる。それも収録したいと思って昨年末に第二版にアップデートしましたが、そう遠くないうちに第三版も用意しなければいけなくなりそうです。

――アップデート楽しみです。では執筆にかかった期間はどれくらいですか?

土日の2日でやりましたが、後日大幅に改定増補したので、それにプラス1日ですかね。ちょっと長めのブログ記事が5本~10本という読みやすいボリュームにしました。

――Kindleで出すにあたって困ったことはありますか?

画像やリンクがたくさん含まれているので、EPUBのファイルを作るのがめんどくさかったところですかね。EPUB制作のバッドノウハウをためこんでも、ちょっとすればすぐ古びてしまうので、そこに時間を使うのは嫌だったんです。なので、自分自身で企画して、livedoor BlogそのものにEPUB作成機能を実装してしまった、それを使ってこの本を作りました。
実はこの本は、livedoor Blogの新機能の実験台でもあったんです(笑)中の人が(書き手としても)真剣に作ってるんで、動作は保障します。

――それは素晴らしい力技ですね。では1番読者に伝えたいテーマはなんですか?

あとがきに書いたことをそのまま引用しますが、「ブログが登場したとき、情報共有をしないことが機会損失のリスクを生んだように、いまや、個人出版をしないことは次の大きな機会損失を生んでいくのではないでしょうか」ということです。やるかやらないか考えている暇があったら、いますぐやってみるべきだと思います。

――なるほど。では続いて現在Kindleで注目している作家・作品は?

たくさんいるんですが、話の流れ上、ここはあえてセルフパブリッシング狂・忌川タツヤですね。

――彼はクレイジーですからなあ。今後の予定について簡単に教えてください

戦う電子書籍マガジンダイレクト文藝マガジン1月18日(金)から、その忌川タツヤと私とでメルマガ「ダイレクト文藝メルマガ」を創刊します。作家によるKindle作家のための文芸誌、といった感じの内容です。Kindleハックからゴシップまでいろいろ掲載します。
http://magazine.livedoor.com/magazine/58
また、1月28日(月)には、下北沢B&Bというお店で、「このダイレクト出版がすごい! Vol.1」というトークイベントをやらせていただきます。また同時に、電子書籍を新刊書店の棚に並べて売る、という実験的な試みも行います。
http://bookdi.gger.jp/archives/22154044.html

――それでは最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

KDP関連のノウハウを語るウェブサイトやイベントがたくさんありますが、なかには、やったことがないのに語っている人もいます。KDPリリース直後ならまだしも、こんなに簡単なことを3カ月経ってもまだやれていない人には、それなりの理由があると思いますので、そういう人の話には気をつけましょう!

著者プロフィール

佐々木大輔(ささきだいすけ)Twitter(@sasakill
1980年生まれ。岩手県遠野市出身。
2002年からブログを利用し始め、2003年にココログの立ち上げに参加。2005年には株式会社ライブドア(現在はNHN Japanに経営統合)に入社しlivedoor Blogを担当。10年にわたって日本のブログシーンに関わり続け、現在は事業責任者として執行役員に就任。

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