「未完成」牟礼鯨さんインタビュー

こんばんは、きんどるどうでしょうです。KindleDirectPublishing、いわゆる個人出版で活躍する著者へのインタビューをお送りする”KDP最前線”。第18回は、「未完成」を執筆した”牟礼鯨”さんのインタビューを掲載します。

未完成

この本は表題『未完成』の名の通り、未完成なまま投げ出された物語6篇を綴じたものです。物語の執筆は夢日記の執筆とよく似ていて、夢の重要な場面を抜き出してその間を埋めていくように、意識の表層に這い出た断片を寄せ集めてその余白を文字で埋めていきます。この本に収録された作品は、必要な断片が全て集まらなかったか、或いは断片同士の余白を埋める気力を失ってしまった作品群のうち、なんらかの光り輝くものを見い出せた6篇です。どうか、あなたなりの「未完成の美」を見つけてみてください。

牟礼鯨「未完成」

あなたなりの「未完成の美」を見つけてみてください

本作は牟礼鯨さんが『完成させることができなかった』作品の中から光るもののあった6篇が収録された短篇集だ。通常未完成作品は著者の机の奥で眠るだけだが、こんなカタチで世に問えるというのは非常に面白い。たしかに、これは有料で販売されている本だ。ある人が読めば「読者をバカにしている!」なんて顔を真赤にするかもしれない。もちろん賢い消費者である読者は見向きもしないだろう。

だが、そうした読者の行動を恐れて未完成品を世に出さないのはもったいないと思うのだ。著者が個人的に持っているだけでは誰にも評価されることはない。出版とは自由だ!表現とは自由だ!案ずるなKDP作家諸君!こうやって恐れず『未完成品』を世に問うていくのはKDPの新たな可能性でなかろうか。

もちろん本作は未完成品。モヤモヤとしたところで終わる。オチつかず。イライラするムッキー!!しかし、そのモヤモヤもとにを自分なりのフィナーレを考えるというのも面白い。創作というのはこういうものだ。気に入らない結末をぶっ潰せ!読者を試す一冊、それが「未完成」だ。もっと多くの作家の「未完成」が出てくれば面白いと私は思う。

牟礼鯨さんには、本作のセールスポイントや特にお気に入りのシーンなどを語っていただいた。

インタビュー with 牟礼鯨さん

――この作品を書いたキッカケを教えてください

『コルキータ』や『死に逝く者が貴殿に挨拶』や『ペレイッラとカカオの森』などの作品群と同じ架空惑星を舞台にして書かれた作品群のうち、生活環境が変わって書くのをやめてしまった、あるいはその作品の存在そのものを忘れてしまった等の理由によって中途で投げ出された未完成作品だけを集めて本にしました。

――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

いずれの篇も完結していないので中途半端さや起承転結の無さ、そして物語の続きへの渇望などを楽しんでいただければと思います。そもそも物語にとっての終結は、いつだって唐突な任意の一点なのですけれど。

――では、作品を書くうえで悩んだところは?

悩むときは書くのを止めています。物語は夢日記のようなもので、頭に浮かんだいくつかの場面を言葉で繋げて補うことで作品を完成させています。なので場面が浮かばなければそもそも書かないし、それぞれの場面が繋げられなければ繋げないまま放置します。そうやって投げ出された作品群を綴じたのがこの『未完成』なのです。

――執筆にかかった期間はどれくらいですか?

収録作「三十九人学院」には2009年から手を加えていないというログがあるので構想3年といったところですけれど、実際に執筆していたのは6日か7日だと思います。

――1番読者に伝えたいテーマはなんですか?

読んでください。読むことで読者が抱いたテーマが一番正しいのだと思います。

――Kindleで出すにあたって困ったことはありますか?

表紙のデザインと誤字脱字、それから「」など表外漢字のエラーで困りました。誤字脱字は音読で、表紙のデザインは持ち前の明るさで何とかカバーしましたけれど、表外漢字がエラーになってしまうのは痛かったです。何か巧いやり方があるでしょうけれど、技術が表現を制限するのは残念なことです。

――Kindleで個人出版を目指す方にアドバイスをお願いします

Don’t try.

――影響を受けた、もしくは好きな作家さんを5人教えてください

ヘロドトス『歴史』、チャールズ・ブコウスキー『町でいちばんの美女』、ガブリエル・ガルシア・マルケス『コレラの時代の愛』、川端康成『掌の小説』、アントン・チェーホフ『桜の園』

2013年1月13日(日)に「西瓜鯨油社」としてタトホンという「創りたいさんの文化祭」的なイベントに参加します。幼稚園児の「粘土をこねたい」などといった「ものを創りたい」という思いの延長線に電子書籍製作があるのだと思っています。このタトホンは浜松町の都立産業貿易センター3階で開催されるので是非遊びにいらしてください。

著者プロフィール

牟礼鯨(むれくじら)(Twitter:@murekujira
1984年産まれのエスペランティスト。2008年1月に突然啓示を受けて3月までに50篇余の物語を書き上げる。同年夏に文学結社「西瓜鯨油社」を立ち上げ、その50篇余の物語を『掌編集』として刊行。これを頒布するため第七回文学フリマに応募するも落選。翌春、第八回文学フリマで同人誌即売会初参加を遂げる。100部刷ったのに20部しか売れず、落胆するがその後も文学活動を続け、コミティア、コミケ、福岡ポエイチ、文傾〜あやか〜、関西コミティアなど日本各地の同人誌即売会に参加した。2012年に佐藤の佐藤さんに招かれ文学フリマ非公式ガイドブックの編集委員会に責任編集者として加わる。
文学宣言:『西瓜鯨油社宣言』
http://murekujira.web.fc2.com/manifesto.html

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