痛さを強さに変える逆転のブランディング術。「プリキュアが好きすぎてたまらないので、俺プリキュアになりますっ!」が正解です。

1306221こくぼしんじです。「あな神」も3回目ですね。
さて、こうした自己啓発っぽいコンテンツに対し、昨今では「キャリアポルノ」という無慈悲なお言葉も寄せられますが……この連載は断じて違います(キリッ
なぜなら
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……ご納得いただけましたら、さっそく本題へ。前回はブランディングの4ステップのうち、第1のステップ「定義」について、王道的な考え方を紹介しました。王道――いわば「表のやり方」です。ただ、表のやり方がある以上、裏のやり方もあるんですぜ、と。
その『裏』とは、何か? そこが今回のお話です。では、行ってみましょう!
>> これまでの「あな神」はこちら

「真のブランディング」は強みでなく、弱みを武器にする

おそらくブランディングと言ったら、これから自己なり作品なりの売り出しを考えるKDP作家さんにとって「自らの強みや得意ジャンル、個性などを印象づけて、優れた作家と認知させるテクニック」……みたいな意味に見えるんじゃないでしょうか。
ここを目指すのが、いわゆる『表』のブランディングなんですけど。
ここでいったん、聞きたいワケです。この記事を読んでいらっしゃる読者さん、特にKDP作家さんの中で、どれだけいらっしゃるか。
今すぐKDPでの販売がもたらす収入で「食える」とハッキリ言い切れるような方が。
おそらく、ほとんどいないんじゃないかと。
もちろんオレも、そんなレベルじゃないです。KDPとは別に、一応はフリーランスのライターですけど、そっちだって、とても「食えてる」ってレベルじゃない。まさに三流以下で、いつも食い詰めてます(笑)。今さら正社員として面倒見てくれるような会社もないから、惰性で続けてるだけというか。
そういう意味では、少なくともオレの場合、自分のライティングスキルなんて強みでも何でもありません。
じゃあ、オレはこれから、何を武器にして人生を戦うかというと……食い詰め者の貧乏ライターであるという現状、つまり『弱み』を武器にして戦うんです。

『弱みを武器にする』とは?

一言でいうなら、自分と同じ「弱み」を持つ人たちを味方に集めて一大勢力を作り上げ、既存の体制に挑戦してしまおうというコト。
まあ、いきなり結論を言っても、そのプロセスが理解できないと思います。『あな神』で大事なのはプロセスなので、最初から順番に話しましょう。
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まず、これは出版業界に限らず、あらゆるメディアや業界にはびこる、もはや「風潮」なんですけど……。昨今は見事なまでに知名度資本主義というか、タレント性中毒状態というか……。仕事も、チャンスも、そこに付随するカネもすべて、メディアに露出して高い知名度を持っている人間や、タレント性を持つ人間に集まってしまいがちです。
ある意味、当たり前なんですけどね。

非モテの論理で戦うべし

たとえば同じ内容の本を売るなら、作者にネームバリューがあった方が売れやすいです。絶対に。また、同じ時給の店員をお店で雇うなら、そりゃ、看板娘や看板青年になってくれるような若者の方が生産性も上がるでしょう……ってモンです。
で、世の中がこういう状況にあると、とりあえずは仮定して……。
「私も知名度がほしい!」「私も人気者になりたい!」
「私も可愛くなりたい!」「チヤホヤされる側に立ちたい!」
「既存の人気者を研究してみるか」「偉い人に、解決策を聞いてみよう!」

……と考え、真っ正直に動くのは、さっきから繰り返している『表のやり方』。
では、そっちじゃない『裏のやり方』とは何か。それは、こういう世の中の状況を眺める際に、上部ではなく、下部に着目することから始まるんです。
つまり、こういう視点で世の中を見ます。
  ↓  ↓  ↓
タレント性やネームバリューのある連中ばっかりチヤホヤされてて、その裏じゃきっと、実力はあるのに露出のチャンスをもらえなくて困ってる人たちが沢山いるんだろうな……。
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要は、こうした「今の社会で苦渋を舐めてる層を糾合し、いわば反乱軍のリーダーとなって世の中に戦いを挑む」というのが、『裏のブランディング』なんです。
強みではなくあえて弱みを武器にし、自らを「弱者の代表」として定義することから始まる――前回お話した、「定義のステップ」の裏の考え方と言ってもいいでしょう。

弱者は弱者を味方に集めて大きくなればいい。

まあ、言葉のアヤで「反乱軍」なんて言ってますけど、これは分かりやすいので便宜上使ってるってコトでご理解ください。オレは別に戦争がやりたいワケじゃないですから(笑)。せいぜい、KDP作家さんの間でありがたい存在になれればいいなって以上の野心は持ってないです。今のところね(ニコッ
さて、まずはあなたの意志を確認しましょう。
あなたがもし、既得権益の仲間入りをしたい(できる)と考えているなら、弱みを見せるメリットは欠片ほどもアリマセン。既得権益という存在は、どの業界に限らず、自分の手足として機能的に動いてくれる健康かつ優秀な人を欲してますので。「そっち側」でいたい人は、この先を読む必要すらないです。
話が変わるのは、あなたが「既得権益の仲間入りを考えてない場合」です。
もし、弱者の代表や反乱軍のリーダーになろうと考えるなら……自分自身も社会的弱者なり社会の最底辺の側でいる方が、好都合だったりします。何しろ、これから味方にすべき仲間と利害が一致しますからね。立場的に、同じ「知名度弱者同士」であった方が。
では次に、具体的に同じ立場の人を味方とするには、どうすればいいかを話しましょう。
弱者が同じ弱者を味方にする際、必ず行わなくてはならない通過儀礼……それが、カミングアウトです。つまり、自分の抱えている弱点や悩み、コンプレックスなどを、躊躇なくさらけ出せ! というコト。
特に、あなたの現状がダメであればあるほど、カミングアウトの効果は大なんです。

なぜ、カミングアウト1つで弱者を味方にできるのか?

ここは具体例を出した方が分かりやすいかも知れません。
たとえば、あなたが何かのコンプレックスを抱えているとして……そうですね、ここでは「ギャンブル依存症」などにしておきましょうか。パチンコとかにハマって、取り返しがつかないトコまで行っちゃってるとか。
仮にあなたがそうだとした場合、同じ悩みを抱えている人は多いと思いますか? それとも少ないと思いますか? まあ、多いでしょうね。すでに大きな社会問題になってますから。

あなたの弱みを声高らかに宣言しよう

では、今度はこう考えましょう。その「ギャンブル依存症」というコンプレックスを、実名顔出しでさらけ出している人が、果たしてどれだけいるのか? って。
ほとんどいないはずです。当たり前なんですよ。そんなモン明らかにしたら、人間として下に見られるし、加えて実名顔出しでブログなんぞ書い日には、今後の転職にだって差し障ります。ヘタしたら、現職での立場だって危うくなるかも知れませんね。
けれど……。
だからこそ、そういう負の面を明らかにして「苦しんでるみんな、一緒に立ち上がろうぜ! 依存症から立ち直ろう! いや、憎きパチンコ業界そのものをブッ壊そう!」と叫び始めた、まさにその瞬間から、あなたは英雄、救世主の類になっちゃうんです
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これが、コンプレックスをさらけ出せない人たちの間で、一歩抜きん出た瞬間。みんなが隠しているコンプレックスだからこそ、それを明かす勇気と気合いを見せるだけで、同じ悩みを抱える人たちの間で目立つし、彼らにとっての「希望の星」にもなれちゃうんです。
……ウソだろって? 裏付けのない屁理屈だろって?
いえいえ、ウソじゃないですよ。このやり方が正しいという裏付けもあります。

プリキュアヲタクの大学生も、カミングアウトで(プチ)ヒーローに!

上では「ギャンブル依存症」を例にして話をしましたが、次に少しお話したいのは、もっと身近な、オレの教え子について。
オレはライターしながら、遊びで「がんばれ!アクターズ」という劇団をやっているんですけど。実は、この『あな神』で話している「おみこし理論」、すでにある程度、人体実験してあったりします。
誰にって、もちろん大事な教え子たちにです。
で、その大事な教え子の1人。名前を佐々木暢(ささきとおる)って言うんですけど。彼は大人の男のクセに『プリキュア』が好きすぎてたまらないというヤツでした。
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……
…………
まあ、世間一般の常識があれば同意して下さると思いますけど、人として終わりじゃないですか。いい大人の、しかも男が、プリキュアを毎週観てるなんて。
でも、この佐々木クンが熱々と、「プリキュアは全宇宙最高のイケメンなんです」「アレは女児向けの皮を被ったジャンプ漫画なんです」「視るなら? 今でしょ!」……などと意味不明な供述を繰り返し、もとい、プリキュアの面白さや魅力を語っているのを聞いたある時、オレもハッと気づいたんですよ。
「この男……。こんだけプリキュアが好きってコトを全国に実名顔出しでカミングアウトできたら、それだけで全国のヲタさん狂喜じゃね? ヲタの希望の星じゃね?」って。
その熱い思い(?)をグッとこらえるのが普通の人だと思うんですが……、彼はその一線を越えてしまいます。軽々と(笑)。
プリキュアトライブ GODな佐々木暢 オフィシャル!?ブログ
http://ameblo.jp/godofprettycure/

痛さは強さー!!

あー、分かります分かります。うわあ……ってなるのは(笑)。ただ、もう1回だけ、今度は彼のブログの最後の記事についたコメントを見ましょう。
http://ameblo.jp/godofprettycure/entry-11506667127.html
あなたがおそらくバカにしたであろうこの男が……こと、同じプリキュアファン(特に、大きなお友達)からは、どんだけ慕われているか、分かると思います。
ちなみに、彼はニコ動でプリキュアの布教活動を4年間も行ったという豪傑なので、動画も大量に残っています。この(愛すべき)バカな生き物が実際にどう動いたのか観たくなった方は、上のブログから辿ると観られますので、ぜひご覧あれ。
え? アンタはどうなんだって?
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……こうやって見苦しく否定を試みると、負のイメージも明るく認める方がマシって分かっていただけるんじゃないかと。
まあ、メディアに取り上げられるところまでは行ってないので、成功者ではないんですけどね。ただ、少なくとも「プリヲタ」というマイナスイメージを武器に変え、同じプリヲタの間で慕われる存在になったところまでは、分かるんじゃないかと。

「~で、何が悪い!」「~をナメんじゃねー!」から始めるブランディング

わざわざギャンブル依存症やら、プリヲタやらと例を重ねて、何が言いたかったか。
それは見せ方次第で、弱みさえも、というよりむしろ弱みであればあるほど、人の心を掴む上での強力な武器になるというコトです。
あなたがどんなにイメージの悪いレッテルを貼られていても、それを開き直ってしまえば、それだけで自分を取り巻く状況を劇的に変える、反撃ののろしになってしまうんです。
具体的には、あなたに貼られているレッテル(負のイメージやコンプレックス)の後ろに「~で、何が悪い!」「~をナメんじゃねー!」といった開き直りの言葉をくっつけます。
たとえば、
「ブスで何が悪いの? 私はブスで良かった!」
「HIV陽性で何が悪い!!」
「ギャルなめんな!!」
「AV嬢だからってなめんじゃないわよ!!」
「大借金して何が悪い!!」
「美容整形して何が悪いのよ!!」

コレを言えた瞬間、そのクラスタの代表者になれてしまうってコト……分かりますかね? まあ、こっちから実名挙げるといろいろ問題が起こるんでそれはしませんけど、上のようなコトを言っちゃう芸能人や文化人、それぞれ思いつきませんかね?
しかも、こういう形で代表者にのし上がった場合、味方の士気が極めて高いんです。何しろ、社会的弱者なり、今の世の中で割を食っている人たちというのは、言い換えれば、今の体制と戦う正当な理由や必然を持っている人たち……ですから。
こう言うと、かなり悪魔的なんですけど……。
彼ら(コンプレックスや弱みを抱えた人たち)は、このまま黙ってたってジリ貧なんです。だから、何かきっかけさえあれば、味方として、クソッタレな世界を変えるため一緒に戦ってくれる公算が高いワケ。極めて。
……というか、この理屈にある程度の正当性がなかったら、前回話題に出したKDP本プレビューサイトの『きんぷれ!』にだって毎週毎週、新しいKDP作家さんが参戦して下さるワケないじゃないですか。
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最後にお目汚し失礼しました。次回から、ブランディングのステップ2「認知」へと入ります。

この記事を書いた人

本名:小久保真司(こくぼしんじ)
1974.10.12.うまれ。
東京都台東区の山谷地区出身。慶応義塾大学総合政策学部を卒業後、専門学校や声優養成所の事務員として働きながら漫画原作者に師事し、シナリオライターに。コンビニ向けのペーパーバック漫画やゲームのシナリオライターとして活動する。現在は通常のライター業も請けつつ、KDPでオリジナル作品を発表中。他に、自分と同じKDP作家を支援する活動も行なっています。
→『きんぷれ!』(http://kin-pre.com
Kindle本「DISTANCE (がんばれ!アクターズ戯曲シリーズ)」好評発売中

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