こんにちは、きんどるどうでしょうです。
いま話題、もしくはこれから話題になるであろうKindle作家にインタビューするKDP最前線。今夜はその第115回。
言いたいことを自由に書いた今をとらえるための1冊「ダウンタイムまで批評を。」を執筆した山本清風さんです。
山本清風さんには本作執筆のキッカケやオススメのポイントをなどを語っていただきました。さぁ、いったいどんなお話が聞けるのでしょうか。もちろん、本作はAmazonKindleで無料で試読が可能です。
インタビュー with 山本清風さん
ダウンタイムまで批評を。
「あ、いまおっぱいさわろうとした」
「いまのはただのファッションモンスターだ」
30代ゾロ目の〝私〟と20代ゾロ目の〝ヒロイン〟がキャバクラの中心で激論交わす〝私たちの未来〟について。
■惣流・アスカ・ラングレー論
■死にたみ序説
■男女の百年戦争
■サブカル&アングラ再定義
■仮面マイノリティ
■成功したアイドルに学ぶ多様化/記号化
などを語る【キャバクラ文学/批評小説】
注釈リンクで電子書籍の真価が発揮される。
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『超人計画』『文学部唯野教授』あと町田康あたりを楽しめた人は是非読んで欲しい、膨大な(偏った)知識からなる批評風小説。以下の固有名詞にピントきたら…
エヴァ筋肉少女帯ガロ寺山修司ゾンビ岡崎京子きゃりーぱみゅぱみゅ夢野久作太宰治…(伊藤なむあひ)
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価格:150円
評価:最初のレビューをお待ちしています
Amazon.co.jpで詳細を見る
――この作品を書いたキッカケを教えてください
「キャバクラ嬢にはメンヘラが多い」という短絡的な意見への反証と、みっつの理由から。
①文学を読んでほしい
文学をやっているがほぼオワコン化しているので、復活かつ敷衍するためおもしろさと現在形の文学を伝えるべく、わかりやすいテーマで。
②物語/批評を両立する
本来私は物語しか書きたくなく浮世離れしていたかった。しかしいまは世論を活発にすべき変革期にあるため、批評小説を。物語=憧れとすれば批評=実用で、今日び憧れ要素だけでは本が売れない、というのも踏まえて。
③少年少女へ捧ぐ
サブカルツイートに反応してくれるのは少年少女たち。自分が不毛にためこんだ知識はもしかすると若者の役にたつのかも知れない、不毛に。私もたまにはひとの役にたってみたい。
――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?
ワーキングプアの青年とキャバクラ勤めの少女・オタクの一般化・ジェンダーの問題・既得権益・これらはもう他人事ではなく現代を生きる私たちの課題。その答えをサブカルをヒントに考えながらKindleの特性を活かし、リンクで用語解説⇔本文を往来できるようにした。
――特にお気に入りのシーンはどこですか?
「ダウンタイムが始まったら、あたしたちはおしまい」とヒロインが云って、お仕事でやってるだけなのか好意があるのかわからない、という場面。書いてる本人もわからない。
――作品を書くうえで悩んだところは?
作中の命題「私たちはこれからどう生きてゆけばいいのか?」はそのまま現実の悩み。そんなこと本当はわからないので、一応なりとも答えをだすのに悩んだ。いまも悩んでいる。
――本作の執筆中に起きた印象的な出来事はありますか?
処女懐胎。
――電子書籍についてどう思われますか?
本作では本文⇔注釈をジャンプで往来できるリンク機能を設けたが、これは以前から批評・論文を読むとき「あったらいいな」と思っていたもの。リアル本の存在価値が問われていることは同時に、Kindle本がHTMLである意味を問われるということで、こうした立体構造で読みやすくかつゲームブック的要素も可能にするのが電子書籍。コストも削減でき販売価格もおさえられるので、個人的には希少な民俗学の本などを電子化してほしい。
――執筆にかかった期間はどれくらいですか?
永遠とも思える一か月間。
――小説を書き始めたキッカケはなんですか?
死にたみ。
――無料キャンペーンを検討している方へ、こういう点は気をつけたほうがいいなどアドバイスをお願いします
キャンペーンを打つタイミング。無料にすることで多くのひとにみてもらえるが、そのなかには有償でも購入してくれたひとがいたかも知れない。基本的には新刊時が一番注目されるので、キャンペーン目的を「とにかく手にとってもらう」か「カンフル剤にする」のかを決めること。
――無料キャンペーンの利用前と後で販売部数に変化は生まれましたか?
最初のKindle本は初回から打ってしまったので変化はわからず。ただ該当月の無料配布は有償購入の20倍だった。
――本作を読んだ方にオススメしたい本や映画を教えてください
『超人計画』『文学部唯野教授』町田康、エヴァ、筋肉少女帯、人間椅子、ガロ、寺山修司、プログレ、ゾンビ、ルチオ・フルチ、つげ義春、岡崎京子、きゃりーぱみゅぱみゅ、夢野久作、Perfume、織田作之助、太宰治…
――Kindleで出すにあたって困ったことはありますか?
端末ごとのちょっとした違い。私は『イムルダイ宣言』の校正を〝kindle for android〟でしたが、〝Kindle Paperwhite〟で読んだ読者から「文字色が薄い」と殴られた。私の端末では反映されない設定だったから。こうして正しい知識がなくても作れてしまうのはKindle本の良さところであり悪いところ。良くも悪くも作り手の自由がある。
――それでは最後に、読者の方へメッセージをお願いします
まずはもちろんキャバクラ嬢と、そのお客さんに読んでほしい。そしてサブカルに興味のある、また様々な悩みを抱える少年少女たちに読んでほしい。あとは全世界すべてのひとに読んでほしい。ワンクリックで救える山本があります。
著者プロフィール
山本清風(やまもとせいふう) Twitter @ankipan
戯作家(げさっか)・イムルダイスト
1980年生まれ、北海道出身。猫の主催する文学結社、文学結社猫の執筆者。「まわりくどくてなにが言いたいのかわからないけれど、なんか面白い」いむるだい戯作を発表している。既刊は『そして太陽は燦々と照っていて』『菌 くさびら』『先読 【サキヨミ】』(すべてオンデマンド印刷)『イムルダイ宣言 【エッセンシャル版】』(kindle版)など。文学フリマを中心に活動。
ウェブログ:山本清風のリハビログ
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