【推薦】無性という完結した美と、まったく新しい三角関係に予想がつかない『性別「モナリザ」の君へ。』

AmazonKindleに9月21日配信スタートした新作マンガ 吉村旋『性別「モナリザ」の君へ。』の推薦記事をきんどう読者の方よりいただきましたのでシェアいたします。公式でブラウザで読める1話試し読みが公開中なので気になった方は先にどうぞ。

ガンガンONLINE 性別「モナリザ」の君へ。 Paint.1

本作の特徴はイメージとしてもちいられる『青』の色使い。PaperWhiteなどのモノクロ端末ではなくフルカラーのタブレット・スマホなどで読んで欲しい作品ですね。……これ、紙のほうはどうなってるんでしょうなぁ。それでは以下、レビューをご紹介します。

*本記事に利用している画像についてはKindleのサンプルページより引用しております。引用の範囲内と判断していますが、権利者の方より申し立てがあった場合に速やかに削除いたします。

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性別「モナリザ」の君へ。 1巻 (デジタル版ガンガンコミックスONLINE)

吉村旋 (著)
価格:680円

この世界で人間は12歳を迎える頃、自分がなりたい性へと次第に身体が変化していき、14歳になる頃には男性か女性へと姿を変えてゆく。でも自分だけは性別がないまま、18度目の春を迎えた…。

幼少期に性別のない身体で成長して12歳に自分のなりたい性別へと体が変化をしてくるそれが当たり前の世の中で、男でも女でもないまま18の春を迎えるひなせ、幼馴染たちは1人は男の子に1人は女の子になり置いて行かれ変化しない自分に期待をしなくなっていた。そんな高校三年生の春、幼馴染2人から告白され、戸惑うひなせの身体に変化が訪れる。

丁寧できれいな絵で青春の戸惑いが見事に表現されていて、モノクロの絵の中で唯一、青色でいろいろなことが表現され吉村旋によってあたらしい三角関係を描いた青春物語。


青色の表現

『性別「モナリザ」の君へ。』では白黒の中で青色での表現がされている。青色のイメージとはなんだろうか?

空、海、冷静さ、静寂をイメージするかもしれません。

青を性別で言えば男性を示す色、男性的な標識に使われる色です。漫画の中で使われている青は、正確には青ではなく浅葱色に近い。青に近いけれども青ではないという表現がこれからこの漫画にどんな意味を持つのかが考えさせられます。

青の表現で常に色が付いているのが”ひなせ”の目、どんなに小さなカットでも色がしっかりと付いているのは意味深く、青であらわされる表現は感情や影、月の表面と多く使用されておりそれが自然と溶け込んでいて青の違和感を感じさせません。


性別が決まる世界 無性のエロチシズム

12歳で性別の決まる世界で、描かれている子供は男の子とも女の子ともとれる描き方がされて、登場人物たちの名前も”ひなせ”、”りつ”、”しおり”、”あずさ”と性別が決まっていないのが当たり前だからこそ男性でも女性でも問題ない名前になっていたりと細かなところで世界観を積み上げられている中でひなせの存在の異質さが引き立てられています。

幼馴染の”しおり”と”りつ”は男の子と女の子と服装以外の外見でもわかるように描かれている中で、”ひなせ”だけは子供のころからの姿でそのまま成長したように描かれていますが、幼馴染のそれぞれの目線からのひなせは男性的であったり女性的であったりと違う姿で見えています。

表紙のひなせの姿は男性的な指先なのにたいして、足を見ると女性のような白さと柔らかな表現がされており、漫画の中のではほとんどのシーンで読んでいる人にはひなせが綺麗という表現できても男性的とも女性的とも言えるあいまいさになっています。

人は美しいものに惹かれる。

男性であれ女性であれ、世界の歴史を見ても多くの人々がまだ男性になり切れずに女性とも男性とも見分けられない少年に恋をして愛をささやいてきた。

戦国時代の武将に仕えていた小姓と呼ばれる若年者への恋文も数多く残っているし、江戸時代になれば若衆歌舞伎とった14歳になる前の少年たちが行う踊りを楽しんでいた。

生物学的に言えば胎児は女性から男性へと変化していく。生物の基本形は女性であり、女性は完成された存在であるのに、胎児が男性へと変化するのは本来必要な器官を破壊して男性へと変化していく。生物学的にも第二次性徴までの少年に女性性が見え隠れする不完全さがある。ひなせもまた無性という男性でも女性でもないという存在の中に隠れる女性性がちらりと見えるために生まれるエロチシズムがある。

ひなせは子供の姿のまま成長した存在として男にも女にもなっていない無性である。それは第二次性徴に達していない存在としてのエロチシズムを醸し出しているのではないか。そのために”しおり(男)”はひなせに惹かれるひなせの中の女性的な面に恋をしている。”りつ”はひなせの中にある男性的な面に惹かれているのではないだろうか。

無性であるひなせは漫画の中で唯一ついている青色に近い浅葱色の意味として考えると性質的に男性よりの性質ではないかと思っている。

漫画を読んでいるとエロチシズムをひなせの首筋から感じる。正確には首筋を描写するシーンがとても多く、幼馴染と3人で歩いているときに1人はネクタイを1人はリボンを結んでいる中でひとり何もつけずに首元が開いている。その視線誘導のおかげで学生服を着ているシーンでは常にその目が行くようになってしまった。

これは私の性癖かもしれませんが・・・

三角関係の漫画

作者である吉村旋が描きたいのは美男美女による三角関係であることはあとがきに書かれているので確かであ。作者は漫画の中でどのように三角関係を作るかがうまく、仕掛けになってひなせを男でも女でもない無性として扱われたことによって、まったく新しい男女の関係を作り出している。

”男女女”でもなく”女男男”でもない全く別の三角関係

物語のうつりかわっていくことで、ひなせの性別がどう変わっていくのか? 無性という完結した美という展開を見せていくのか。 1巻のラストに出てくる『準モナリザ症候群』という爆弾

幼馴染2人から告白されたひなせの心の中で2人の存在はLikeからLoveになるのか。 ひなせの性別がどうなるのかを予想しつつ次巻を待つことにします。

性別「モナリザ」の君へ。 1巻 (デジタル版ガンガンコミックスONLINE)

吉村旋 (著)
価格:680円

この世界で人間は12歳を迎える頃、自分がなりたい性へと次第に身体が変化していき、14歳になる頃には男性か女性へと姿を変えてゆく。でも自分だけは性別がないまま、18度目の春を迎えた…。

この記事を書いた人

スペシャルサンクス つんだめ さん。

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きんどうでは現在『速攻打ち切りを回避するため、新作プロモーションの強化』を目的に読者・作者・出版社からのアピールを受け付けております。気になる方は @zoknd とTwitterからお問い合わせください。

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