「故郷を百万歩」寺田雅彦さんインタビュー

こんばんは、きんどるどうでしょうです。KindleDirectPublishing、いわゆる個人出版で活躍する著者へのインタビューをお送りする”KDP最前線”。第57回は、「故郷を百万歩」を執筆した”寺田雅彦”さんのインタビューを掲載します。

故郷を百万歩

寺田雅彦「故郷を百万歩」

「この国には時々、黒くて臭い雨が降る」(本文より)
敵ブロックの爆弾で溶け固まった戦場にひとり投げ出された少年がたどり着いたのは…。
オリジナルイラストストーリー

『敵ブロックの爆弾で作られたこの模様は「爆条紋」と呼ばれ、色々な物が溶けて混じり合っている。』
本作は戦争をテーマにしたイラストストーリーだ。核爆弾を彷彿とさせる爆弾で吹っ飛んで、ボロボロになった故郷をさまよう少年の話。悲劇ってやつは向こうから勝手にやってきては根こそぎ全部奪っていくからね。諸外国と大変キナ臭いことになっていますが、何かあれば誰かが被害を負うわけで。それは自分かもしれないし、他人かもしれないのですが、少しそういう不幸について考えを巡らせるキッカケになるかもしれませんね。
寺田雅彦さんには、本作のセールスポイントや特にお気に入りのシーンなどを語っていただいた。

インタビュー with 寺田雅彦さん

――この作品を書いたキッカケを教えてください

元々は自分のサイトで発表したもので、2004年2月に第1話、2005年3月に最終第4話をアップしています。9.11テロから、アメリカ合衆国によるアフガニスタン、イラクへの侵攻へと続いていった頃、戦争への恐怖感が高まり、自分や家族が生活しているところが戦場になり爆撃されたらどうなっちゃうんだろう?と想像し始めたのが執筆のきっかけです。
自分の家族を悲劇が襲ったら、というところを想像の足がかりにするため、主人公は当時の息子と同い年にしました
少年の思い出も、我が家で実際にあった出来事をちりばめてあります。
現実には一歳になる娘もいたのですが、物語世界では主人公に妹はいません。戦争が無ければこの少年にも妹がいたかもしれないと思いながら書き進めました。
ちなみに息子も娘もすくすく育ち、健康に毎日暮らしています。

――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

イラストストーリーというところです。
電子書籍のコンテンツとしては表示に課題がありますが、文章オンリーでもなくマンガでもない、昔でいうところの絵物語みたいのを描いていきたいと思ってます。
爆弾でドロドロに溶けた街、黒くて臭い雨、少年の頼りない表情。みんな一生懸命描きました

――作品を書くうえで悩んだところは?

第2話まで書いたところで、「こんな山場の無い話どうすりゃいいんだよ」と行き詰まり、2話から3話まで8ヶ月くらいかかってます。でも、悩んだ分第3話がなかなかの感動作になったと思ってますがどうでしょう?

――どうしてこのタイトルにしたのですか?

ジェイムズ・ティプトリー・Jr.の短編集のタイトルをひねって数字を水増しして徒歩で移動させました。

――1番読者に伝えたいテーマはなんですか?

戦争では解決する問題より新たに発生する問題の方がはるかに多い。

――特にお気に入りのシーンはどこですか?

第3話の後半。

――執筆にかかった期間はどれくらいですか?

サイトでの公開時は第一話の書き始めから、第四話の完成まで一年半くらいかかってると思います。今回Kindle用にまとめるのにかかった期間は、少し手直ししながらのファイル作成と表紙画像作成とで2週間くらいでした。

――電子書籍についてどう思われますか?

早く「書籍」という呼称が当てはまらないところまで行き着いてほしい。

――電子書籍は読むもんじゃなくて作るものだとブログで書かれていますが、Kindle に集中された理由はなんですか?

電子書籍端末を使ってみたくてk○b○を買ったのですが、発売前のアナウンスと、実際に提供されたサービスに開きがあり(辞書機能、他のデバイス用のアプリ対応など)、k○b○側の最高責任者の開き直ったコメントにも腹が立ったので、k○b○で電子書籍を買うなどお金のかかることは一切しないぞと固く心に誓いました。
そのまま電子書籍そのものから離れてしまうのもくやしかったので、一番有名なKindleにしようかといろいろ調べているうちにKDPのことを知り、もう、これだ!と。読むだけより作った方が面白いに決まってる、と。
でもホント、最初はk○b○とともに電子書籍人生を歩む意欲満々だったんですよ。その証拠に、開設当初のブログ名は『人生kobo景色』。なんなんだこの意気込み。今となっては気恥ずかしい限りです。

――Kindleで出すにあたって困ったことはありますか?

元々HTMLで、縦スクロールで読み進めるのを前提に作っていて、ページという概念が無かったので、絵と文字の位置関係が定まらなくて悩んじゃいました。
「この絵とこの文章は不可分」という場合が多々あるにも関わらず、絵だけ頁から追い出されちゃったりして泣きそうになりました。

――本書は無料キャンペーンを利用されましたが、何か気づいた点はありますか?

日本時間になってないのかよくわかりませんが、私の経験では、キャンペーン開始に設定した日付の午後遅くからキャンペーン開始になるようです。ブログなどで告知する場合は時間的に少し幅を持たせた告知をしたほうがいいかもしれません。

――無料キャンペーンの利用前と後で販売部数に変化は生まれましたか?

前後に関しては特に変わりはないようです。キャンペーン中はダウンロード数が増え、終了後元に戻る感じです。
作品によって無料キャンペーン中のダウンロード数にかなり開きがあって、なぜだろうと頭をひねっていたのですが、こちら「きんどるどうでしょう」さんで紹介されたかされないかの差だったことが最近判明しました。

――今後、どういった作品を発表していきたいですか?

1.電子書籍ならではの機能(内部、外部リンクなど)を活用した、いやになるほど大量のテキスト作品。
2.描いてる方がいやになっちゃうような手の込んだオールカラーのイラストで綴る大長編物語。

――それでは最後に、読者の方へメッセージをお願いします

インタビュー中でも触れましたが、山場の無い地味な話ですが、世界中がキナ臭い出来事に覆われている今こそ読んでもらいたいです。

著者プロフィール

寺田雅彦
1962年 静岡県生まれ
中学から大学まで柔道部に在籍。その後、現在に至るまでサラリーマン(途中一ヶ月ほど失業期間あり)。
2000年 サイト『オトーラの書』開設。文章や絵物語を発表。
2012年 電子書籍関連のブログ『電子書籍は読むもんじゃなくて作るもんだ』開設。
2013年2月現在出版中の電子書籍は『故郷を百万歩』『西域探行絵巻 1』『西域探行絵巻 2』『西域探行絵巻 3』の4点。
4人家族で埼玉県在住。
電子書籍は読むもんじゃなくて作るものだ
http://koborepo.blog.shinobi.jp/

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