『ブラよろ』佐藤秀峰が「漫画家さん、こうすればもっと儲かりますよ」と漫画家目線で発言してみる

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こんにちは、きんどるどうでしょうです。漫画家・佐藤秀峰さんが新たに世のマンガ家・出版関係者に向けた投稿を公開されましたので転載でご紹介。たぶん、今後20年くらい先を考えたとき、紙にかかわるクリエイター全員がなんらかは取り組み始めないといけないのが電子書籍なんだと思うんですよね。わたしのような胡散臭いアレじゃなくて、漫画家が漫画家目線で語るお金の話を教訓として是非。

佐藤秀峰が「漫画家さん、こうすればもっと儲かりますよ」と漫画家目線で発言してみる

先日の僕の投稿を受けて、電子書籍関連の有名サイト「きんどるどうでしょう」管理人「きんどう」さんが新たにアンサー記事(?)を書いてくださいました。

「きんどるどうでしょう」とは、Kindleを中心に新刊、値引き本、期間限定の無料本に著者インタビューなどあらゆる情報をお届けしているサイト。

個人でこの方面のサイトを運営されている方としては、今、もっとも注目、成功されている方ではないでしょうか。元となった僕の投稿は、大雑把に言うと「電子書籍は安売りしたほうが得だよ。キャンペーンもやったほうが得だよ」という内容でしたが、きんどうさんの記事はこれまた雑にまとめると、「電子書籍は作家がキャンペーンを宣伝するとさらに効果的だよ」と実例を挙げながら説明するものでした。

こちらの記事にまったく異論はありません。

僕も著作が電子書籍販売開始される度に、SNSで告知しますが、それでKindleのランキングが何千位か上がることもよくあります。その上でなのですが、「ランキングが何千位か上がる作品というのは、上に何千位か売れている作品がある」作品ということなりますので、元々大して売れていないという現実があります。

僕の告知を見て、10人くらいコンテンツを購入してくれる方がいらっしゃれば、簡単に1000位は順位が上がってしまうという寸法です。

Kindleコミックで1000位以下の作品というと、恐らく月間で数千円〜数万円程度の売り上げだと思いますので、漫画家の通常のビジネス感覚で言えば、「だったら1枚でも多くの原稿を描いたほうがいいよ」という所に落ち着きます。

少なくともランキング上位数百位以内には入らないと、実はKindleってそんなにお金にならないのかもしれないですね。

僕ときんどうさんが決定的に違う部分は、僕は漫画家として電子書籍業界に絡んでいるという点だと思います。

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僕はどうしても漫画家さんに向けて「こうすればもっと儲かりますよ」と漫画家目線で発言してしまいます。

写真は最新の著作関連の電子書籍の売り上げ表の一部。チラ見せしかできませんが、「特攻の島」だけで1ヶ月で100万円以上の売り上げがありました

これは取次1社分なので、実際はもっと売り上げがあります。恐らく半年で紙単行本の印税額と並ぶのではないでしょうか。

この数字がどういうことかというと、僕はコンテンツホルダーという立場を利用して、出版社を通さず各ストア、取次と直接契約しているので、自分から直接キャンペーンを提案できる立場にあるのです。

そこで、「特攻の島」最新第8巻の発売に合わせて、第1巻の無料キャンペーンを各ストアに提案し、それに合わせてSNSでも告知を行なうなど、いくつかの施策を組み合わせた所、このような結果になりました。

SNSでの告知が効果がなかったとは思わないのですが、それよりもはるかに大きかったのは、各ストアが展開してくださったトップページバナー広告ではないかと思っています。

きんどうさんのおっしゃる、「マンガ家は電子書籍ストアや出版社のキャンペーンを積極的に利用しはじめた方が良い」というお話は、間違いなく正しいです。でも、漫画家がもう少し違う規模で売り上げを伸ばしたいなら、まずはストアと直接契約し、積極的にキャンペーンを提案することです。

出版社に任せている時点で、ロイヤリティは直接契約の1/2〜1/3に下がります。さらにキャンペーンをきめ細かく展開できなくなりますので、売り上げは1/5とか1/10になってしまうのではないでしょうか。

となると、紙書籍で僕と同等に売れている作家さんでも、電子書籍の収入は僕の1/10、1/30になるはずです。

出版社の出版契約の電子書籍関連の項目の内容はもちろん知っていますし、各ストアの売り上げ規模もほぼ把握していますので、ランキングを見れば「あの作家さんは出版社にいくら抜かれて、このくらいだろうな」というのは予想が何となくついてしまうのです。

きんどうさんが記事の中で ”今のように大雑把にまとめてドーン!と無料や半額にするようなキャンペーンをしてくれる電子書籍黎明期のうちに、上手く利用するような強かさを身につけるのは必要だと思うんですよ。これから先もこんな雑な販売方法が続くとは思えないので。「電子書籍も再販制度適用だー。価格は紙と一緒だーガハハハ」なんて、エライ人が政治の力で推し進めるかもしれませんからね。”とおっしゃっていますが、これは本当にその通りです。

僕程度の頭でできることを他の人が思いつかないはずがありまえせん。

僕と同じことをすべての出版社が始めたら、あっという間に僕は埋もれてしまうでしょうし、こんな抜け穴だらけのシステムがいつまでも続くとは思いません。
だけど、その時が早く来ることを、僕は願っています。

僕が今得をしているのなら、電子書籍が黎明期の野蛮な時代だからこそであって、電子書籍がもっと普通のことになればいいな、と。

この記事を書いた人:佐藤秀峰

大学在学中より漫画家を志し、福本伸行、高橋ツトムのアシスタントを経て1998年『週刊ヤングサンデー』(小学館)に掲載の『おめでとォ!』でデビュー。『海猿』や『ブラックジャックによろしく』など、綿密な取材に基づいた人間ドラマを描く。

転載元Facebook

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