料理漫画研究家が選び抜いた個性溢れる5作品

1510072きんどるどうでしょうをお読みの皆様。こんにちは。料理漫画研究家の杉村です。先月に引き続き、料理漫画の紹介をさせていただくことになりました。先月の記事はこちらです。→ 「はじめての料理漫画」これから料理をはじめる人が本当に参考にできる良質な5作品
今回のテーマはずばり「ニコニコカドカワフェア2015でオススメの料理漫画5作品」です。話題の『ダンジョン飯』や、アニメ化も果たした『目玉焼きの黄身 いつつぶす?』など個性あふれる作品の美味しいポイントを解説します。7日23時59分まででしたが、8日現在でもセール継続中です
あと1日しかないというか24時間を切っている気がしますが、どれも面白いのでセールが終わった後も参考にしてみてください。あ、でもセール中の方が断然お得です!
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【今夜終了】ニコニコカドカワフェア2015でオススメの料理漫画5作品

魔物を倒して食べる! 異食のグルメファンタジー『ダンジョン飯(1巻のみセール対象)』

ダンジョン飯 1巻
九井 諒子 (著)
価格:208円 ★★★★* 270件のレビュー

九井諒子、初の長編連載。待望の電子化! ダンジョンの奥深くでドラゴンに襲われ、金と食料を失ってしまった冒険者・ライオス一行。再びダンジョンに挑もうにも、このまま行けば、途中で飢え死にしてしまう……。そこでライオスは決意する「そうだ、モンスターを食べよう!」スライム、バジリスク、ミミック、そしてドラゴン!! 襲い来る凶暴なモンスターを食べながら、ダンジョンの踏破を目指せ! 冒険者よ!!

もう、今年一番面白い料理漫画、いや一番面白い漫画ではないでしょうか。そう言っても過言でないぐらいの傑作です。
ダンジョンに潜っていた剣士ライオス一行は、深い階層でドラゴンに出会います。ドラゴンはとても強力で、パーティーは壊滅状態に。ライオスの妹ファリンがドラゴンに丸呑みにされつつも緊急脱出魔法を使うことで、彼女以外はなんとか窮地を脱出します。ドラゴンに食べられてしまったファリンを助けるためにも、再びダンジョンへ行き、ドラゴンと対峙しなければなりません。
ところがここで問題が。身一つで脱出したため、荷物が全くありません。つまり、お金が無い。でもドラゴンのいる層へは何日もかかります。ご飯がなければ、生きていけません。そこで、実は魔物フェチだったライオスは考えます。
こうなったら、ダンジョンで倒した魔物を食べるしかない!
かくして、ダンジョンで出会った魔物を倒しつつ、調理して食べて深層を目指していくのでした。最初は魔物の調理に対してど素人だった彼らも、魔物食に対して豊富な知識を持っているドワーフのセンシと偶然出会うことにより、さまざまな魔物をおいしく食べることができるようになりました。
1501166a面白いのは、それぞれの魔物の生態について考察し、どうやったらおいしく食べられるかということを追求している点です。この点は、同じく空想上の生き物を調理して食べる『トリコ』よりも、生態系と味わいと調理方法が論理的でリアリティがあります。なるほど、本当にこうしたら食べられるんじゃないか、という気になるのですね。
本当に傑作なので、セールの期間に是非! セールが終わっても、買って損はしません!
『ダンジョン飯』本文内画像については過去、きんどうにてエンターブレインさんより寄稿頂いた記事から再引用しております。


エキゾチックなトルコ文化と出会える、青春ストーリー『白い街の夜たち(全3巻)』

白い街の夜たち(全3巻)
市川 ラク (著)
価格:219円 70%OFF

自分の居場所を見つけられず、日々流されるまま生きる専門学生・文子。彼女が偶然知ったのは、魅惑のトルコ文化。そして、世界の食文化が溶け込んだ、トルコ料理。この出会いは運命……!? 気鋭の女流作家、初の長編連載。エキゾティックな青春成長ストーリー。

主人公の専門学生の文子は日々流されるままに何となく暮らしていたのですが、ふと入ったトルコ料理屋さんでバイトをすることになります。そこで出会った料理やベリーダンスに魅せられ、だんだんと異国情緒あふれるトルコ文化、イスラム文化に惹かれていきます。
次第に自分の目指す方向が見えてきた文子。そんな彼女の魅力に気づく男の子が出てきたり、うとましく思う同級生が出てきたり、学校でも彼女の周りが動き始めます。そして、日々流されるままになっていた原因である、幼なじみに小さいころにかけられた「のろい」は解けるのか!? という青春ストーリーになっています。
これが本当に面白いのですよ。どちらかというと料理漫画というよりは青春の話ではあるのですが、トルコ文化ならびにトルコ料理ももう一つの主役といっていいぐらい、登場します。トルコ文化の入門書にもぴったりなのですね
トルコ料理はフランス料理、中華料理と並ぶ世界三大料理のひとつです。ヨーロッパとアジアの中央に位置していて、昔から東西の文化が混じり合うエキゾチックなトルコ文化を味わってみませんか


料理に対するこだわりは、身を滅ぼす!?『目玉焼きの黄身、いつつぶす?(セールは5巻まで)』

目玉焼きの黄身 いつつぶす? 1〜5
おおひなた ごう (著)
価格:208円〜 69%OFF〜

夜の町に灯る家々の光、そのひとつひとつに、それぞれの人生が、暮らしが、目玉焼きがあることを、きみは知っているか…。 “あたりまえ”だと思っていたその食べ方は、“あたりまえ”ではないかも知れない。ギャグ界の暴走天使おおひなたごうが全日本人に問う、衝撃のフード・ソウル・ロマン!

最近の料理漫画の中でも屈指の面白さと、大いなる問題提起をしてくれる作品です。
誰もが当たり前のように食べている、日常生活におけるさまざまな料理。みんな同じと思っていても、実はそれぞれ違うのではないでしょうか? 果たして目玉焼きの黄身はいつどのようなタイミングで食べればいいのでしょうか?
誰しも食べ方について譲れない一線があるのではないでしょうか。こう食べた方がおいしいよと言われても、自分は昔からこうやって食べてきたから、こう食べる! というこだわりは、多かれ少なかれ持っていると思います。
でもそれは本当に「正しい」食べ方なのか。主人公のジロちゃんは、料理の食べ方について真剣に悩みます。その熱量のあまり、恋人の食べ方に文句をつけて罵倒してしまうほど。だけど他の人の食べ方とその理由を聞いて、論理に納得したり、良き導き手たる上司の近藤さんにアドバイスをもらったりして、ジロちゃんは成長していきます。
人気のあまり、アニメにもなった本作品。あまり食べ方にこだわりが無い人でも、この本を読むと「あぁ、あるある!」「確かにそうだ!」という視点も見つかるのではないでしょうか。読み終わると、自分の食べ方について振り返ることでしょう。


隣でうんちくを言われ続けると、おいしい料理もまずくなる『私のご飯がまずいのはお前が隣にいるからだ(全2巻)』

私のご飯がまずいのはお前が隣にいるからだ 全2巻
いのうえさきこ (著)
価格:268円 58%OFF

大好きなものをおいしく食べたい。そんな当たり前のことを願うサユちゃんのまわりには、なぜかツウぶりたい人ばかりが集まってくるのだ。スシはこう食べろ、蕎麦は粋にすすれ、から揚げにレモンかけるな! などなど。ただ静かにご飯が食べたいだけなサユちゃんの明日はどっちだ!?

主人公のサユちゃんは、大好きなものをおいしく食べたい。それだけが望みなのですが、不思議とサユちゃんの周りには、食べるときにうんちくを語る人が出てくるのです!
「え、とんかつにレモンをかけるの!?」とか「寿司はこう食べろ!」とか、役に立つうんちくもありながら、根拠の無い俺ルールもあったり。これはちょっとつらいですね。
というわけで、食べている最中の過剰なうんちく、俺ルールのおしつけは、料理がおいしくなくなるという漫画です。読んでいると、ああこれは本当に食欲がなくなるなーという回も少なくありませんので、おいしさや食欲が増す効果を求めて料理漫画を読みたいという人は要注意。でも、こういう人いるいるとか、あるあるという気持ちにはなるんじゃないかと思います。
あ、ちなみに僕は、ここまでうんちくを語りませんよ。たぶん。求められなければ……


実際の中華料理界に多大な影響を与えた、中華料理漫画の金字塔!『鉄鍋のジャン(全13巻)』

鉄鍋のジャン 全13巻
西条 真二 (著), おやま けいこ (著)
価格:301円

料理は勝負だ! 孤高の若手料理人・秋山醤(ジャン)が巻き起こす料理勝負の数々!

コミックス版で値段が比較されているので50%セールではないように見えますが、実際は文庫版なので半額相当額のはずなのでご紹介します。
主人公の秋山醤(ジャン)は、凄腕の料理人。「料理は勝負だ!」がモットーで、とにかく勝負に勝てばいい料理を作り、数々の料理バトルを勝ち抜きます。
今までの料理漫画のテーマは「料理は心だ」とか、最終的には味よりも心が大事、というものでした。それをこの作品では、主人公がまず悪役のような顔をしていて、勝負にこだわる。ライバルの女の子が「料理は心だ」をモットーにしている、という、ピカレスクロマン(悪漢小説)のような構造になっています。
出てくる料理もそれはそれは料理漫画らしい、奇想天外なものが……と思いきや。実は緻密な取材の元に成り立っていて、ほとんどが実在の料理だったりします。まあさすがに漫画的に強調されているものも多いことは多いのですが。フードコーディネーターのおやまけいこさんが監修しています。その辺の裏話は、各巻の巻末に「ジャンへの道」およびレシピとして載っていますので、単行本で持っている人もこの機会に集めちゃうのもいいかもしれません。
そんな緻密な取材っぷりからか、実在の料理界に与えた影響も大きいのです。一番有名なのは「飲めるラー油」でしょうか。飲めるほどおいしいラー油は、元々は六本木のとある料理店のものだったのが、この漫画に登場したこともあって、他の中華料理店にも広まっていきます。それまでは単なる餃子とかの付けタレ扱いだったものが、一級品の調味料になったのです。そうやって各店のオリジナルレシピラー油が誕生したことで、ラー油そのものがどんどん発展していき、最終的には食べるラー油ブームにもつながっていったと思われます。
ラー油関係のお話は、文庫版10巻の「ジャンへの道」に載っています。レシピも載っているのですが、基本的には業務用のレシピなので、作る時には量を加減する必要があるでしょう。


おわりに

というわけで、セールの中からピックアップしてみました。まだまだ紹介したい作品はたくさんあるのですが、今回は特に個性あふれる作品を選んでみました。
大規模なセールになると、その中から読みたい本をセレクトするのも大変な作業になると思います。料理漫画ファンにとって、この記事がその助けになったとしたらうれしいです。
ちなみに最後に恒例(?)の宣伝を。残念ながらKindle版はないのですが、10月23日(金)に白熱洋酒教室という、洋酒の中でも蒸留酒(ウイスキーやブランデーやラムとか)の入門本を出します。興味のある方は是非読んでみてください。
白熱洋酒教室 (星海社新書) 新書
杉村 啓 (著), アザミ ユウコ (著)
価格:929円 10月23日紙書籍で発売

ウイスキー、ラム、ブランデー…あなたの人生を変える一杯が、必ず見つかる! 『白熱日本酒教室』のタッグが贈る、待望の洋酒入門!


この記事を書いた人:杉村啓
料理漫画研究家。11月25日に星海社新書「白熱日本酒教室」出しました。好評発売中!料理漫画研究家/醤油賢者。醤油なブログ『醤油手帖』はじめました。3月26日に河出書房新社より発売! 昨年9月13日放送の「タモリ倶楽部」で醤油手帖が紹介されました。僕も出てます。他にもテレビに結構でていたりします。 醤油とか日本酒とか大好きです。
醤油手帖:http://shouyutechou.hatenablog.com/
料理漫画を研究してます:http://mumu.hatenablog.com/
Twitter:@mu_mu_

【最終日】2万冊以上が7日まで50%OFF or 還元

1510012>> Amazon.co.jpで「ニコニコカドカワフェア2015(すべて)」「セール対象作品より7月以降発売の新刊」「コミック(すべて)」「ラノベ(すべて)」「小説(すべて)」をチェック

注意事項:Kindle本の価格は随時変更されています。また、本サイトでは購入された書籍や内容についての責任は持てません。ご購入の前にAmazon上の価格・内容をよく確認してください。良い価格で良い本を。きんどるどうでしょうでした。

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