「はじめてのブロガー本」ブログ歴10年を超えるわたしが選んだ、噛みしめるほどに味わい深い7作品|倉下忠憲のブックリスト

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こんにちは、きんどるどうでしょうです。将来はじまるだろうKindleの読み放題サービス『Kindle Unlimited』に備えて、プロ・アマ問わず色んなこだわりを持つ方のオススメブックリストを頂く新企画「はじめての◯◯」。
第8回目はビジネス書作家であり、ブロガー歴10年を超える「物書き」倉下忠憲さんから、味わい深いブロガー本をセレクトいただきました。すでにアルファな方々の生き方本から、これからな方々まで。ネット発の才能の作品を是非、御覧ください。
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はじめてのブロガー本

はじめまして。オーサー(Author)でブロガーのRashitaこと倉下忠憲です。その他いろいろな活動をひっくるめて「物書き」と名乗っていますが、そんなことはどうでもいいですね。
私は長らくブロガーをやってきまして、ひょんなことからジョブ・チェンジして物書きとなりました。PV的にも収益的にも、とてもプロ・ブロガーを名乗ることはできませんが、一応専業の物書きとしてやっています。本もいろいろ書いてきました。
近年では、私のように専業の物書きにならないにせよ、商業出版しているブロガーさんは珍しくありません。また、近年登場したセルフパブリッシングを駆使して、自分で本を出版しているブロガーさんもいらっしゃいます。どうやら、その数は少しずつ増えてきているようです。
ブロガーというのは、基本的に一般ピープルであり、商業出版に多く見られるような著名人ではありません。その意味で、ブロガーが書いた本は、そうでない本に比べて低く見られてしまう傾向があります。しかし、それはビッグな勘違いです。
一般ピープルであっても、何かしらの専門性や独自のノウハウを有していることは十分ありうるでしょう。また、著名人では持ち得ない「一般ピープルならではの視点」といったものもあるかもしれません。そうしたものはそうしたもので、独特の価値を有しています。
そこで今回は、ブロガーが執筆した本をいくつかセレクトしてみます。
注目したいのは、もちろん本の内容ですが、それに加えて書籍とブログで文章がどのように違うのかという点も見逃せません。その差異は、それぞれのブロガーがメディア(媒体)をどのようにとらえているのかを明らかにしてくれます。
とはいえ、それは本とブログを共に読んではじめてわかることです。ここでは、簡単に本の内容を紹介するに留めておきましょう。

『考える生き方』(finalvent|極東ブログ)

考える生き方
finalvent (著)
価格:1,120円 26%OFF ★★★★☆ 28件のレビュー

「極東ブログ」を主宰する人気ブロガーの・finalvent氏の第一作。1980年代の振り返りから始まり、就職、結婚、沖縄への移住、子育て、難病、そして生涯を支える学問と思索について綴る。読後に得られる「人生への明るい諦観」は今の時代に相応しいものであり、特に同年代(50代)の読書家に強い共感をもって

著者は「極東ブログ」のfinalventさん。
自らを「失敗者」とし、その視点から生きることについて真摯に語られています。社会全体を見渡せば、数少ない成功者よりは、失敗者の方が多いわけです。普通と言い換えてもよいでしょう。そんな中でも、自分の人生に起きる出来事と折り合いつつ、それなりの納得感を持って行くにはどうすればいいか。そんなことが語られています。
クロノロジカルに話題が進んでいくので、どこかしらの話題が、読み手の心に直に届くことでしょう。


『あたらしい書斎』(いしたにまさき|みたいもん)

あたらしい書斎
いしたに まさき (著)
価格:857円 ★★★*☆ 11件のレビュー

仕事術・思考術の原点となる自分の場所=書斎について考えます。「書斎」にあこがれはあっても、実際に持つことはなかなか難しいもの。本書ではまず書斎の役割と機能を定義し直し、あわただしい現代に「集中して考える」時間を取り戻すために必要な場と、書斎の役割を設定。1畳の空間、IKEAの家具、無料で使えるクラウドのサービスで、現代の住宅・IT事情に合わせた「あたらしい書斎」を作っていきます。

著者は「みたいもん!」のいしたにまさきさん。
一種の書斎論なのですが、書斎の機能や役割を定義するだけにとどまらず、IKEAの家具を駆使するイチからの書斎作りも公開されています。なかなかおもしろい試みですね。クラウドが身近にある現代において必要なものは、巨大な書棚が据え付けてある部屋ではなく、自分と心と静かに向き合える空間なのかもしれません。


『知的生産の技術とセンス』(堀正岳,まつもとあつし)

知的生産の技術とセンス 知の巨人・梅棹忠夫に学ぶ情報活用術
堀 正岳 (著), まつもと あつし (著), 小長谷 有紀 (監修)
価格:800円 ★★★*☆ 7件のレビュー

本書では、元祖ライフハックと言っていい、知の巨人・梅棹忠夫先生が提唱された「知的生産の技術」を、私たちができる限り活かせるように再解釈し、周囲にある道具や環境に適用できるよう、アップデートを試みました。さあ、「知的生産」という人生の武器を手に入れましょう!

著者は「Lifehacking.jp」の堀正岳さんと、「a_matsumotoの日々徒然」のまつもとあつしさん。
名著『知的生産の技術』をアップデートさせる、という野心的な一冊です。知的生産の重要性と、その現代的なテクニックが紹介されています。加えて、それ扱うセンスを磨くことの必要性も語られています。おそらく、そうしたセンスがないと、テクニックは小手先のものになってしまうのでしょう。


『たった一度の人生を記録しなさい』(五藤隆介|ごりゅご.com)

たった一度の人生を記録しなさい
五藤 隆介 (著)
価格:1,200円 26%OFF ★★★*☆ 17件のレビュー

行った場所、食べた物、読んだ本、やりたいことリスト、レシート家計簿…。文章も写真も動画も投げ込むだけ!Googleでは検索できない、自分だけの「感動」と「発見」を一瞬で残し、きちんと未来に役立てる、クラウド時代の人生記録法。

著者は「ごりゅご.com」の五藤隆介さん。
ともかくなんでも記録をし続けていって、最終的には「自分Google」を作ろうぜ、という内容です。クラウド時代のライフログ作成術といった趣ですが、文体が軽く、押しつけがましさがないのが特徴でしょう。理念によるトップダウンではなく、等身大のおもしろさ・便利さが積み上げられているような、そんな本です。


『アウトライン・プロセッシング入門』(Tak.|Word Piece)

アウトライン・プロセッシング入門: アウトライナーで文章を書き、考える技術
Tak. (著)
価格:499円 ★★★★☆ 13件のレビュー

本書は、個人のためのアウトライン・プロセッシングの一般的な技法と考え方についての本です。アウトライン・プロセッシングとはWorkFlowy、OmniOutlinerなどの「アウトライナー」と呼ばれるソフトを使って文章を書き、考える技術のことです。

著者は「Word Piece」のTak.(たく)さん。
「アウトライナーの使い方」を紹介した本なのですが、この書き方では本書の魅力をまったく伝え切れていません。操作方法の紹介だけでなく、ツールの特性や、それを活かした使い方なども解説されています。アウトライナーというツールの入門書__なぜか紙の書籍ではほとんど見かけません__としては最適の一冊でしょう。


『23歳ゆとり、1年半で会社を辞めました』(けいろー|ぐるりみち。)

23歳ゆとり、1年半で会社を辞めました: 新卒入社から3年以内の退職を考える
けいろー (著)
価格:250円

本書は、平成元年生まれの「ゆとり世代」ど真ん中である著者が、ブログに記してきた「働く」ことに関する文章を再構成し、一冊の本としてまとめたものとなります(……)主に同世代の、自分と同じように「新卒三年以内」で退職を考え、悩んでいる人たちに寄り添える内容となっていれば幸いです。

著者は「ぐるりみち。」のけいろーさん。
タイトル通り、会社を辞めるお話なのですが、「サラリーマンやってるなんてバカじゃないの?」みたいな話でも、「忍耐力それが社会人の証明」といった話でもありません。答えを提示するのではなく、著者が実際に経験したこととそれと向き合う思考を開示しながら、読者に考えるヒントを提示するようなスタンスになっています。
人生はひとりひとり違うのですから、やはり自分の人生については自分で考え、答えを出していかなければいけませんね


『Kindleのまとめサイトでどうにかこうにか1000日間生計をたてた話』(きんどう zon|きんどう)

Kindleのまとめサイトでどうにかこうにか1000日間生計をたてた話
きんどう zon (著), 鈴木小波 (イラスト)
価格:250円 ★★★★☆ 15件のレビュー

キンドルユーザーなら一度は見たことがあるかもしれない、ダンボールをかぶった怪しいアイコン(……)サイト開設1000日目を記念して「他業界や、出版社業界で編集や紙書籍の営業から、電子書籍の担当になった人」向けにこれだけできれば上手くいく!というところまでメディアづくりについてまとめました。

著者は「きんどう」のzonさん。まあ、このサイトです。
最後の最後まで本書を入れるかどうか悩んだのですが、「ブロガーの書いた本」というお題である以上、外すことはできそうもありません。このサイトがどのようにして生まれ、維持されているのかが「これでもか! これでもか!」という勢いで紹介されています。そこから、そこからブログ__というかネット・メディア__を運営する上で重要と思われるポイントも提示されています。
本書の興味深い点は、「楽して儲けられる」というネット・メディアに付随しがちな話が出てこない点です。「血のにじむような」としか言いようのない雰囲気が本書全体に立ち現れています。それでも、しかるべきことを積み重ねれば、しかるべき成果を手にできる。非常に簡潔なお話です。


さいごに

というわけで、今回は商業出版・セルフパブリッシングを織り交ぜて「ブロガー本」を紹介してみました。
もちろんほかにもブロガーさんが書いた本は山ほどあります。そして、それぞれの本には、独特な個性が宿っています。きっとその個性は、ブロガーがブログを更新する中で磨かれていったものなのでしょう。
とはいえ、やはり本とブログは違います。著者の気持ちも、メディアのたたずまいも違います。その違いを、スルメのようにかみしめながら読み比べてみるのもブロガー本の楽しみ方かもしれません

この記事を書いた人:倉下忠憲
物書きです。R-styleというブログを運営しています。ビジネス、経済、政治、投資、為替、麻雀、アニメ、ゲーム、ガンダム、iPhone、ライフハックなどに反応しやすい性質をもっています。
http://rashita.net/blog/
Twitter:@rashita2

ブログを10年続けて、僕が考えたこと
倉下忠憲 (著)
価格:420円 ★★★★★ 1件のレビュー

10年以上ブログを続けてきた著者が、自らの体験を振り返りながら、ブログの現状と未来についての思いを綴る。 ブログという「場」を得たことにより、コンビニ店長からフリーランスの物書きとなった著者は、その胸にどのような思いを抱いているのか。7万字越えのフルボディ・エッセイ。

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