「はじめてのムーミン」今年はムーミン生誕70周年!静謐で美しい、童話の世界で大人も子供もるんたった|晴海まどかのブックリスト

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こんにちは、きんどるどうでしょうです。将来はじまるだろうKindleの読み放題サービス『Kindle Unlimited』に備えて、プロ・アマ問わず色んなこだわりを持つ方のオススメブックリストを頂く新企画「はじめての◯◯」。
第5回目はムーミンファン歴25年、ラブが高まりすぎて遂にフィンランドまで行ってきた!という晴海まどかさんから「はじめてムーミンシリーズに触れる人」へのオススメセレクションを頂きました。いやぁ、2017年に埼玉にムーミンテーマパークなんてできるんですね。
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はじめてのムーミン

日本でもキャラクターグッズやテレビCMでなじみ深い「ムーミン」。日本でムーミンという名前を知らないという人はほぼいないんじゃないでしょうか? 日本では二度にわたってアニメ化もされ、今なお確固たる人気を誇っています。昨年はトーベ・ヤンソン生誕100周年、そして今年はムーミン生誕70周年。おまけに2017年には埼玉県飯能市にムーミンのテーマパーク「metsä(メッツァ)」ができるとのことで、日本でのムーミン熱は加熱する一方
よくカバと間違われるムーミンですが、その正体はトロールの1種。主人公・ムーミンの正式名称は「ムーミン・トロール」、フィンランド語だと「Muumipeikko(ムーミ・ペイッコ)」で、「peikko」とは「鬼、妖怪」といったニュアンスの言葉です。
1509112dまた、日本だと根強い人気を誇るスナフキンやミィも実は人間ではなく、それぞれムムリク属、ミムラ属という種の架空の生きものだったりします(実はスナフキンとミィは異父姉弟で、しかもミィの方が姉!)。
そんなムーミンですが、もともとは1914年生まれのフィンランドの女流作家・トーベ・ヤンソン氏による童話です。「童話」というと子ども向きのものに思われがちですが、読む年齢によって解釈が変わるような、哲学的な内容も多分に含んだ大人が読んでも十二分に面白いものです
ムーミン童話は現在Kindle版も発売されています。今年8月からは特別版として、ヤンソン氏が描いたオリジナル版の表紙がKindle版の表紙に。トーベ・ヤンソン氏は画家でもあり、挿絵も表紙もすべて氏によるもの。スクリーントーンなどを一切使っていない、緻密なペン画の挿絵は必見です。
そんなムーミン、いざ読んでみようかなと思っても何冊もあるしどこから手をつけたら……という方はいらっしゃいませんか? そんな迷えるムーミン初心者の方に、ムーミンファン歴25年の私が独断と偏見をもって紹介します!

ムーミンシリーズは全9冊

いわゆるムーミンの原作となっているこの童話は全9冊です。

フィンランドでの刊順は以下のとおり。登場するキャラクターも毎巻変わりますので、どこから読んでも大丈夫です。
『小さなトロールと大きな洪水』、『ムーミン谷の彗星』、『たのしいムーミン一家』、『ムーミンパパの思い出』、『ムーミン谷の夏まつり』、『ムーミン谷の冬』、『ムーミン谷の仲間たち』、『ムーミンパパ海へ行く』、『ムーミン谷の十一月』
それぞれ、1冊ずつの読み切りです。が、これは外せない!という個人的なオススメをご紹介します。

まさに入門。世界に広まるきっかけになった『楽しいムーミン一家』

たのしいムーミン一家 期間限定特別版
山室静 (翻訳), トーベ・ヤンソン (その他)
価格:540円 ★★★★* 8件のレビュー

長い冬眠から目ざめたムーミントロール。仲よしのスナフキン、スニフといっしょに海べりの山の頂上で黒いぼうしを発見します。それは飛行おにが落とした魔法の帽子で、中に入れたものの形や性質をかえてしまうのでした。ふしぎなスーツケースをもったトフスランとビフスランもあらわれて、たのしくて、ふしぎな事件が次々におこります。さあ飛行おには、ムーミンママのパンケーキを食べるでしょうか? ムーミンシリーズ第3作

ムーミンシリーズで最初に英訳され、世界に広まるきっかけになった作品。ムーミン一家だけでなく、黒豹に乗った飛行鬼、冷たくて怖ろしい生きもののモラン、そのモランからルビーの王様を盗んだトフスランとビフスランなど、ムーミンといえばの代表的なキャラクターが多数登場。不思議な世界が広がっていく、まさに入門と呼ぶにふさわしい1冊です。
なお、前述の刊行順のとおり、この作品が実際に書かれたのは『ムーミン谷の彗星』のあとになりますが、日本での刊行は実はこの作品が先です。また、『小さなトロールと大きな洪水』はほかのムーミン童話の前日譚にあたり趣がやや異なるため、今作がムーミン童話の1巻と表されることもあります


キャラクターの原点がよくわかる『ムーミン谷の彗星』

ムーミンとスナフキンが親友になった経緯や、スノークのお嬢さんとの出会いなど、ムーミンシリーズに登場するキャラクターたちの原点がわかる1冊です。天文台を目指すムーミンの冒険はもちろんですが、ムーミン谷を襲う容赦ない自然描写も注目ポイント。
ムーミン谷の彗星 期間限定特別版
下村隆一 (翻訳), トーベ・ヤンソン (その他)
価格:432円 ★★★★* 4件のレビュー

おそろしい彗星が地球にむかってくるというので、静かなムーミン谷は大さわぎに。ムーミントロールはスニフと天文台へ出かけ、彗星を調べてくることに。スナフキンやスノークのお嬢さんと友だちになる間にも、ぐんぐん彗星は近づいてきて……。国際アンデルセン賞作家ヤンソンが描く「ムーミン」は全部で9話。このお話は、幻の第1作「小さなトロールと大きな洪水」が発表されるまでの長い間、第1作とされていたものです。

個人的には、じゃこうねずみがビスケットやパンくずを星に見立てて宇宙について説明するシーンと、ヘムレンさんが着ていた服を脱がして気球がわりにして大風の中を飛んでいくシーンがお気に入りです。
日本では1992年に劇場版アニメとしても公開されている名作中の名作でもあり、最後に海が戻ってくるシーンは感動ものです。


国際アンデルセン賞作家賞受賞作。静寂と美しさが際立つ『ムーミン谷の冬』

ムーミン谷の冬 期間限定特別版 ムーミン 期間限定特別版
山室静 (翻訳), トーベ・ヤンソン (その他)
価格:432円 ★★★★★ 10件のレビュー

まっ白な雪にとざされたムーミン谷。松葉をたっぷり食べて、パパとママといっしょに冬眠に入ったのに、なぜか一人、眠りからさめてしまったムーミントロール。はじめて見る雪の世界で、さまざまな出逢いがあります。いつでも元気なちびのミイ、ムーミントロールのご先祖さまや、水小屋に住んでいるおしゃまさん……。9作あるムーミン童話のなかで、唯一冬のムーミン谷を描いて印象的な物語。シリーズ第6作。

国際アンデルセン賞作家賞受賞作。通常は冬になるとムーミン谷は雪に覆われお日さまが昇らないこともあり、冬眠するムーミンですが、なぜかその年は目が覚めてしまいます。そこで、いつもとは違う仲間たちと冬のムーミン谷で過ごすことに。空気を読めないヘムレンさんやちびのミイにふり回されつつも成長していくムーミン、そして雪に閉ざされた谷の静謐な美しさはなんとも言えません。
ちなみに、ビレッジバンガードなどでよく売っている「ムーミンのご先祖さま」というキャラクターが出てくるのはこのお話です。


大人に薦めたい童話『ムーミンパパ海へいく』

ムーミンパパ海へいく 期間限定特別版
小野寺百合子 (翻訳), トーベ・ヤンソン (その他)
価格:594円 ★★★★★ 1件のレビュー

毎日が平和すぎてものたりないムーミンパパは、ある日、ムーミンママとムーミントロール、ちびのミイをつれて海をわたり、あれはてた島の灯台守に。植物も育たない岩だらけの島になじめないムーミンママは、部屋の壁にムーミン谷の絵を描いては、そこで眠ってしまうように。いっぽうムーミントロールは、美しいうみうまに出会い、追いかけてきた氷の精モランと夜ごと会うという秘密をもってしまい……。ムーミンシリーズ8作め

童話と言いながら、ぜひ大人に読んでいただきたいのがこの作品。平和な毎日に飽きてしまったムーミンパパは、一家を引きつれて灯台のある小島に移り住むことを決意します。
しかし、慣れない寂しい島での生活にムーミンたちの何かがどんどんおかしくなっていくという、個人的にはホラーに分類したい作品です。ママが壁に絵を描くシーンは本当にゾッとします。とはいえ、最終的には家族とは何かを描いた作品です。
4冊ほどピックアップして紹介しましたが、このほかの作品ももちろんオススメです。ムーミンパパの生い立ちやママとの出会いがわかる『ムーミンパパの思い出』、大洪水でムーミン一家が離散してしまう『ムーミン谷の夏祭り』などもぜひ推したい作品です。


ムーミンのことをもっと知りたいなら雑誌『Pen』

Pen (ペン) 『特集 映画公開で再び注目される永遠の名作 ムーミン完全読本。』〈2015年 2/15号〉
Pen編集部 (編集)
価格:500円 ★★★★* 20件のレビュー

映画公開で再び注目される永遠の名作 ムーミン完全読本。ムーミン最新映画は、フローレンが大暴れ? 昭和〜平成、海外版まで、アニメでたどる歴史。トーベ・ヤンソン自ら関わった、舞台化の裏話。童話の誕生、そして日本での物語が始まった。ムーミン谷の地図 ムーミン童話のキャラクター大図鑑。

童話は読んだけどもっと深く知りたい! という方にはこちらがオススメ。
今年2月にムーミンの新作劇場版アニメ『南の海で楽しいバカンス』が公開されたのですが、その時期に発売された雑誌『Pen』のムーミン特集号です。映画の紹介はもちろんですが、ムーミンの歴史、キャラクター、世界のムーミンの紹介などなど、往年のファンでも嬉しい記事が盛りだくさん。
また、ムーミンには童話のほかにコミックスもあります。1953年からロンドンのイブニング・ニュースで連載されていたものがもとです(こちらは残念ながらKindle版が出ていないのですが、書店の絵本コーナーで気軽に購入可)。
日本で1990年から放送されていたアニメ『楽しいムーミン一家』は、ムーミン童話とこのコミックスが原作。「ムーミンがカバと間違えられて動物園に入れられる」という、ファンの間では有名なエピソードもこのコミックスのお話の一つです。


読んでるだけじゃもの足りない!いざフィンランドへ

日本でムーミンは知り尽くしたというそんなあなた! いっそ、ムーミンの故郷、フィンランドに行ってみてはどうでしょうか!
るるぶフィンランド
JTBパブリッシング (著)
価格:889円 ★★★★☆ 1件のレビュー

2014年はムーミン作者、トーベ・ヤンソンの生誕100周年。ムーミン・ストーリー・ルームの紹介のほか、トーベ・ヤンソンゆかりのスポットも紹介。また、森や湖、オーロラに代表される豊かな自然や独特のデザイン文化といったフィンランドの魅力を、巻頭グラビアで余すところなくご紹介。


地球の歩き方 A29 北欧 2015-2016 【分冊】 4 フィンランド
地球の歩き方編集室 (編集)
価格:500円

ヘルシンキ、タンペレ、ハメーンリンナ、トゥルク、ナーンタリ、ユヴァスキュラ、オーランド島、サヴォンリンナ、ヨエンスー、ロヴァニエミ、サーリセルカ ほか。

ちなみにこの『地球の歩き方』、紙版だとスウェーデンなどほかの北欧諸国と一緒に『北欧』として1冊にまとめられているのですが、Kindle版だと分冊販売されています。
フィンランドとぱっと聞くとものすごく遠そうなイメージですが、フィンエアーやJALの直行便があるので、実は日本から1番近いヨーロッパ。片道9時間半ほどで到着できます(ハワイと大差ありません)。また、日本と似たような国土面積ながら、人口は北海道と同じくらい。首都ヘルシンキを離れれば静かでゆったりした時間を過ごせます。
ナーンタリ(Naantali)にはテーマパーク「ムーミンワールド」(夏季限定オープン)、タンペレ(Tampere)には「ムーミン谷博物館」などの観光スポットがありファン必見。
1509112aa1509112bそして、ムーミングッズはどこででも、と言ってもいいほどあちこちで入手可能。フィンランドではムーミンは国民的キャラクター。キャラクターグッズにおけるムーミンの比率は半端じゃありません。
スーパーへ行けば洗剤、お菓子、キッチングッズなどなどに、デパートに行けばおもちゃに子供服、大人向けのファッショングッズにと、あらゆるものにムーミンが!
そして何より、ムーミンの世界に登場する自然を直に体験できるのが最大の魅力。夜になっても日が沈まない夏至の白夜(『ムーミン谷の夏祭り』は夏至祭を描いた作品)。作中で度々登場し、ジャムやジュースに加工されるベリー(『ムーミン谷の冬』など)。白樺の森、湖、そして点在する島々。
1509112cあなたもムーミンの世界に触れてみませんか?


おわりに

こんなムーミン・フィンランド好きの私が、3年前にフィンランドに行った際に書いたお話がこちら。ムーミン好きの主人公が出てくる「エス・エス・エス」をよろしくお願いします。
この記事を書いた人:晴海まどか
Twitter:@harumima

エス・エス・エス
晴海まどか (著), はるめろん (イラスト)
価格:250円

私を取り巻く環境や年齢ばかりが変化して、私を『大人』として扱いたがる。 中身は中学、高校、大学のあの頃からさしたる成長もしていないというのに、肉体ばかりが年をとる―― 大森あかり。社会人バンド『shout』でボーカルをつとめる、悩める27歳(……)それをきっかけに、何かが少しずつ変わっていく―― 大人のための青春ストーリー。


あわせてどうぞ!前回のブックリスト

1509072「はじめての料理漫画」これから料理をはじめる人が本当に参考にできる良質な5作品|料理漫画研究家・杉村啓のブックリスト

【本企画について】
AppleMusicのオススメのように、将来はじまるだろうKindleの読み放題サービス『Kindle Unlimited』に備えて、プロ・アマ問わず色んなこだわりを持つ方にブックリストを頂き新しい本との出会いを模索します。
「はじめての海外ファンタジー」「はじめての絵本」「はじめての東洋哲学」「はじめてのナンパ」「はじめてのTOEIC」など、こだわりを持つみなさんのオススメを教えて下さい。書いてもいいよー!という方はTwitterで中の人@zokndまで。ちゃんと、売上からギフト券の形で原稿料をお支払いいたします。

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