「そのたま! その銃弾が、確かにセカイを変えたのだ」犬吠埼一介 さんインタビュー

こんばんわ、Kindleどうでしょうです。KindleDirectPublishing、いわゆる個人出版で活躍する著者へのインタビューをお送りする”KDP最前線”。本日お送りする第六回は、ひとりひとりの意思の力で世界を変える!「そのたま! その銃弾が、確かにセカイを変えたのだ」を執筆した”犬吠埼一介”さんのインタビューを掲載します。

そのたま! その銃弾が、確かにセカイを変えたのだ

「そのたま! その銃弾が、確かにセカイを変えたのだ」とは

「エルメデは変わるわ。あなたたちは、ただそれを、黙って見ているのよ」
本作は犬吠埼一介さんがこれまでに書き貯めてきた原稿を一冊にまとめたものです。表題作の「そのたま! その銃弾が、確かにセカイを変えたのだ」は新感覚のスパイ小説。海の美しい港湾国家エルメデで主人公・ニコルは平穏をかき乱す違和感を感じていた。日常を愛する男と、革命を望む男とがぶつかり合う。美しい女を賭けた、男と男の壮絶なるバトルの行く末はいかに……?! その他「蛮勇は世界を巡る」は22世紀を舞台にしたSF、「立方体都市」はセカイ系の幻想小説の3部作だ。読み応えのある短編小説集だ。
犬吠埼一介さんには、本作のセールスポイントや特にお気に入りのシーンなどを語っていただいた。

インタビュー with 犬吠埼一介さん

――この作品を書いたキッカケを教えてください

以前に、若者に大人気のとある有名なラジオ番組で、「僕たちは日本を変えることができない。」と題した番組が放送されていました。僕としては、「セカイの姿は、そこに住む人々の思いの総和によって変えることができる」という思想を持っていましたし、何とかそれを作品で表現したかったので、番組へのアンサーを込めて「そのたま!」という作品を執筆しました。

――素晴らしいアンサー作品に仕上がっています。作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

「そのたま!」は、プロレタリア文学を下地にしたエンタメ大衆小説です。ジャンルとしてはスパイ小説になります。日常を守る側の男と、革命を望む側の男。二人の対立は、小さな港湾国家の行く末を左右するだけでなく、ひとりの美女をどちらがものにするかという男と男の戦いにもなっていきます。軽快なエンタメ大衆小説でありながら、背後に文学的な思想も込めていこうというのは、僕が小説を書き始めたころから変わらないコンセプトです。

――3作品それぞれにこだわりが感じられます。本作を書くうえで悩んだところは?

「今ある世界を守るべきか、それとも変えていくべきか」、これは本当に難しい問いかけです。執筆しながら、果たして、登場する二人の男のどちらが本当に正しいのかについて悩んでいましたね。あるいは、そんなシンプルで明確な答えなどどこを探してもないのかもしれません。だからこそ、この世界は、人々の思いの総和によって右へ左へと永遠に揺れ動いていくのだと思います。

――人々の思いの総和、そのバランスが美女の存在でイメージしやすく描かれていました。執筆にかかった期間はどれくらいですか?

構想や、イメージを膨らませるために費やしたのは半年くらいです。実際に執筆を開始してからは10日ほどで書き上げました。短編小説が好きなのは、一気果敢に書いてしまえるところです。そのほうが全体に統一感や勢いが出ます。もちろん、作品によってはもっとずっと長い時間が掛かることもあります。

――しっかりと構想を作られたのですね。Kindleで出すにあたって困ったことはありますか?

まったくもって売れないことです。端末も普及してないですからね。賛否両論があるとは思いますが、僕は自分独自の強い覚悟を持って、「ある程度の数を最初に自分で買い支える」ことで、ひとまず一気にランキングの上位に載せました。出版が自由化されても、プロモーションの機会が寡占されていたのでは界隈は伸びません。何百万円と自分たちで使って広告を打つプロを眺めながら、何千位以降という順位のまま止まってしまうのでは駄目です。ぜひアマゾンは、広告宣伝も自由化して欲しい。それが可能になってこそ真にエブリワンクリエイターの時代が来る。その意思表明かつ市場調査です。一瞬だけ文学・評論で一位にしましたが、要した部数の「少なさ」たるや、ちょっと公表できないですね・・・。アーリーアダプターであるわれわれ書き手がより一層kindleを推していかなくては(笑) また、せっかくですので僕がまとめたKindle出版ノウハウをご紹介します。
「電子書籍のノウハウを徹底的にまとめてみた!」
http://togetter.com/li/410999

――おっしゃるとおりですね。やはり個人作家さんにとってのマーケティングやプロモーション論はもっと盛んに語られる必要がありますね。本作で一番読者に伝えたいテーマはなんですか?

ひと言でいえば、希望を持ちましょう、ということです。昨今、いろいろな苦悩が世を覆っていますが、それでも、われわれは前に進んでいかなくてはなりませんよね。夏目漱石先生が「兎角この世は住みにくい」と仰ったような現象は永遠不変のものかもしれませんが、同じように、「執拗に絶望を否定し、前を向いて生きていこうとする人間の確固たる意思」もまた、不滅の存在なのだと信じています。

――前に向かう意思、それを伝えたいという熱い思いを感じました。創作活動がそれを支えるというのは面白いですね。小説を書こうと思ったキッカケはなんですか?

今までの人生で、いろいろと辛いことがあったなかで、創作物が僕を支え、助けてくれました。だからこそ今もここにいることができています。そして今度は、自分が作品を書いて、創作物という大きな存在から得た恩を返していこうと思ったのです。数多の創作家たちが歩いてきたのと同じ道を歩けることは、僕にとって非常にうれしく、誇りに思うことです。

――それではオススメのkindle本を3冊教えてください。

僕と同じく文学フリマという同人イベントに参加されている牟礼鯨さんの「コルキータ」という文学作品。これが非常にすばらしいです。
そして、kindleで一躍有名になった藤井太洋さんの「Gene Mapper」というSF作品。この二つは、個人出版のなかでも非常にクオリティが高いと思っています。読んでみて損はないはずです。
あとは小説じゃないですけど津田大介さんの「ウェブで政治を動かす!」ですね。

――藤井さんは今や個人作家の星ですね!特設ページ含め、プロモーション手法は非常に勉強になりました。話し変わりますが、今後の電子書籍についてどう思われますか?

非常に明るい未来を感じます。僕のように世界の端っこでずっと諦めずに書いてきたような地味な創作家が、もっと気軽に読者様の目に触れることができるいい機会になると思っています。googleのCMで「エブリワンクリエイター」という文言が使われたのは記憶に新しいですが、僕はこれまでのようなプロとアマチュア、あるいは商業と同人といった既存の垣根を取り払う動きとして、電子書籍という場が広がっていけばいいと願っています。それによって、創作する、あるいは作品を読むという行為の敷居が下がり、幅広い人たちが参入するだろうと思います。そして、今日はせっかくのイブですのでkindlefireHDやpaperwhiteが一台でも多くクリスマスプレゼントに選ばれることを願っています。

――今後の予定について簡単に教えてください

今回の「そのたま!」は、全集第一巻となっています。同じような「三部作の全集」をあと2冊執筆し、合計で3冊にする予定です。結果的に九作品が揃うことになります。これを「犬吠埼ナイン構想」として書きながら宣伝していき、結果的に装丁にまでこだわった総集編としてイベントで頒布したいですね。同人の場では、作品を寄せ合ってまとめる「ポリフォニー」という形式が大変評価されます。僕はあえて、過去から未来までを渡り、時間軸を味方にして、いろいろな時点での僕が書いた、同じようでいて少し違うようでもある各作品をまとめることで、「一人時間差」みたいなことを狙っているわけです(笑)

――明確なビジョンがあるのですね。素晴らしい戦略です!それでは最後に、読者の方へメッセージをお願いします

個人であっても、幅広くいろいろな人々が参加しながら、作品を書き、発表し、宣伝し、読み、読まれることができる。僕はそんな未来を信じるからこそ、普段からいろいろな場所でkindleや電子書籍の可能性を喧伝しています。文学フリマのようにすでに盛り上がっている創作の場もありますが、今後はそうしたイベント以外でも、「一般の書店の棚に並んでいるような作品に飽きたなら、いつでも、われわれ個人出版の作品がありますよ!」とお誘いできるよう、頑張っていきたいと思います。

著者プロフィール

犬吠埼一介
小学生のころから本と親しみ、10代を図書館で過ごす。創作物から多くを学び受け取ったのち、自らも創作する側に立ちたいと望むようになる。20代で活動の幅を広げ、イラストサイトを7年間運営し同人誌を創作。現在は文芸に立ち返り、各種イベントに出展するべく小説を書く。33歳男性。「弱者に寄り添う言論、世界のリデザイン」がスローガン。目標としている作家は西尾維新先生で、あんな風にとびきり面白いエンタメ大衆小説が書きたいと思っている。主な活動場所は文学フリマ。
犬吠埼一介のホームページ
http://inubousaki-ikkai.info/
そのたま! 特設ページ:ボイスドラマ風の朗読版もあります。
http://inubousaki-ikkai.info/sonotama.html

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