電子書籍で食べていくための 作家プラットフォーム を育てよう

こんにちは、きんどるどうでしょうです。KDP作家さんらと『KDP本の売り方』をテーマにした飲み会をするんで、その前フリとして個人作家が食っていくための方法論についてのエントリー。

この1年、個人作家にとってKindleでどうやって本を出すかが課題でしたが2年目からはどう売るかがメインになるでしょう。現状、電子書籍専業で食っていくというのは非常に厳しいんですが、本家アメリカでは数千万円を稼ぐ作家さんが出てきていますからね。将来の専業も夢じゃないので、そのための仕込みは今のうちにやったほうがいいんじゃないかな。

Kindleで食っていくため『作家プラットフォーム』を育てよう

『作家プラットフォーム』とは簡単に言うと「新刊だしたー」「セールするよー」「メディアに取り上げられました」を読者にアピールして「いかに本を買ってもらうか」を目的とした作家活動基盤のことです。欧米では「Author(Writer) Platform」なんて呼ばれています。ええ、そのまんまです。

作家プラットフォームを回していくにあたって『読者とコミュニケーションを取って信頼性を高め……』『潜在読者へのプロモーション……』『メディアに取り上げてもらうために……』とか色々考えることはありますが、結論から言えば「ブログやソーシャルメディアを頑張って、ワンクリックボタンを押して貰おう」活動ですね。

いまさら当たり前じゃないか、という人もいるでしょうがこれまでKindle作家140名にインタビューしてきて苦労したのが「ブログもTwitterもやっていない」作者が結構多いんですよ。諦めたこと多数。KDP初の商業作品『お前たちの中に鬼がいる』以外にクチコミやメディアが取り上げて売れ続けた作品は無いと思います。それは勝手に売れるほどKindle市場が育っていないというのもありますが、結局読者に気づいてもらえない本が多いだけかと。たくさん売れることをAmazonに期待するよりも、1冊1冊売れる力を著者が身につけたほうが確実です。

また、『作家プラットフォーム』が育った先には商業出版や、さらに先にあるKindleに頼らない個人作家業というゴールもあるので、やはり作家として飯を食っていきたいという方は張り切って仕込んでいきましょう。

Kindleの売上には『売った』と『売れた』がある

Kindle本で食べていくためには読者に買っていただいてお金を貰う必要があります。この売上には『売った』ものと『売れた』ものがあります。『売った』とは自分の力や戦略で読者に買ってもらえたこと。『売れた』は何故かニュースサイトやブロガーなりのメディアに取り上げられたなど運によるものを指します

作家として安定していくためには『売った』を増やしていくが肝心です。『売った』を把握・分析していけば自分の作品や売り方が正しかったのか、良かった点、改善点を検討できます。売れなかったとしても何故売れなかったのかを分析できます。

『売れた』は本当に予想がつきません。「なぜかメディアに取り上げられて大絶賛!」が毎回期待できればいいんですけども、そればかりは実力よりも運の世界です。まだKindle市場はそこまで大きくないですから『売れた』はそもそも期待できません。運に任せた作家活動だと何故モテるはあいつばかりとストレスが溜まるので、できれば自分からメディアに取り上げられるような仕掛けを作っていったほうがいいでしょう。

Kindleユーザーが増えれば成功の可能性が増える

ここでAmazonの回しものかよお前!というようなお話をします。個人出版ということであれば、KoboやiBooksなどのマルチプラットフォーム展開なんかが生きていくために必要だよね? なんて話しもありますが作品の管理や個別のフォーマットへの対応、なによりユーザーの把握を考えると暫くはKindle一本に絞ったほうが良いだろうと考えています。この辺はもっと議論が必要ですが、Kindleで成功してから他に出しても遅くないだろう!ということで納得してください。

では、Kindleで頑張っていくと決まったからにはすべきことは1つ。Kindleユーザーを徹底的に増やすことです。ユーザーが増えれば『売った』の分析でわかることも増えますし、予想もつかない『売れた』も期待できるでしょう。

身も蓋もない言い方ですが「Kindleユーザー」にどれだけ影響を与えられるかがKindle本で食っていくための絶対的な条件になります。

簡単なとこだと、定期的に開催される「Kindleセール」情報を読者に伝えたり、Kindleで読める面白い本の案内をしたりですね。自分以外の本の無料キャンペーン案内もありでしょう。自分のサイトに来てくれる人がKindleに慣れていってくれれば、それだけ本を買ってくれる可能性もあがります。

作家プラットフォームを立ち上げよう

作家プラットフォームの役割は読者に買ってもらうこと。そのために用意するものはとりあえず3つ。

・作家活動のためののBLOG(もしくはメインとなるサイト)
・作家として使える公開可能なメールアドレス(Gmail等で十分)
・作家としてのソーシャルメディアアカウント(Twitterがあれば十分)

ブログで話題になるように記事を書き、ソーシャルメディアで着実に読者と向き合い、作家用メアドで他の作家やメディアとコミュニケーションを取って、Amazonの作品詳細ページに着実にたどり着いてもらい購入率をあげてもらうよう組み合わせる。それをいかにスムーズに、そしてイヤラシくないように育てていくことがKindle本で食っていくために必要なことです。

大事なことですがお金の匂いというのは嫌われます。売りたい!もっと売りたい!が伝わると途端に買う気は失せます。金を稼ぐことは続けていくために必要なことなんですが、買って頂けてる、助けていただけているという感謝の念を持って頑張りましょう。

全ての核はブログかサイト。できれば独自ドメインが好ましい

ユーザーとのコミュニケーションや伝播力ならばソーシャルメディアが最強なんですが、読者が見たタイミングで伝わる情報が違うので断片的な関わりになります。その点、ブログ(もしくはサイト)はたくさんの情報を伝えられます。集客や宣伝はソーシャル、購入のための後押しやファンになってもらうための装置としてブログと分けて考えましょう。

また、ブログを作るときは「はてなブログ」「ライブドアブログ」などのレンタルブログサービスを利用するのも良いのですが、継続的に食っていくことを考えた時には流動的なモノに頼るとサービスの仕様が変わった時などに苦労することになります。その点、独自ドメインならサービスを移動してもアドレスが変わらないのでユーザーを引き継げます。これがソーシャルだけだとmixiがダメになったからFacebookだーTwitterだーという風に移動してその度に読者と関係を作るなんて大変です。

ただし、独自ドメインが良い・悪いというのは多くの議論がありますのでよくよく検討してください。独自ドメインを使わないレンタルブログならブログサービスを通じて読者が集まりやすいというメリットもあります。

ところで独自ドメインを使うとなるとドメインを取得してサーバーを借りてブログを構築してと専門知識が必要になりますが、先にあげたブログサービスは有料で独自ドメインの利用が可能です。もちろん「Tumblr」「Blogger」など独自ドメインが使えるサービスは色々あるので使いやすいものをご検討ください。

あーあと、独自ドメインの命名方法だけど個人的には短くて意味が類推できる名前のほうが『覚えてもらいやすい』と思います。適当な例だけど awsedrfgyhujik. よりも katudon. udon. gohan. とか短くて日本語に頭で換算できるものが良いかと。変に気張ると自分で打つときも面倒だし。 .com .net .jp とか色々ドメインがありますが好みでどうぞ。ただし、URL内に『Amazon』『KDP』『Kindle』なんかをいれると商標権の侵害でAmazonに怒られるのでやめましょう。

作家プラットフォームを通じて「読者に期待してもらう」

作家プラットフォームを育てるためには日々の更新がものをいいます。毎日、しかもたくさん書くのが理想ですが、かなり負担になりますんで週に2,3度は定期的に更新するようにしましょう。定期的に更新していることがわかってもらえると、読者が次の情報を期待してもう一度訪れてくれます。

ただし、更新を止めないことが目的となってメディアの目的とあんまり無関係のネタを書きすぎると読者が離れます。なるべくテーマを絞って書くようにしましょう。読者が期待しているイメージからブレれてしまうと、思いきり嫌われる場合があるので気をつけてください。

それでは、作家プラットフォームを通じて読者に伝えるべきことですが『作家としてのキャラクター』『信頼性』『物語の世界観、もしくは専門性の共有』が主なものになります。

作家としてのキャラクターを伝える

読者が本を買うにあたっては色んな要素があるわけですよ。メディアやKindleランキングなどを通じて『売れた』時は「面白そう」「役立ちそう」「興味があるテーマ」「エロそう」など何かしら作品からにじみ出るものが購入の決めてなんですが、『売った』は著者から買うわけなんで売り手としてのキャラクターが重要になってきます。

参考までに、私がメディアの運営で気をつけていることとしたらサイト上では極力自分の意見などは抑えて本の紹介に務める。Twitterでは食べたものや自炊、あとは作家や読者、Kindleユーザーに出版社さんとのコミュニケーションを取ることとザックリと切り分けていますね。

ブログやソーシャルメディアだけでなくYoutubeなどの動画メディアもありでしょう、リアルなイベントに参加・企画してそれを記事にしていくというのもありですね。ただし、キャラ作りに勤しんでKindle本詳細ページに飛んでもらうことを疎かにしてはいけません。大事なことはオンライン上でいかに個性を伝えて、かつ親近感を持って貰って本を買ってもらうかです

あと、ブランディングを考えすぎて気取ったキャラを作ってしまうと維持するのが大変です。リアルな自分とあまりかけ離れない程度で徐々に理想像に向けましょう。わたしは最初は語尾に「だゾん」ってつけて迷走してたんだゾん。

読者と距離感を縮める(信頼性)

「よく知らない人から言われるより、多少知っている人から言われたことの方が信頼しちゃうよね?」という話し。

最初はブログやKindle本を読んだ読者さんがコメントを書いたり、ソーシャルメディアでつぶやいているのを見つけたら「読んでくれてありがとー」と感謝を伝えるようにしてみましょう。これだけでグッと距離が縮まります。ただ「レビューください」「感想書いてね」とお願いしてしまう方もいますが、読者に手間を取らせると途端に距離感が離れてしまうので、適度な距離感を探っていきましょう。目があったから会釈したくらいの距離感といったところでしょうか。

そうやって一人ひとりとちゃんと向き合っていけば読者が見えてくるので自然と『売った』という感覚が身につきます。会釈も繰り返せば、会話のキッカケになりますし読者もある程度知った著者さんの新刊なら、多少は興味を持ちますしね。

繰り返しますが、オンラインのキャラクターを作りこんでしまうとコミュニケーションでロールプレイをすることになるんで、かなりのスキルが要求されます。ネカマ・気むずかしいキャラ・プロフェッショナルなど色々自分が望む部分あるでしょうが、破綻をした時に失うものが多いのでくれぐれも無理しないように。そして、中身のことは意外とバレてるもんなんだゾん。

物語の世界観、もしくは専門性から期待してもらう

Kindle本を売る時に肝心なものはスタートダッシュです。発売初日〜三日目での売れ行きで大きくランキングが変わります。発売7日目頃までは新着扱いですし、発売30日以内まではKindleストア全体でみつかりやすい状態にあります。それを超えると全ての書籍と一緒扱いになるので絶望的に見つかりにくくなります。

そのため、できれば発売前までにある程度話題作りの仕込みをしていくのが理想的です。もしブログやソーシャルメディアで記事を書いていく時に創作であれば「物語の概要」「キャラクター」「出だし部分や関連するショートストーリー」などを。専門書であれば自身の専門性につながるテーマで記事を書いていくことをオススメします。

そうすれば、ある程度読者は発売された直後から作品のクオリティを信頼できているためレビューや感想を気にせず本を買ってくれるでしょう。そこでスタートダッシュが決まればランキングがあがり新たな読者との出会いの機会が生まれます。

本は読むまで面白さはわかりませんが、ある程度期待してもらえるくらいに情報は小出しにしておいたほうが読者も購入する際の指標になるはずです。

まとめ:「作家プラットフォーム」の戦略は無限にあります

ここまで偉そうなことを言ってますが、私も活動をはじめてまだ1年ちょっとです。まだまだ学ぶことばかりですが、日本の誰よりもKindleプラットフォームに依存して生きているので、たぶん大体あってる。地道にKindleユーザーを増やし、Kindle作家を増やし、きんどう読者を増やして、期待に応えらるようにグルグル策略を巡らせ続ければ食えているので今から頑張れば作家は普通に食えるんじゃないでしょうか。

電子書籍で食っていくための作家プラットフォームの話をするならば、電子書籍だけというわけではないですが藤井太洋さんを語る必要があります。電子書籍からスタートして専業作家活動をスタートされたわけですがクオリティの高い専門サイトを構築し、Twitterでは読者のコメントを積極的に拾い、ブログでは技術情報や作品展開と見事な作家プラットフォームを構築しています。電子書籍の最初の成功者ということでメディアに取り上げられて動画にまとめられたり、ニュース記事になったりしますが、それもまたプラットフォームに組み込んで藤井ワールドは広がっています。

何度か藤井さんは特別だからという話を聞きましたが、あそこまでマルチにできる人はたしかに特別ですが、今から頑張れば十分追いつけます。きちんと戦略を立てて学習、実践、失敗、奮起を繰り返せばKindle市場が出来上がった時に戦うための基礎ができているはずです。

今回は個人だけで頑張る作家プラットフォームの概念について書きましたが、他の作家のプラットフォームとコラボレーションしていくなどさらに多くの発展があります。ネタはいっぱいあるんですが、とりあえず次回はプロモーションを仕掛けるタイミングについて書く予定。

最後に、Kindle本の販売で生きていくことを本気で考えるならわたしを含む日本からのポジショントークを聞くよりもアメリカの情報を仕入れまくった方が正しいはずです。日本では成功事例がまだないですが、アメリカは最前線です。Kindleのことは本国に聞くのが一番だぜ。

参考サイトとして以下がいいんじゃないかな。
WritersDigest:http://www.writersdigest.com/
The Writers Practice:http://thewriterspractice.com/
JaneFriedman:http://janefriedman.com/

コレ以外にも色々見ていますがセルフパブリッシングや、それに関わるエージェントが発する情報は日本のKindle市場の4年ほど先をいってるので、今から仕入れておけば必ず役にたつはずです。その他、作家プラットフォーム作りに役立つ日本語の記事を紹介しておきますね。

LifeHacker:SNSでフォロワーを獲得する方法:フォロワー700万人のガイ・カワサキ氏かく語りき
Biz誠:年商1億2000万円、“タオルソムリエ”はどうやって「売れる!」を勝ち取った?
週刊朝日:ホリエモン「書店の未来を考えると楽しくて仕方ないよ」

まとめると「メディアづくりを頑張って」「Kindleユーザー増やして」「Kindle本を買ってくれる読者と仲良くなろう」ですね。
もちろん立派なメディアを作っても作品が面白く無いと低評価がついてヒドイことになるんですけども。『売るための仕組み』『売れる作品づくり』両方やらなくちゃあならないのが「個人作家」のつらいところですわ。
最初にも書きましたが、AmazonKindleは売るための仕組みですが売ってくれるサービスではないので、実力があっても売り方が下手で埋もれていく作品がほとんどです。2014年も始まったばかり、是非とも不慣れでも今から頑張って欲しいところですわ。

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