薄っぺらい女はつまらない。女性ならでの感性で描く官能小説「折り鶴」を執筆した佐伯香也子さんにインタビュー

1305243こんにちは、きんどるどうでしょうです。
いま話題、もしくはこれから話題になるであろうKindle作家にインタビューするKDP最前線。今夜はその第122回。
今夜はプロの作家さん。女性も楽しめる官能小説作品を目指した「折り鶴」を執筆した佐伯香也子さんです。
佐伯香也子さんには本作執筆のキッカケやオススメのポイントをなどを語っていただきました。さぁ、いったいどんなお話が聞けるのでしょうか。もちろん、本作はAmazonKindleで無料で試読が可能です。

インタビュー with 佐伯香也子さん

著者プロフィール

佐伯香也子(さえきかやこ) Twitter @kayako373
高校生のころから、小説を書き始める。大学卒業後、2000年に「立森あずみ」の名で、ボーイズラブ小説とコラムが商業誌に掲載される。その後SMに興味をもち、ネットで小説を書いていたところ、三和出版関係者の目にとまる。
2008〜2011年「佐伯香也子」として、「拷問コラム~香也子の妄想ノート」を『マニア倶楽部』(三和出版)に連載。そのほか、『秘性』『愛奴志願』『カルテ通信』『女神の愛』(いずれも三和出版)などからも依頼を受け、小説やコラムを執筆。
2010年3月、雑誌未掲載の中短編集『佐伯香也子小説集1』を風俗資料館より刊行(現在絶版)。同年11月、女性向けのSM同人誌『イシスの裏庭』を手がける。
2012年5月、『秘性』第3〜7号連載の小説『アニスタ神殿記』を、風俗資料館より単行本として刊行。
2013年4月、KDPにて電子書籍『時間外診療』(アリス・リデル著、佐伯香也子訳)を、5月に『折り鶴』(『マニア倶楽部』掲載作品)を発売。
今後も、雑誌に掲載されたものや、小説集所収の作品を、順次電子化していく予定。趣味は薔薇の栽培と雑草観察。男性原理で統一された性カルチャーにおいて、今までにない、女性原理の視点から作品を書き続けている。
ブログ http://ferisvaty.blog.fc2.com/

折り鶴

第二次大戦中、帝大生の薫は、屋敷の運転手の可憐な娘・小夜を蔵の中へ誘い、浣腸、導尿、張り型肛門拡張、異物入れなど淫靡な性戯にふけり始める。
薫に想いを寄せていた小夜だったが、最初はさすがに抵抗を示した。だが、次第に快楽に目覚め、愛らしい悦びを示すようになる。そんなおり、薫がついに出征することになる。
小夜は、たとえ薫が戻れても正式な結婚などできないことを承知の上で、目に一杯涙をためながら、赤い糸でつながれた夫婦鶴を手渡す。
三和出版の『マニア倶楽部』『カルテ通信』『秘性』などで小説を執筆する、佐伯香也子のオリジナル電子書籍第一弾。制約の多かった時代のせつない恋と性の悦びを細やかに綴った、SM純愛小説。4560字の短編です。
価格:150円
評価:★★★★* 2件のレビュー
Amazon.co.jpで詳細を見る

――この作品を書いたキッカケを教えてください

男性の官能作家がお書きになる女性について、私はつねづね不満を持っていました。すべてがそうではありませんが、「男は、よくこんな薄っぺらで現実味のない女に欲情できるわね。これじゃあ濡れたものも乾くわよ!」と、少なからぬ憤慨とともに思っていたんです。
そういう不満が募って、「それなら、リアルだと思うものを自分で書こう」と思ったのがキッカケでした。
薫が要求してくるSM行為は、小夜にとってすごく怖いことなんだけれども、好きな男のために彼女は勇気をふりしぼって大事な自分を手放すわけです。その瞬間の、女の子の何とも言えないけなげさとか気高さ、そして独特の虚無を描いてみようと思いました。

――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

時代設定を第二次大戦中にもっていったところでしょうか。
その時代特有のつつましいたたずまいや身分制度、そして価値観が、浣腸だとか導尿だとかのとんでもない性行為の背徳性を、いっそう際立たせてくれます。
また、美しい言葉で綴るのにもふさわしく、女性も楽しめるSM小説の舞台として、最適だと思いました。

――作品を書くうえで悩んだところは?

ネタバレになってしまうので、詳しくは言えませんが、物語の最後の数行をつけるかどうかで悩みました。雑誌掲載の前に何人かに読んでもらいましたが、「あったほうがいい」と「必要ない」が半々でした。
最終的に、物語としての完成度がどうとかいうよりも、自分が好きなのはどっちなんだと思い、残すことに決めました。あとは読者の皆様のご判断におまかせしますが、永遠の愛の余韻とでもいうようなものが読後に残ればいいなと思います。

――執筆にかかった期間はどれくらいですか?

5〜7日だったと思います。

――読者からの感想はありましたか?

掲載当時の『マニア倶楽部』の編集担当者からは、
「これは是非映像化してみたいです」
と言っていただきましたし、読者からは
「山本タカトという方のイラストをイメージしながら拝見しました」
「またしても佐伯マジックで体に変調をきたしました。ご本人と小説とのギャップとかもあいまって興奮してしまいます」
「話運びは相変らず上手いですねー」
などのご感想をいただきました。

――小説を書き始めたキッカケはなんですか?

ものすごく空想好きな少女だったんです。で、頭の中だけで綴っているのに飽き足らなくなって、小学校5年のときに、初めて小説らしきものを書いてみました。
でも、妄想だけではストーリーをつくることができなくて、「まだダメだ、小説を書くには早い」と思いました。その後、たくさん本を読み、やっと人に読んでもらえるようなものが書けるようになったのは高校生の時です。初めて書いたまともな小説はSFでした。
断片でしかなかったものが、一つの世界となって姿を現し始めた時の喜びは、ほかに例えようがありませんでした。

――小説を書くときのこだわりってありますか

「こだわり」というより「心構え」なのですが、対象のもっとも深部の真実を見るようにしています。表面に現れるのは物事のほんの一部でしかなく、それが本当はどういう意味を持つのかということを理解していないと、良い小説は書けないような気がするのです
伏線やどんでん返しといった小説を書くテクニックも大事なのですが、作者が対象のどのレベルにアクセスするかによって、物語の深みや広がりが大きく変わってきます。リアリティーも、これによって生み出されます。
官能小説だからといって、作者みずからが卑下したりなめてかかったりするのはまちがいです。性というのは、誰の人生にも大きくかかわってくる重要な要素ですし、男性主導できたこの分野に、女性として真っ向から取り組むことは非常に意義があります
性的快楽に対する熱い気持ちを忘れずに、物語として読み応えのあるものを書いていけたらと思っています。

――Kindleで出すにあたって困ったことはありますか?

利益の問題を、やはり考えてしまいました。
『折り鶴』に先立ってアリス・リデルさんの翻訳小説『時間外診察』を出しましたので、引き続きアリスさんのアカウントで出版するか、それとも私自身のものにするかで、悩みました。
結局、手数料のことなどを考慮すると、現状ではアメリカ人のアリスさんのアカウントを使わせてもらうほうが有利だということで、そちらにしましたが。それから、私はあまりパソコンの操作が得意ではないので、制作をどうするかというのも大きな問題でした。
Kindle用のファイルをつくることくらいはできそうでしたが、奥付にリンクを入れるとか、見栄えのよい表紙をつくるとか、そういうのは手に余る感じがしたのです。そんなおり、以前小説を依頼してくだった元『カルテ通信』(三和出版)編集長の二木寸志さん(現在フリー)がたまたまメールをくださり、お願いすることができてとても助かりました。

――プロモーションの秘訣を教えてください

こちらにインタビューを載せていただくのは、もっとも効果的な方法の一つだと思います。実際、アリスさんの売り上げの伸びはすばらしいものがありました
あとは、TwitterやFacebook、mixiなどでしょっちゅうつぶやく。ブログを、まめに更新し、コメントにもできるだけ返信するなど、ごく当たり前のことを地道にやるということでしょうか。私の場合は、制作してくださった二木寸志さんが、Twitter等を非常によくフォローしてくださっていて、作者なんかよりずっと宣伝してくださっています。
自分の力だけでやれることは限界がありますので、こういったプロの方に頼るのもいいのではないかと思います。「きんどるどうでしょう」を教えてくださったのも二木さんですし、本当にありがたく、感謝しきれないほどです。

――今後の予定について簡単に教えてください

5月末に「コレクターズ・クラブ・シリーズ」の第一弾「リナ」を出します。ノンストップハードSMストーリーです。
今後も、月に2冊くらいのペースで新刊を出していけたらと思っています。

――それでは最後に、読者の方へメッセージをお願いします

三和出版の雑誌で私をご存知の方は、拷問妄想ばっかりしている過激な作風の佐伯香也子としてご記憶かと思いますが、たまにはこんな純で可愛いお話も書きます
『折り鶴』で私の作品に始めて出会ったという方には、香也子の神髄はもっと別のところにありますということを申し上げたいと思います。性に対する考え方感じ方は、男女で大きな隔たりがあります。それは、SMの世界に足を踏み入れてから、まざまざと感じました
そのあたりを充分に踏まえつつ、読む人の官能を限りなくかき立てる作家でありたいと思っています。紙の本にはならないような物語も、今後Kindleで出していくつもりですので、よろしくお願いいたします。

きんどるどうでしょうでは、KindleDirectPublishing、個人出版で頑張るインディーズ作家の方々を応援しています。

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